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父の日の裏側
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明日は父の日…ミヅキはいつも日頃から世話になっているシルバとプルシア、セバス、ベイカーに何か贈り物をしたいと考えていた。
なにがいいかなぁ~ベイカーさんとシルバなら食べ物とかかなぁ…でもプルシアとセバスさんに食べ物か…喜んでくれそうだけどもっと違うものがいいかも…
私は外に生えてる木のそばに行き神木様からもらった木を出すと
【ククノ様…聞こえますか…】
声をかけると
【ミヅキ、久しぶりだね】
声が帰ってきた!
私は何かいい物は無いかと相談すると…
【ならピッタリのものがあるよ、そこから少し離れた山にちょうど明日ある木が花を咲かせるんだが、その時に蜜を垂らすんだ…その蜜は芳醇な香りを放ち、人間達にはたまらない美酒となるらしい】
【美味しいお酒か…うん、ピッタリかも!ククノ様ありがとう!早速行ってみる】
【気をつけて…】
ククノ様から大まかな場所とお酒のとり方を聞くと私は早速準備に取り掛かった。
次の日の朝…
そっと朝早く目を覚ますと…
【どこに行く?】
起き出した私にシルバがすぐに気がついた。
【シ、シルバ…おはよぅ】
【おはようミヅキ】
シルバはふわふわの毛を擦り付け優しく触れると
【それでどこに行くんだ?】
がっちりと前脚で挟まれる。
【えっと…ちょっと取りに行きたい物があって…】
【なら、俺も行こう】
シルバが立ち上がると
【だ、だめ!今回はシルバとプルシアはお留守番なの!】
【えっ…】
私の言葉にシルバがショックを受けたように固まる。
【あっごめんね!本当は一緒に行きたいけど…シルバ達が行けないところなんだよ…だから今回は待ってて。その代わりシンク達と行くから!】
【なんで無理なんだ…】
【ご、ごめん…今から行くところは大人は入れないんだよ…】
ククノ様によるとそのお酒は大人は手に入れる事は出来ないらしい、大人の気配を感じると花が萎んでしまうそうだ。
【ごめんね…】
私が済まなそうに謝ると
【わかった…でも一緒に行けるところまで送る…】
シルバが立ち上がるといつものように私を背中に乗せてくれた。
町の外まで連れてってくれると
【シルバ…ここまででいいよ】
シルバから降りてシルバとプルシアを見ると
【じゃあ行ってくるね、すぐに帰ってくるから】
【わかった…気をつけろよ。シンク、コハク、ムーもレムもミヅキを頼むぞ】
【当たり前だよ!シルバ達はゆっくり休んでてよ】
【ミヅキまもる!シルバおじちゃんとプルシアおじちゃんのんびりする!】
【わかったよ、お前達も気をつけろよ】
プルシアが苦笑する。
私たちは心配そうに見つめているシルバ達に手を振って森の中へと入っていった。
【シルバ達…心配してたね】
なんかシルバ達の為なのにあんな顔をさせちゃって罪悪感がわく…
【シルバ達のためにも早くとって早く帰ろう!】
私たちは速度を早めて蜜酒の木を目指した!
シルバとプルシアはミヅキ達が見える高い場所に向かうと遠くからミヅキ達を見送る…
心配そうに見つめていると
【すぐに帰ってきますよ】
プルシアが声をかける。
【わかっているが、あの温もりが近くに無いと落ち着かん…】
シルバはいつまでもミヅキ達に方向を見つめていた。
ミヅキはコハクの鼻を頼りに森の奥へと進んでいく。
【ミヅキ、大丈夫?】
今回はいつも乗せてくれるシルバがいない私は自分の足で歩いていた。
【うん、大丈夫!今回はちゃんと自分で行きたいから!】
【大変になったら僕が乗せるからね】
【ボクものせるよ!】
【プルプル!】
【私も乗せられます】
【みんなありがとう、倒れたらよろしくね。でもまだ大丈夫だから】
優しいシンク達にお礼を言うと先へと進んでいく…ククノ様に聞いた山に着くと
【ここだね、凄い空気が綺麗…マイナスイオンが出てそうだなぁ】
【まいなすいおん?】
シンクが首を傾げると
【綺麗な空気みたいなもんかな】
山にみんなで足を踏み入れるとさらに雰囲気が変わる。
【ミヅキ、気をつけて…なんか空気が変わったよ】
【うん…でも嫌な感じじゃないね】
【あまいにおいする!】
すると突然コハクが走り出した!
