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276.スミスとスチュアート

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部屋まで送っていくというカイルの言葉を丁寧に断ってローズはチャートと部屋に戻る。

浮かない顔のローズにチャートは声をかけると

「どうした?まだ足がやはり痛むのか?」

「ううん…本当に足は大丈夫だよ。まだ力が少し入らないから慣らしていかないと駄目だろうけど…」

ローズが眉を下げて笑うと

「ならなぜそんな顔をしてるんだ?」

「顔?」

ローズは自分の顔を触ると

「変な顔してた?」

チャートに確認する。

「まぁ…いい。先程聞いたらキャシー嬢の審査は明日行うようだ…その後話し合いをして結果は三日後だそうだ」

「じゃあそれが終わればタウンゼントに帰れるね!」

ローズが笑って父親を見ると

「そうだな…そしたらしばらくは王都に来ることは無いだろうな」

「そう…だね」

「だからやり残した事や心残りがあるならちゃんと解決してくるだぞ!俺はしばらくはレイン陛下のそばにいるから…無理はするなよ」

「お父さん陛下の護衛?」

「まぁそんなところだ」

話していると部屋へとつく…扉の前ではスチュアートさんがニコニコと微笑んでバルトと待っていた。

「お帰りなさいませ」

仲睦まじく歩いてくる二人に頭を下げると

「じゃあスチュアートさんローズの事をよろしく頼む」

チャートはローズをスチュアートに預けると来た道を戻っていった。

「チャート様はどちらに?」

「レイン陛下の…護衛…ですかね?」

「ああ」

スチュアートは察すると

「ローズ様、足の具合は大丈夫ですか?」

歩いて帰ってきたローズを少し心配して聞くと

「はい!あの果実は凄いですね、もうすっかり痛みは無くなりました。えっと…スミスさんがまた経過を見せてほしいとまた来るそうなのでよろしくお願いします」

「スミスが…」

スチュアートさんが嫌そうな顔をする。

「スチュアートさん?」

珍しい表情にローズが驚くと

「そうか…果実の検証はスミスが任されたのですね。ローズ様不快な思いはされませんでしたか?」

スチュアートが心配すると

「だ、大丈夫ですけど…スミスさんてそんなに有名なんですか?」

「あの変わり者は関わった者なら皆嫌がるでしょう…ローズ様が大丈夫そうでほっと致しました」

スチュアートさんが胸をなで下ろすと

「ローズ様に何かしていたら…また谷底に落とそうかと思っておりました」

ニコッと笑う。

「た、谷底…?」

驚いて聞き返すと

「ええ…まぁ昔の事ですが、人の事を研究したいと付け回ってしまいには夜、寝室に忍び込むような奴です…研究の為なら手段を選ばない男なので気をつけて下さいね」

「は、はい…」

ローズはふくらはぎを触られて興味を持たれた事は内緒にしておこうと曖昧に頷いておいた。
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