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「じゃあ早速補償の話しだ。あと俺の面倒を見るといった冒険者達にもペナルティをつけろよ」

「それは……もうした。それよりも本当にギルドに喧嘩を売る気か?これから仕事が出来なくなるぞ」

ギルマスが汗をかきながらジロっと睨んでくる。

こんな上からの脅しなど何度も受けてきた。
ここで泣き寝入りするとますます仕事がしずらくなるだけだ。

「問題ない、ここで出来なきゃ他に行くだけだ。ギルドは他にもたくさんあるしな……それよりもここのギルドの嫌な噂を他でも流してやろうか?」

「こ、こいつ……」

ギルマスは悔しそうに拳を握っている。

「まぁとは言っても俺の方もここで仕事が出来なくなるのは面倒だ。だから提案がある、俺は表向きは今回の事でお前らを訴えない……」

「表向きは……」

ギルマスは顔を上げた。

「何が言いたいかわかるよな」

俺はニコッと笑ってやる。
本来ならオヤジが笑えば含み笑いになるが今はルークの姿だ。

としの若いルークが無垢な笑顔を見せたことがギルマスには不気味に見えたらしい。

顔を青ざめると無言で頷いた。

「これから依頼を受ける、報酬が高めのものがいいな」

「わかった。今依頼書を持ってくる、少し待っててくれ」

「はいよ」

俺は椅子の背に寄りかかるとクスッと笑った。

しばらくしてギルマスは依頼書を持ってくる。

内容は簡単な薬草取りの依頼だ。だが報酬の欄の額が一桁違う。

「はい、じゃあサクッと行ってくる」

俺は依頼書を受け取ると席を立った。


ルークがギルドを出るとギルド内がさらに騒がしくなる。

「あれって本当にルーク?」

「全然雰囲気違うんだけど」

ルークの変わりように冒険者たちは怪訝な顔をしていた。

「ギルマス、ルークはどうしちゃったんでしょう?」

不機嫌なギルマスに受付嬢がそっと話しかける。

「知らん、だが……明らかに前とは違う」

「その、依頼をしてきたら……受け付けていいのですか?」

「仕方ない、だがあのルークに薬草取りができるかな?」

ギルマスは出ていったルークを馬鹿にするように笑った。


そして数時間後……

「はい確認お願いします」

俺はドサッとってきた薬草をギルドのテーブルに載せた。

「あと、他にも依頼にあった物をとってきたからそっちも報酬頼む」

俺はギルドに貼られた依頼書を数枚とって受付嬢に渡した。

「これ……全然ルークさんがとってきたんですか?」

信じられないと見つめてくる。

「当たり前だろ」

何を言ってるんだと睨み返した。

「すごいです。根の状態もいいし、保存も完璧です、それにこっちのはホーニー草?」

「ああ依頼書にあったのを覚えててな、ちょうど見つけたからとってきた」

「ど、どうやって?ホーニー草はカゲにしか生えないのに……」

「は?だからカゲを登って見つけたに決まってるだろ」

当たり前の事を言ってくる受付嬢にイラッとする。

「嘘です!ルークさんは普通の薬草の違いも分からないし保存だってとり方だっていつも汚くてまともに依頼をこなしたことも無いのに……」

「ほー……そんな奴にBランクの依頼を薦めたのか……」

俺がつぶやくと受付嬢は口を押さえた。

「無駄話はいいから早く報酬を用意してくれ」

俺は金を出せと受付嬢をせっついた。

「こちらです……」

受付嬢は大きな袋にずっしりと金を詰めて持ってきた。

「はいどうも」

俺はそれを受け取ると中身を確かめないでカバンにしまった。

「中身、確認しないんですか?」

「それは君を信用するよ、さすがにここでちょろまかすなんて馬鹿なことはしないってね」

ウインクすると受付嬢は顔を赤くして怒っていた。

まぁ今までルークがされた事に比べれば小さなイタズラだろう。

だがコレで終わる気はない。

俺はとりあえず金を持って家の方へと向かった。

少し歩くと途中の店で止まり品物を物色するふりをする。するとギルドを出てからずっとつけてくる気配も一緒に止まった。

やはり尾行がついたか……

面倒だなと色んな店に立ち寄る振りをして尾行をまく。

そっと隠れてどんなやつかと顔を見てやる事にした。

見ればまだルーク程の若い冒険者だった。
しかも数人でキョロキョロと当たりを見回り俺を探していた。

「クソ!どこに行った!」

「なんであいつなんかに撒かれるんだよ!」

怒りを顕にものに当たっている。

「誰を探してるんだ?」

声をかけてみた。

「ルークに決まってるだろ!」

俺と気づかずに睨みつけてきた。

「ル、ルーク!」

「俺にようだって?それであんたら誰だ?」

ルークの友達……ってわけでもなさそうな雰囲気だった。

「誰だって?ルーク!ふざけてるのか!」

すると真ん中にいたリーダーっとぽいやつが怒鳴り声をあげる。

目ためはまぁまぁ良くて腕っ節もありそうだ、装備も悪くなくそこそこの腕のようだった。

「すまないが昔のことは覚えてないんだ」

軽く肩をあげると男はさらに怒りがましたのか顔が憤怒している。

「お前の面倒を見てやっていたケアルって言えば思い出すか?」

「ケアル?いや」

わからないと首をふった。

それがケアルの最後の理性を切るのに十分な仕草だったようでケアルは怒りのままに突進してきた。
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