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103.謝罪※
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◆
私は遠くから聞こえる聞き覚えのある声に目を覚ますと、目の前には知らない天井が見える。
ボーっとしている目の焦点が徐々にあってくると「気分はどうだい?」と優しそうな男性が顔を覗き込んだ。
「こ、ここは……?」
周りを見ると医務室の様な場所に寝かされていた、そして男性の後ろには心配そうにしているカイル様とスチュアートさんが目に入った。
「あっ、私剣の打ち合い中に……」
二人の顔に朝練に参加していた事を思い出し、慌てて起き上がろうとすると、クラっと目眩がした。
目の前にいた男性に肩を支えながらまた横にされる。
「無理しないで横になっていなさい。少し診察させて貰えるかな?」
「は、はい……」
医師の格好にお医者さんだと判断して私は身を任せた。
しかし何もせずに気まずそうな顔をしているとチラッと後ろを振り返る。
「おっほん……カイル様彼女を診察するので少し離れて貰えますか?」
じっと隣で私を心配そうに凝視しているカイル様に注意をした。
「す、すまない!」
カイル様が慌てて立ち上がると後ろを向いた。
先生は目隠しを立てると私に向き合って安心させるようにニッコリと笑った。
最初に目の焦点と頭を打っていないか確認する。
「痛いところはあるかい?」
「いいえ、頭は大丈夫です。ただ腕が……」
プルプルと震える腕を見せる。
力が入らずに上まで上がらなかった。
「ちょっとごめんね」
先生は私の服をまくり上げて腕を触り出す。
軽く掴むと痛みに顔を顰めてしまう。
「痛っ……」
私の声に目隠しの向こうでカイル様とスチュアートさんがガタッと椅子を鳴らす音が聞こえた。
「ちょっと無理しすぎたようだね。今日はもう何もしないでゆっくり休めば明日には良くなると思うよ」
「はい、ありがとうございます」
私がペコッと頭を下げと、腕を元に戻した。
「ダンテさん終わりましたか?」
目隠しの向こうからスチュアートさんが声をかけてくる。
「ええ、もう大丈夫です」
私は上半身を起こしてベッドに寄りかかった。目隠しを退けるとカイル様とスチュアートさんが目隠しのすぐそばで立っていた。
そして目が合うなり膝まづいてきた。
「ローズ様! 私がいながら申し訳ございませんでした」
スチュアートさんが私の手をそっと上から触って深々と頭を下げる。
「や、やめて下さい! スチュアートさんは何もしてないじゃないですか!」
なぜ謝ってくるのかわからずに慌ててスチュアートさんの頭を上げさせる。
「いえ、ローズ様のお姿を見ればあの馬鹿共と接触してくるのは想像出来ました。しかし時間を忘れて王子達と打ち込みに集中してしまった私の落ち度です」
スチュアートさんから似合わない言葉が所々漏れ出している。
「ローズ、大丈夫か?」
ロイ王子もいたようで二人から少し離れた場所から声をかけてきた。
「王子まで……そんなに心配なさらなくても大丈夫ですよ」
みんなの反応に苦笑してしまう。
私が笑うのをみてみんながホッとするのがわかった。
「よかった……」
ロイ王子が私に近づこうとするとガタガタと医務室の廊下が騒がしくなる。
「失礼します!」
そして兵士達が次々と医務室に駆け込んできた。
「先程は大変失礼致しました。どんな処分でも受けます! ですからどうか罪は私に……国は関係ないのです」
最初に飛び込んできた兵士さんが私の顔を見るなり膝を付いて謝罪してきた。
すると次々に兵士達が私の前に並んで頭を下げる。
その様子に私はもちろん先生も唖然としていた。
私は遠くから聞こえる聞き覚えのある声に目を覚ますと、目の前には知らない天井が見える。
ボーっとしている目の焦点が徐々にあってくると「気分はどうだい?」と優しそうな男性が顔を覗き込んだ。
「こ、ここは……?」
周りを見ると医務室の様な場所に寝かされていた、そして男性の後ろには心配そうにしているカイル様とスチュアートさんが目に入った。
「あっ、私剣の打ち合い中に……」
二人の顔に朝練に参加していた事を思い出し、慌てて起き上がろうとすると、クラっと目眩がした。
目の前にいた男性に肩を支えながらまた横にされる。
「無理しないで横になっていなさい。少し診察させて貰えるかな?」
「は、はい……」
医師の格好にお医者さんだと判断して私は身を任せた。
しかし何もせずに気まずそうな顔をしているとチラッと後ろを振り返る。
「おっほん……カイル様彼女を診察するので少し離れて貰えますか?」
じっと隣で私を心配そうに凝視しているカイル様に注意をした。
「す、すまない!」
カイル様が慌てて立ち上がると後ろを向いた。
先生は目隠しを立てると私に向き合って安心させるようにニッコリと笑った。
最初に目の焦点と頭を打っていないか確認する。
「痛いところはあるかい?」
「いいえ、頭は大丈夫です。ただ腕が……」
プルプルと震える腕を見せる。
力が入らずに上まで上がらなかった。
「ちょっとごめんね」
先生は私の服をまくり上げて腕を触り出す。
軽く掴むと痛みに顔を顰めてしまう。
「痛っ……」
私の声に目隠しの向こうでカイル様とスチュアートさんがガタッと椅子を鳴らす音が聞こえた。
「ちょっと無理しすぎたようだね。今日はもう何もしないでゆっくり休めば明日には良くなると思うよ」
「はい、ありがとうございます」
私がペコッと頭を下げと、腕を元に戻した。
「ダンテさん終わりましたか?」
目隠しの向こうからスチュアートさんが声をかけてくる。
「ええ、もう大丈夫です」
私は上半身を起こしてベッドに寄りかかった。目隠しを退けるとカイル様とスチュアートさんが目隠しのすぐそばで立っていた。
そして目が合うなり膝まづいてきた。
「ローズ様! 私がいながら申し訳ございませんでした」
スチュアートさんが私の手をそっと上から触って深々と頭を下げる。
「や、やめて下さい! スチュアートさんは何もしてないじゃないですか!」
なぜ謝ってくるのかわからずに慌ててスチュアートさんの頭を上げさせる。
「いえ、ローズ様のお姿を見ればあの馬鹿共と接触してくるのは想像出来ました。しかし時間を忘れて王子達と打ち込みに集中してしまった私の落ち度です」
スチュアートさんから似合わない言葉が所々漏れ出している。
「ローズ、大丈夫か?」
ロイ王子もいたようで二人から少し離れた場所から声をかけてきた。
「王子まで……そんなに心配なさらなくても大丈夫ですよ」
みんなの反応に苦笑してしまう。
私が笑うのをみてみんながホッとするのがわかった。
「よかった……」
ロイ王子が私に近づこうとするとガタガタと医務室の廊下が騒がしくなる。
「失礼します!」
そして兵士達が次々と医務室に駆け込んできた。
「先程は大変失礼致しました。どんな処分でも受けます! ですからどうか罪は私に……国は関係ないのです」
最初に飛び込んできた兵士さんが私の顔を見るなり膝を付いて謝罪してきた。
すると次々に兵士達が私の前に並んで頭を下げる。
その様子に私はもちろん先生も唖然としていた。
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