【コハク!待って!】
みんなであとを追いかけると
森の動物達が甘い匂いに誘われて集まっていた…
【わぁ!みんな子供の動物達だ!】
周りにはまだ体の小さい動物達が頂上に向かって歩いている。
各々木や葉の器のような物を咥えていた。
【目的はみんな同じみたいだね】
【動物達もお父さんにあげるのかな】
ほっこりした気持ちのまま動物達と一緒に上を目指す、やっと上に着くとそこには低く枝を広げた木が一本壮大にたっていた。
その木の周りにはもう既に到着した動物達が座って花が咲くのを待っているようだった。
【凄い綺麗な木…どんな花をつけるのかなぁ】
私達も動物達に見習い木のそばに腰を下ろしてその時を待った…
シンクをもふもふしたり、コハクをもふもふしたり、ムーをぷにぷに触ったり、レムをツルツル撫でたりしながら充実した時間を過ごしていると周りの動物達がチラチラとこちらを見てくる。
【おいで~】
可愛いコグマに声をかけるとチョコチョコと伺うように歩きながら近づいてきた。
【こうして欲しいのかぁ~】
私はコグマの体をガシガシと撫でるとコグマがくすぐったそうに暴れ出す。
その隙に見せた腹を今度は撫でてやると気持ちよさそうに鳴いた、すると遠巻きに見ていた動物達が寄ってくる。
私はニコッと笑うとまとめて動物達を撫でくりまわした!
動物達と遊んでいると甘い香りが強くなる!遊んでいた動物達も急いで気の周りに動き出すと私達も容器を持って動物達と同じように木の下で構える。
匂いがどんどん強くなると木に小さな蕾がつき始めた!
蕾は木の葉を埋め尽くすほど付くと一斉に白い花を咲かせだした!
【綺麗…】
目の前の花を見つめていると花が咲く瞬間にポタッと蜜が垂れる。
【これだね!】
私は葉で作っておいた容器に蜜を集めた!
シンクやコハク達も各々自分達の容器に蜜を集める。
花は全て開くと蜜が落ちるのも終わる…周りを見ると動物達も上手く蜜をとる事が出来たよだ。
【蜜酒の木さんありがとう…】
私はお礼を込めて木の根に魔力入りの水をかけておいた。
動物達とホクホクしながら山を下っていると…ゴロン…
目の前を歩いていたコグマが木の幹に躓きゴロンと一回転した…可愛い…が、持っていた蜜酒をこぼしてしまった!
【大丈夫!?】
コグマに駆け寄ると怪我は無いようだがほとんどのお酒をこぼしてしまっていた。
コグマは泣きそうな顔で耳を垂らしている。
私達は顔を見合わせると
【良かったらこれあげるよ、私達はまだあるからね】
私が持っていた容器の蜜酒をコグマの容器にわけてあげる。
コグマは嬉しそうに小さな尻尾を動かしていた。
もう転ばないように気をつけながら山を下ると動物達と手を振り別れる。
【ちょっと少なくなっちゃったね】
シンクが苦笑すると
【しょうがないね、ベイカーさんとセバスさん達にあげる分は…一口になっちゃうかな…】
底が見えるほど少なくなった容器を見つめると…蜜酒の木の花がヒラヒラと舞いながら落ちてきた。
【あれ?もう散ってる?】
その花は私が持つ容器に落ちると…
【あっ!花見酒】
これはこれで乙かな!
ちょっと気持が上がっていると
【みてミヅキ!お酒が!】
シンクの言葉に驚いてお酒を見ると花がみるみるとお酒に溶けていき…蜜酒が溢れ出して来た!
湧き上がるように増えたお酒を別の容器に移すと倍に増えて止まった…
【な、なんだったんだ…】
手には倍に増えたお酒がある。
【きっとミヅキが可愛いからおまけしてくれたんだよ~】
シンクが笑っていると
【お水あげたからかもね】
クスクスと笑う。
【でもこれでみんなに沢山飲ませてあげられるね!蜜酒さんありがとう!】
もう見えない山頂の蜜酒の木に向かって私はお礼を言って頭を下げた。
もと来た道をシンク達と帰っていると…
【あっシルバとプルシアだ】
シンクの声に顔をあげると先に見える高台にシルバ達の姿が見えた。
立ち上がり心配そうにこちらを見つめている。
【ずっとあそこで待ってたのかな?】
【そうかもね】
驚いてシンクと顔を合わせると思わず吹き出す。
本当に心配性なんだから…
シルバ達が見えた方に向かい近づくと、何故がベイカーさんとセバスさんが一緒に待っていた!
