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「いらっしゃい、注文は決まったかい」

話しているとカウンターにいた店主から声がかかった。

「あっまだ決めてませんでしたね、カイル様のオススメはなんですか?」

「お、俺の?そうだなぁ…この腸詰め焼きは美味い酒が進むなぁ後はこのごった煮もいい何が入ってるのかわからないが何故か美味い…それと…」

カイルがメニューを選んだ居ると

「おいおい、カイル様…あんたデートなんだろ?なんでそんな野暮ったいのばっかり選ぶんだよ」

話を聞いていた常連がたまらずに声をかけると

「そうだもっとオシャレなのにしてくださいよ…だとえば…えーっと…そんなもんないなこの店」

常連客達はため息をついた。

「うるさいぞ!文句あるなら他所にいけ!」

店主が怒っていると

「私は今カイル様が言ったの食べたいです!あと店主さんのオススメメニューもお願いします」

ローズは気にせずに頼むと

「わかった」

店主はニコリともせずに無愛想に頷いた。

「楽しみですね」

ローズは気にした様子もなくワクワクしている。

少し待っていると頼んだ料理が運ばれてきた。

「ほらよ」

ドンドンとテーブルに置かれるそのメニューはデートと言うには地味すぎた…

さすがのカイルもその色合いに慌てると

「いや!本当に料理は美味いんだ!ただ女性と来る場所じゃなかったかな…」

ガクッと肩を落とすと

「えっ?なんですか?それよりも早く食べましょうよ!熱々で美味しそうです!カイル様取り分けてもいいですか?」

ローズがナイフとフォークを持ってニコッと笑った。

「ああ頼む」

カイルは苦笑すると

「さっきから美味しそうな匂いがしててたまらなくて!このお店とってもいい匂いがします!食材を選ぶのが上手なんですね」

ローズは慣れた様子でカイルに切り分けた食材を渡す。

「いただきましょう!もう我慢できません!」

ローズが手を合わせるとカイルもそれに続いた。

「いただきまーす」

ローズは大きな口で大きく切った腸詰め焼きを口にする。

中で肉汁が溢れてローズの顔が破顔した。

「美味しい~」

ローズがパクパクと嬉しそうに食べる姿にカイルも嬉しくなり自分も食べてみる。

「うん!やっぱり美味いな…久しぶりに来たけど…今までで一番美味しく感じる」

「えーそうなんですか?なんでですかね?」

ローズは次はごった煮に手を伸ばした。

「うーん野菜がゴロゴロしてて美味しいです!うちの芋煮に少し似てますね」

ローズが笑うと

「芋煮ってのはなんだ?」

店主が気になったのかローズに声をかけてきた。

「ドラゴン亭知ってますか?あそこで出してるんですけど…」

ローズは気にする様子もなく答えると

「ああ、あれか一度食いたいと思ってる」

店主が頷くと

「はい!美味しいのでオススメですよ!でもこのごった煮にも美味しいです!野菜がちょうどよく切られてて味付けも優しいしこれを作った方の優しさが感じられます」

ローズがそういうと常連客達が笑いだした!

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