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305.デート町到着

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カイルはローズに待っててもらい馬を連れてきた。

「あれ?一頭ですか?」

自分の馬をカイルは連れてこなかった…ローズが不思議に思って聞くと…

「今日はローズの席は俺の前だよ」

カイルはヒョイっとローズを馬に乗せて自分もその後ろにサッと乗った。

「ローズなら落ちないだろうけど…しっかりと掴まっててね」

ローズの細い腰をぎゅっと自分の方に引き寄せた。

ローズはハルジオンの言葉を思い出すと…

「はい…」

おずおずとカイルの体に身を預けた。

「お願いします」

「う、うん…」

カイルはいつもとは違うローズの反応にしどろもどろになる。頑張って馬に集中しながら時折ローズの香りにやられるもどうにか町に辿り着いた。

「なんか…遠いような近いような…」

ずっと乗っていたいけど…体力が消耗される…

手を出さないように我慢するのも辛いものだった。

町の外れに馬を繋いで置くと気を取り直してローズと町に入って行った。

早速店のおじさんがローズ達に気がつくと…

「おお!ローズ様にカイル様!今日はめかしこんで…あっー!あれか!デー…いてっ!」

話してる途中でおじさんが後ろから奥さんに大根で殴られた…

「おほほほ…すみません。はしたないところを…旦那の頭に虫が止まってまして…」

奥さんは折れた立派な大根を後ろに隠す。

「だ、大丈夫?おじさん悶えてるけど…」

ローズが心配そうに近づこうとすると

「大丈夫です!大丈夫です!この人人一倍頭が固いから!ほらそれよりも向こうに可愛い店が出来ましたよ!行ってみて下さい!」

奥さんが笑顔で手を振る。

「ローズ様…大丈夫だ…ほらカイル様と楽しんで…」

おじさんも何とか笑顔を作って手を振っていた。

「うん、大丈夫そうだね。ローズ行こうか?」

カイルは気にする様子もなくローズに笑いかけると手を差し出した。

「まぁ…」

奥さんが嬉しそうに笑う姿に…

「は、はい!」

ローズは思い切ってカイルの腕に抱きついて腕を組んだ。

「ローズ…」

「き、今日はデートですから…」

ローズは下を向きながら答えるがカイルからは真っ赤なローズの耳が見える。

恥ずかしそうにしながらも一生懸命デートを楽しんでくれているローズに愛しさしかわかなかった。

「そうだね」

幸せそうにローズを見つめながら歩きだす…カイルの目にはローズしか映らなかった。


「はぁ…素敵…ハルジオンさんいい仕事するわね~」

奥さんは大根を握りしめながら二人の歩く様子をウットリと眺めていた。

「お前!そんなので頭殴ったら死ぬだろ!」

ローズ様達が遠のくと店のおやじは文句を言った!

「あんたがいきなりこの計画ばらそうとしたからでしょうが!!何トンチンカンなの事してくれてんのよ!」

奥さんは先程の行為を思い出し持っていた大根を目の前で握りつぶした!

ブシュ!……

おやじは無惨な大根おろしになったものを見つめると…

「すみませんでした!!」

顔を青くして土下座してすぐに奥さんに謝ったのだ。
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