え?なんで二人が?
ベイカーさんとセバスさんは私が居ない事で心配していたようで顔をみてほっとしている。
そして何処に言ってたのか聞かれてしまった。
本当はちゃんと包んで渡したかったけど…
二人の寂しそうな顔に内緒にしておくのが申し訳なくなり取ってきたばかりの蜜酒を取り出す。
「本当はもっとちゃんと渡したかったけど…はい、シルバとプルシア。それにベイカーさんとセバスさん!いつもありがとう!父の日のプレゼント!」
「父の日?」
四人はじっと贈り物を見つめて驚いている。
驚かせたくて内緒で出かけた事を謝ると…嬉しそうにしながら出かける時はやはり声をかけるように言われる。
でもいつもより優しく注意された…
【シルバとプルシアも内緒にしてごめんね】
【【【いつもありがとう!】】】プルプル!
シンク、コハク、ムー、レムから貰ったふたりは…
【俺達にか?】
【うーん…素晴らしい香りだ】
シルバは何処か照れくさそうに、プルシアは優しく微笑んで蜜酒を受け取った。
疲れた私達はシルバとプルシアに乗せられて家へと帰ると、すぐに汚れを落としてベッドへと倒れ込んだ。
4人で固まって寝てしまうと…
【ふふふ、こんなプレゼントを貰ったのはいつ以来だろう】
プルシアが大事そうにお酒の容器を抱き寄せる。
【ミヅキだけでなくこいつらかも贈られるとは…】
シルバは苦笑しながら眠っているみんなを見つめる。
【せっかくだ、二人で飲まないか?】
【賛成です】
プルシアがシルバの分を容器に移してやると…
【ミヅキ達に…】
【【乾杯!】】
ペロッと舐めるように蜜酒を飲むと
【うん…これは素晴らしい美酒ですね、なかなかの味だ】
【ほう!美味いな!魔力が溢れてくる!】
いつもならすぐに飲んでしまいそうな量だったがふたりは大事に少しずつミヅキ達の思いを噛み締めるように飲んでいった。
なにがいいかなぁ~ベイカーさんとシルバなら食べ物とかかなぁ…でもプルシアとセバスさんに食べ物か…喜んでくれそうだけどもっと違うものがいいかも…
私は外に生えてる木のそばに行き神木様からもらった木を出すと
【ククノ様…聞こえますか…】
声をかけると
【ミヅキ、久しぶりだね】
声が帰ってきた!
私は何かいい物は無いかと相談すると…
【ならピッタリのものがあるよ、そこから少し離れた山にちょうど明日ある木が花を咲かせるんだが、その時に蜜を垂らすんだ…その蜜は芳醇な香りを放ち、人間達にはたまらない美酒となるらしい】
【美味しいお酒か…うん、ピッタリかも!ククノ様ありがとう!早速行ってみる】
【気をつけて…】
ククノ様から大まかな場所とお酒のとり方を聞くと私は早速準備に取り掛かった。
次の日の朝…
そっと朝早く目を覚ますと…
【どこに行く?】
起き出した私にシルバがすぐに気がついた。
【シ、シルバ…おはよぅ】
【おはようミヅキ】
シルバはふわふわの毛を擦り付け優しく触れると
【それでどこに行くんだ?】
がっちりと前脚で挟まれる。
【えっと…ちょっと取りに行きたい物があって…】
【なら、俺も行こう】
シルバが立ち上がると
【だ、だめ!今回はシルバとプルシアはお留守番なの!】
【えっ…】
私の言葉にシルバがショックを受けたように固まる。
【あっごめんね!本当は一緒に行きたいけど…シルバ達が行けないところなんだよ…だから今回は待ってて。その代わりシンク達と行くから!】
【なんで無理なんだ…】
【ご、ごめん…今から行くところは大人は入れないんだよ…】
ククノ様によるとそのお酒は大人は手に入れる事は出来ないらしい、大人の気配を感じると花が萎んでしまうそうだ。
【ごめんね…】
私が済まなそうに謝ると
【わかった…でも一緒に行けるところまで送る…】
シルバが立ち上がるといつものように私を背中に乗せてくれた。
町の外まで連れてってくれると
【シルバ…ここまででいいよ】
シルバから降りてシルバとプルシアを見ると
【じゃあ行ってくるね、すぐに帰ってくるから】
【わかった…気をつけろよ。シンク、コハク、ムーもレムもミヅキを頼むぞ】
【当たり前だよ!シルバ達はゆっくり休んでてよ】
【ミヅキまもる!シルバおじちゃんとプルシアおじちゃんのんびりする!】
【わかったよ、お前達も気をつけろよ】
プルシアが苦笑する。
私たちは心配そうに見つめているシルバ達に手を振って森の中へと入っていった。
【シルバ達…心配してたね】
なんかシルバ達の為なのにあんな顔をさせちゃって罪悪感がわく…
【シルバ達のためにも早くとって早く帰ろう!】
私たちは速度を早めて蜜酒の木を目指した!
