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「どうした?そんなため息なんてついて…」

チャートがいつもとは様子の違う息子を心配して声をかけた。

「父さんは…母さんに…触りたいって思った事あった?」

「は?なんだいきなり?」

チャートはクリスの問いに顔を顰めた。

「ああ…いいや。やっぱり忘れて」

クリスはチャートの脇を抜けようとすると

「まぁ待て待て」

チャートにガシッと肩を組まれて捕まった。

「何があったのかな?このお父様に相談してみなさい」

ニコニコと笑ってクリスを見ると

「べ、別になんでもないよ…たださっき…ハルジオンがさ…」

「ハルジオンがどうした?」

「い、いや…なんか急に可愛く見えて…いや元から可愛いとは思ってたけど…なんか笑う顔を見てたら無性に触りたく…って何こんな事…」

クリスは真っ赤になり恥ずかしさのあまり腕で顔を隠した。

「なるほどな…とうとうクリスもか…」

チャートは寂しそうな顔でクリスをみつめる。

「な、何がとうとうなのさ!?」

「いや、これはお前がちゃんと気付くべきだ!ハルジオンの為にもな」

「は?」

クリスが顔を顰めていると…

「クリス様」

スチュアートさんが声をかけてきた。

「あっ、スチュアートさん」

二人で振り返ると…

「あっ!チャート様もお帰りなさいませ…いつお戻りに?」

スチュアートがチャートに気がつくと

「さっきな、ロイ王子にキャシー嬢が来てるんだって?」

「はい、それと…今クリス様にお客様が…」

「僕に?」

「はい、イブさんとおっしゃっておりました…覚えが無いようなら帰っていただきますか?」

「あー…そうか、約束してたっけ…すっかり忘れてた」

「約束?」

チャートがクリスを見ると

「いや、話せば長くなるから…詳しい話は王子に聞いて下さい!僕は用事すませて来ちゃうので…あとスチュアートさん」

「はい」

「ハルジオンを…部屋に寝かせて来たから後で様子見てきてあげてくれるかな?」

「はい、承りました」

スチュアートさんがニッコリ笑って了承してくれるとクリスはほっとする。

「では、行ってきますね」

「あ、ああ」

チャートとスチュアートに軽く会釈して廊下を小走りにかけて行った。

「イブ…って誰?」

チャートはわけがわからずにスチュアートを見ると

「さぁ?しかし向こうはクリス様に気があるようでしたね」

「なんだって!だってクリスは…スチュアートさん聞いてるか?」

チャートは話していいものかスチュアートの様子を伺うと

「はい、クリス様はハルジオン様が気になっているようですね」

「だよな…まぁ人から言われてもクリスだと否定しそうだし…まぁ自分で気がつくしかないよな」

「まぁあの様子でしたらすぐに自覚するでしょう」

二人は顔を見合わせると…

「はぁ…クリスまでなんか大人になってきちゃったなぁ…あんなに小さかったのに、そりゃ俺も歳をとるわけだ」

チャートが寂しそうに呟く。

「こればかりは仕方ありませんね、お茶でもお入れ致します。説明はゆっくりとあちらで…」

スチュアートは笑うと寂しそうなチャートの背中を押した。




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