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もしも詐欺師が詐欺師に詐欺を掛けたら…?
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私は詐欺師だ。たまに老人に電話で金をせびっては、うまく騙し取っている。しかし、最近ガードが厳しくなって、いよいよ詐欺師など続けられなくなっていた。
そんなある日、また私は電話を掛けたのだが………
「あ~もしもし?」
「はい。」
声が老人ではない、失敗か、いや、でもやってみる価値はある。
「すみません。あのー私、お宅の商品買った者なんですけどぉ~」
「ああ! そうですかぁ!」
「ええ。それでですね? ちょっと相談したいことがありましてぇ~」
「はいはい。なんでしょう?」
「実はそのーうちの母が病気でしてね。なんとかお金が必要になったんですよ。でも、なかなかうまくいかなくて、困っているんです。」
「はいはい。そりゃ大変ですねぇ。」
「はい。そこでご提案なのですが、私があなたからお金を借りたいんですよ。」
「ほう。なるほど。それはいい考えだ。少しなら金を持っているぞ。」
「ありがとうございます。では、すぐにそちらに行きますんで。」
「いいえ。こちらが伺いますよ。」
何だと。めんどくせえおっさんだ。普通相手が来るならもういいだろ。
「いえいえ。こっちの方が近いですよ。それにお礼もしたいんで。」
「いやいや、お母様のそばで看病してあげて下さい。」
うぜえな。早く金貸せよ。
「あ、振り込みの方がいいですかね。」
どういう提案してくるんだよ。詐欺師か。って私は言えないのだが。
「いえいえ。現金でお願いします。」
「今の時代現金はきついですよ。大金になるかもしれませんから、振り込みで行きましょうよ。口座の番号教えてくれますか。」
こいつ何がしてぇんだ。まあいい。とにかく金を出させればいいのだ。
「いや、直接のほうが…。」
「大金持って歩くのは危ないでしょう。口座番号は?」
「いや、だから…」
「いいから、教えなさい!!」
「わ、わかりましたよ。教えるから怒鳴らないでくださいよ。」
「ふんっ! 最初から素直に言えばいいんですよ。」
翌日、私は銀行口座の貯金が1万減っていることに気づき、敗北を悟ったのだった。
そんなある日、また私は電話を掛けたのだが………
「あ~もしもし?」
「はい。」
声が老人ではない、失敗か、いや、でもやってみる価値はある。
「すみません。あのー私、お宅の商品買った者なんですけどぉ~」
「ああ! そうですかぁ!」
「ええ。それでですね? ちょっと相談したいことがありましてぇ~」
「はいはい。なんでしょう?」
「実はそのーうちの母が病気でしてね。なんとかお金が必要になったんですよ。でも、なかなかうまくいかなくて、困っているんです。」
「はいはい。そりゃ大変ですねぇ。」
「はい。そこでご提案なのですが、私があなたからお金を借りたいんですよ。」
「ほう。なるほど。それはいい考えだ。少しなら金を持っているぞ。」
「ありがとうございます。では、すぐにそちらに行きますんで。」
「いいえ。こちらが伺いますよ。」
何だと。めんどくせえおっさんだ。普通相手が来るならもういいだろ。
「いえいえ。こっちの方が近いですよ。それにお礼もしたいんで。」
「いやいや、お母様のそばで看病してあげて下さい。」
うぜえな。早く金貸せよ。
「あ、振り込みの方がいいですかね。」
どういう提案してくるんだよ。詐欺師か。って私は言えないのだが。
「いえいえ。現金でお願いします。」
「今の時代現金はきついですよ。大金になるかもしれませんから、振り込みで行きましょうよ。口座の番号教えてくれますか。」
こいつ何がしてぇんだ。まあいい。とにかく金を出させればいいのだ。
「いや、直接のほうが…。」
「大金持って歩くのは危ないでしょう。口座番号は?」
「いや、だから…」
「いいから、教えなさい!!」
「わ、わかりましたよ。教えるから怒鳴らないでくださいよ。」
「ふんっ! 最初から素直に言えばいいんですよ。」
翌日、私は銀行口座の貯金が1万減っていることに気づき、敗北を悟ったのだった。
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