シルバとプルシアはミヅキ達が見える高い場所に向かうと遠くからミヅキ達を見送る…
心配そうに見つめていると
【すぐに帰ってきますよ】
プルシアが声をかける。
【わかっているが、あの温もりが近くに無いと落ち着かん…】
シルバはいつまでもミヅキ達に方向を見つめていた。
ミヅキはコハクの鼻を頼りに森の奥へと進んでいく。
【ミヅキ、大丈夫?】
今回はいつも乗せてくれるシルバがいない私は自分の足で歩いていた。
【うん、大丈夫!今回はちゃんと自分で行きたいから!】
【大変になったら僕が乗せるからね】
【ボクものせるよ!】
【プルプル!】
【私も乗せられます】
【みんなありがとう、倒れたらよろしくね。でもまだ大丈夫だから】
優しいシンク達にお礼を言うと先へと進んでいく…ククノ様に聞いた山に着くと
【ここだね、凄い空気が綺麗…マイナスイオンが出てそうだなぁ】
【まいなすいおん?】
シンクが首を傾げると
【綺麗な空気みたいなもんかな】
山にみんなで足を踏み入れるとさらに雰囲気が変わる。
【ミヅキ、気をつけて…なんか空気が変わったよ】
【うん…でも嫌な感じじゃないね】
【あまいにおいする!】
すると突然コハクが走り出した!
【コハク!待って!】
みんなであとを追いかけると
森の動物達が甘い匂いに誘われて集まっていた…
【わぁ!みんな子供の動物達だ!】
周りにはまだ体の小さい動物達が頂上に向かって歩いている。
各々木や葉の器のような物を咥えていた。
【目的はみんな同じみたいだね】
【動物達もお父さんにあげるのかな】
ほっこりした気持ちのまま動物達と一緒に上を目指す、やっと上に着くとそこには低く枝を広げた木が一本壮大にたっていた。
その木の周りにはもう既に到着した動物達が座って花が咲くのを待っているようだった。
【凄い綺麗な木…どんな花をつけるのかなぁ】
私達も動物達に見習い木のそばに腰を下ろしてその時を待った…
シンクをもふもふしたり、コハクをもふもふしたり、ムーをぷにぷに触ったり、レムをツルツル撫でたりしながら充実した時間を過ごしていると周りの動物達がチラチラとこちらを見てくる。
【おいで~】
可愛いコグマに声をかけるとチョコチョコと伺うように歩きながら近づいてきた。
【こうして欲しいのかぁ~】
私はコグマの体をガシガシと撫でるとコグマがくすぐったそうに暴れ出す。
その隙に見せた腹を今度は撫でてやると気持ちよさそうに鳴いた、すると遠巻きに見ていた動物達が寄ってくる。
私はニコッと笑うとまとめて動物達を撫でくりまわした!
動物達と遊んでいると甘い香りが強くなる!遊んでいた動物達も急いで気の周りに動き出すと私達も容器を持って動物達と同じように木の下で構える。
匂いがどんどん強くなると木に小さな蕾がつき始めた!
蕾は木の葉を埋め尽くすほど付くと一斉に白い花を咲かせだした!
【綺麗…】
目の前の花を見つめていると花が咲く瞬間にポタッと蜜が垂れる。
【これだね!】
私は葉で作っておいた容器に蜜を集めた!
シンクやコハク達も各々自分達の容器に蜜を集める。
花は全て開くと蜜が落ちるのも終わる…周りを見ると動物達も上手く蜜をとる事が出来たよだ。
【蜜酒の木さんありがとう…】
私はお礼を込めて木の根に魔力入りの水をかけておいた。
動物達とホクホクしながら山を下っていると…ゴロン…
目の前を歩いていたコグマが木の幹に躓きゴロンと一回転した…可愛い…が、持っていた蜜酒をこぼしてしまった!
