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その後家に戻るが先程の話が頭から離れずに眠れずにいた。
ベッドに横になっていても落ち着かず起きると水を飲もうと居間に向かった。
「あれ、ルーク?」
するとそこにはマリアが先に起きていた。
「マ……母さんも眠れないの?」
そう聞くとマリアは困った顔で笑った。
「ルークが無事なのはわかってるけど……不安でね」
「俺のせい?」
「違うわ!私が弱いせいよ、大丈夫無事だったから少しずつ慣れるわ」
マリアはもう大丈夫と欠伸をして部屋に戻ろうかとする。
俺はそんなマリアの手を取った。
「もう……絶対に不安にさせないから」
「あら本当?それなら安心ね」
マリアは嬉しそうに笑った。
朝になりいつもより遅く俺は目が覚めた。
マリアはいつも通り起きたようで朝食が用意されている。
「じゃあ母さんは仕事に行ってくるね」
「仕事?お金なら昨日渡したのがあるよね」
「そうだけど仕事をいきなり辞める訳にはいかないもの。それにただでさえ休みをもらって迷惑かけたから……」
言いにくそうに俺をみた。
なるほど俺の看病でお休みを貰っていたようだ。
「わかった。気をつけてね、俺ももう少ししたらギルドに行くよ」
「ルークこそ気をつけね」
マリアが心配そうに眉を下げた。
「大丈夫、もう危険な依頼は受けないよ」
そういえばホッとした顔で仕事に向かった。
「さてと……」
そうは言ったが他の仕事などした事がない、自分がまともに出来ることは冒険者だけだった。
「まぁ最低ランクなんだ、無理しなければ問題ないだろう」
それにもし、ルークの意識が戻った時の為にやれる事はしてやっておきたかった。
俺はマリアが用意してくれた朝食を食べると家を出た。
ギルドに行くとまた視線が集中する。
昨日の事で噂になったようで注目を浴びる、しかしそんな人の視線に気を散らしていたら冒険者なんて務まらない。
無視して真っ直ぐに依頼書を見に向かった。
何にするか……
田舎の依頼書なので大した依頼はなかった。
その中でまともそうな依頼書を二枚取ると受付に向かった。
「これを頼む」
「は、はい」
受付嬢は恐る恐る書類を受け取り中身を確認する。
ギルドカードを見るとちらっと顔を見てきた。
「あの……この依頼書二枚も受けるんですか?」
「何か問題が?」
依頼書を何枚受けたって問題ないはずだ。
文句があるのかとジロっと見つめる。
「い、いえ……ランクが……」
ルークのランクが最低ランクなので依頼達成が不可能と判断したようだ。
俺は少し気持ちを落ち着けてニコッと笑う。
「昨日受けた依頼に比べれば楽なもんだから問題ない。心配ならギルマスに聞いてくれ」
「は、はい」
受付嬢は少し席を外すと言って裏に向かった。
するとすぐに戻ってきて問題ないと依頼の受付を進める。
「ギルマスはなんだって?」
嫌味っぽく聞いてみる。
「あっ……その好きなようにやらせろと……」
受付嬢は言いにくそうに答えた。
受付も終わり早速向かおうとすると受付嬢が何か言いたそうにチラチラと様子を伺っていた。
「何か?」
気になり声をかけるとハッとして決意したように手招きする。
近づくと周りを気にしながら小声で話しかけてくる。
「あの、この依頼ですが群生地が西の森の奥にあります……でも魔物も出るので無理はしないで下さいね」
他の人に聞こえないようにサッと喋ると離れた。
「それって……」
何か言おうとすると喋るなと言うようにシッと口に指を当てた。
受付嬢は冒険者にそのような助言はあまりしない。
これは罠か?