【大丈夫!?】
コグマに駆け寄ると怪我は無いようだがほとんどのお酒をこぼしてしまっていた。
コグマは泣きそうな顔で耳を垂らしている。
私達は顔を見合わせると
【良かったらこれあげるよ、私達はまだあるからね】
私が持っていた容器の蜜酒をコグマの容器にわけてあげる。
コグマは嬉しそうに小さな尻尾を動かしていた。
もう転ばないように気をつけながら山を下ると動物達と手を振り別れる。
【ちょっと少なくなっちゃったね】
シンクが苦笑すると
【しょうがないね、ベイカーさんとセバスさん達にあげる分は…一口になっちゃうかな…】
底が見えるほど少なくなった容器を見つめると…蜜酒の木の花がヒラヒラと舞いながら落ちてきた。
【あれ?もう散ってる?】
その花は私が持つ容器に落ちると…
【あっ!花見酒】
これはこれで乙かな!
ちょっと気持が上がっていると
【みてミヅキ!お酒が!】
シンクの言葉に驚いてお酒を見ると花がみるみるとお酒に溶けていき…蜜酒が溢れ出して来た!
湧き上がるように増えたお酒を別の容器に移すと倍に増えて止まった…
【な、なんだったんだ…】
手には倍に増えたお酒がある。
【きっとミヅキが可愛いからおまけしてくれたんだよ~】
シンクが笑っていると
【お水あげたからかもね】
クスクスと笑う。
【でもこれでみんなに沢山飲ませてあげられるね!蜜酒さんありがとう!】
もう見えない山頂の蜜酒の木に向かって私はお礼を言って頭を下げた。
もと来た道をシンク達と帰っていると…
【あっシルバとプルシアだ】
シンクの声に顔をあげると先に見える高台にシルバ達の姿が見えた。
立ち上がり心配そうにこちらを見つめている。
【ずっとあそこで待ってたのかな?】
【そうかもね】
驚いてシンクと顔を合わせると思わず吹き出す。
本当に心配性なんだから…
シルバ達が見えた方に向かい近づくと、何故がベイカーさんとセバスさんが一緒に待っていた!
え?なんで二人が?
ベイカーさんとセバスさんは私が居ない事で心配していたようで顔をみてほっとしている。
そして何処に言ってたのか聞かれてしまった。
本当はちゃんと包んで渡したかったけど…
二人の寂しそうな顔に内緒にしておくのが申し訳なくなり取ってきたばかりの蜜酒を取り出す。
「本当はもっとちゃんと渡したかったけど…はい、シルバとプルシア。それにベイカーさんとセバスさん!いつもありがとう!父の日のプレゼント!」
「父の日?」
四人はじっと贈り物を見つめて驚いている。
驚かせたくて内緒で出かけた事を謝ると…嬉しそうにしながら出かける時はやはり声をかけるように言われる。
でもいつもより優しく注意された…
【シルバとプルシアも内緒にしてごめんね】
【【【いつもありがとう!】】】プルプル!
シンク、コハク、ムー、レムから貰ったふたりは…
【俺達にか?】
【うーん…素晴らしい香りだ】
シルバは何処か照れくさそうに、プルシアは優しく微笑んで蜜酒を受け取った。
疲れた私達はシルバとプルシアに乗せられて家へと帰ると、すぐに汚れを落としてベッドへと倒れ込んだ。
4人で固まって寝てしまうと…
【ふふふ、こんなプレゼントを貰ったのはいつ以来だろう】
プルシアが大事そうにお酒の容器を抱き寄せる。
【ミヅキだけでなくこいつらかも贈られるとは…】
シルバは苦笑しながら眠っているみんなを見つめる。
【せっかくだ、二人で飲まないか?】
【賛成です】
プルシアがシルバの分を容器に移してやると…
【ミヅキ達に…】
【【乾杯!】】
ペロッと舐めるように蜜酒を飲むと
【うん…これは素晴らしい美酒ですね、なかなかの味だ】
【ほう!美味いな!魔力が溢れてくる!】
いつもならすぐに飲んでしまいそうな量だったがふたりは大事に少しずつミヅキ達の思いを噛み締めるように飲んでいった。
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