そう思うが彼女の顔は本当に心配しているようだった。
「怪我……無理しないで下さいね」
彼女はそう言うと行ってらっしゃいと笑顔を見せた。
「ありがとう」
まともの受付嬢もいるようだ……
ルークの周りにまともな人がいたことが嬉しくなる。
「君、名前は?」
「私はフロイスです。ルークさんよろしくお願いします」
フロイスはニコッと笑いまた行ってらっしゃいと送り出してくれた。
ベッドに横になっていても落ち着かず起きると水を飲もうと居間に向かった。
「あれ、ルーク?」
するとそこにはマリアが先に起きていた。
「マ……母さんも眠れないの?」
そう聞くとマリアは困った顔で笑った。
「ルークが無事なのはわかってるけど……不安でね」
「俺のせい?」
「違うわ!私が弱いせいよ、大丈夫無事だったから少しずつ慣れるわ」
マリアはもう大丈夫と欠伸をして部屋に戻ろうかとする。
俺はそんなマリアの手を取った。
「もう……絶対に不安にさせないから」
「あら本当?それなら安心ね」
マリアは嬉しそうに笑った。
朝になりいつもより遅く俺は目が覚めた。
マリアはいつも通り起きたようで朝食が用意されている。
「じゃあ母さんは仕事に行ってくるね」
「仕事?お金なら昨日渡したのがあるよね」
「そうだけど仕事をいきなり辞める訳にはいかないもの。それにただでさえ休みをもらって迷惑かけたから……」
言いにくそうに俺をみた。
なるほど俺の看病でお休みを貰っていたようだ。
「わかった。気をつけてね、俺ももう少ししたらギルドに行くよ」
「ルークこそ気をつけね」
マリアが心配そうに眉を下げた。
「大丈夫、もう危険な依頼は受けないよ」
そういえばホッとした顔で仕事に向かった。
「さてと……」
そうは言ったが他の仕事などした事がない、自分がまともに出来ることは冒険者だけだった。
「まぁ最低ランクなんだ、無理しなければ問題ないだろう」
それにもし、ルークの意識が戻った時の為にやれる事はしてやっておきたかった。
俺はマリアが用意してくれた朝食を食べると家を出た。
ギルドに行くとまた視線が集中する。
昨日の事で噂になったようで注目を浴びる、しかしそんな人の視線に気を散らしていたら冒険者なんて務まらない。
無視して真っ直ぐに依頼書を見に向かった。
何にするか……
田舎の依頼書なので大した依頼はなかった。
その中でまともそうな依頼書を二枚取ると受付に向かった。
「これを頼む」
「は、はい」
受付嬢は恐る恐る書類を受け取り中身を確認する。
ギルドカードを見るとちらっと顔を見てきた。
「あの……この依頼書二枚も受けるんですか?」
「何か問題が?」
依頼書を何枚受けたって問題ないはずだ。
文句があるのかとジロっと見つめる。
「い、いえ……ランクが……」
ルークのランクが最低ランクなので依頼達成が不可能と判断したようだ。
俺は少し気持ちを落ち着けてニコッと笑う。
「昨日受けた依頼に比べれば楽なもんだから問題ない。心配ならギルマスに聞いてくれ」
「は、はい」
受付嬢は少し席を外すと言って裏に向かった。
するとすぐに戻ってきて問題ないと依頼の受付を進める。
「ギルマスはなんだって?」
嫌味っぽく聞いてみる。
「あっ……その好きなようにやらせろと……」
受付嬢は言いにくそうに答えた。
受付も終わり早速向かおうとすると受付嬢が何か言いたそうにチラチラと様子を伺っていた。
「何か?」
気になり声をかけるとハッとして決意したように手招きする。
近づくと周りを気にしながら小声で話しかけてくる。
「あの、この依頼ですが群生地が西の森の奥にあります……でも魔物も出るので無理はしないで下さいね」
他の人に聞こえないようにサッと喋ると離れた。
「それって……」
何か言おうとすると喋るなと言うようにシッと口に指を当てた。
受付嬢は冒険者にそのような助言はあまりしない。
これは罠か?
そう思うが彼女の顔は本当に心配しているようだった。
「怪我……無理しないで下さいね」
彼女はそう言うと行ってらっしゃいと笑顔を見せた。
「ありがとう」
まともの受付嬢もいるようだ……
ルークの周りにまともな人がいたことが嬉しくなる。
「君、名前は?」
「私はフロイスです。ルークさんよろしくお願いします」
フロイスはニコッと笑いまた行ってらっしゃいと送り出してくれた。
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