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節分

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「ベイカーさん、今日は節分だよ」

「せつぶん…またなんかの催しか?」

ベイカーが怪訝な顔を向ける。

「豆を鬼に撒いて(鬼は外福は内)て鬼を撃退するの!」

「鬼…鬼人か?それともセバスさんの事か?」

「セバスさーん!ベイカーさんがセバスさんの事鬼って言ってるよ!」

ミヅキがセバスに向かって大声で叫ぶ!

「ちょ!お前!」

ベイカーがミヅキの口を塞ぐが…

「ベイカーさん…何か言いたいのなら直接言ってくれていいんですよ…」

セバスさんがにっこりと笑いながらベイカーの元に歩いて来た…。


セバスさんから拳骨を貰ったベイカーとスッキリとしたセバスさんはミヅキから節分の説明を受けた。

「ふーん…まぁ鬼役を決めてみんなで豆撒きをしたいって事だな?」

「うん!そう」

「では、鬼役はベイカーさんとアランで」

セバスが決める。

「まぁ…いいけどよ。大豆だろ?そんなの当たっても痛くも痒くもないわ」

ベイカーが笑う。

「ふふふ!楽しみだ!じゃあ私は準備しておくからベイカーさん達は集まれる人に声掛けてきてね」

「わかった」

「セバスさんはククノ様とコハクに大豆をもらって来てくれますか?」

「わかりました」

【コハク!お願いね!】

【任せて!】

「じゃあ会場はいつものリバーシの里で!」

ミヅキが声をかけると三人は各々の場所に向かって行った!


ミヅキはまず厨房に向かうと…

「テリーさーん太巻きとけんちん汁作ろー」

テリーに声をかけていた。

「またなんか新しいメニューか?」

テリーが興味深そうに寄ってくる。

「テリーさんは根菜切ってけんちん汁作って下さい、私は太巻きの準備ね」

ミヅキがボンッと材料を出すと、テリーが手際よく根菜を切っていく。

「豚汁みたいだな」

テリーが途中までの工程で聞いてくる。

「そうだね~でも豚じゃなくてうちは鳥肉ねあと味付けが醤油だよ」

「わかった」

「具材を炒めて出汁を入れて沸騰させたら酒と醤油で味付けです」

テリーが頷くと具材を炒めだした。

【じゃあシルバとプルシアにお願いなんだけど…マグロを取ってきて欲しいんだよね~太巻きには欠かせない】

【海の国で見たやつだな】

【そう!それ!あと海の食材取れたら色々と…】

ミヅキがすまなそうにお願いする。

【わかった、このふたりならすぐだ行ってこよう】

【よろしく!シンクは私と酢飯の準備しようね】

【一緒にね!】

ミヅキとシンクはお米を炊いてシルバ達の帰りを待っていた。


「ミヅキ~アランさん達を連れてきたぞー」

ベイカーさんがアラン隊長達を引き連れて里に戻って来た。

「おかえり~アラン隊長鬼役やってくれるって?」

「はっ?俺が鬼なの?ベイカーに豆をぶつけるのかと思ってたのに…」

アランが顔を顰める。

「終わったらいい物あるからよろしくね」

「任せておけ!」

ミヅキの言葉にやる気を見せる!

「アラン隊長が鬼なんだ…これは日頃の恨みをはらすチャンス!」

「絶対に打っけてやる!」

部隊兵の皆がこっそりと意欲を燃やしていた!

セバスさんも大豆を沢山手に入れて戻って来るとミヅキとセバスで魔法で乾燥する。

「よし、じゃあみんな豆は持ったかな?」

『おー!』

「掛け声は鬼は外福は内、だよ鬼役の人は逃げてね。鬼を撃退して今年一年健康で幸せに過ごせるように願いを込めながらやってください」

『はーい!』

ミヅキの説明にみんなが返事をすると…

「おい!お前ら目が笑ってないぞ!もっと穏やかな気持ちでやれよ!」

アランが部隊兵達に文句を言う!

「あー?鬼が何か言ってるぞ…みんな!撃退だー!」

セシルさんがアラン隊長を睨みつけて文句を言うと他の部隊兵達が続いた!

『撃退だー!鬼は外ー!』

一斉にアランとベイカー目掛けて豆を撒き出した!

「うわ!結構痛いぞ!」

バチバチと豆をくらいながらベイカーとアランが素早く逃げている。

「待てー!」

「ベイカーさんくらえー!鬼は外福は内!」

リュカやテオやイチカ達子供達も楽しそうに鬼に向かって豆を投げつける。

「あれ?なんか投げ方が本格的…もう少しゆったりとした豆撒きを想像してたんだけど…」

ミヅキがみんなの本気に苦笑しながら見つめている。

「まぁいっか…私も投げるぞ!鬼は外!福は内!」

【ミヅキ乗れ!俺がベイカーを追いかけてやる】

シルバがミヅキを背に乗せるとベイカー目掛けて走り出す!

「げっ!シルバそれは狡いぞ!」

ベイカーは追い詰められると…

「くらえ!鬼は外!」

ミヅキはベイカー鬼目掛けて豆を投げた!


豆を撒き終わると…

「ベイカーさん、アラン隊長お疲れ様!みんな楽しそうだったね」

ミヅキが笑顔で労うと…

「あいつら…いつもの私怨が混ざってた気がする…明日から…覚えておけよ…」

アランが地面に倒れ込みなが、楽しそうに雑談している部隊兵達を睨みつける。

「アランさん…セバスさんの豆くらったか?」

ベイカーが聞くと…

「わからんが一度凄い衝撃の豆をくらった…あれがセバスだったのか?」

「絶対そうだ…あの人豆を強化してた…やっぱり本物の鬼はあの人だよ…」

「えー?そうかな?あの後お家でも豆を撒いたけどセバスさん軽く投げてたよ?」

「「それはミヅキの前だからだ!」」

二人が同時に答えた…。

「まぁまぁ、この後に太巻きとけんちん汁があるよみんなで食べよう」

ミヅキが言うと

「よし!食おう!」

アランがスクッと立ち上がった。

「なんだ、アラン隊長元気じゃん」

心配して損した~

ミヅキはみんなにけんちん汁と太巻きを配ると…

「太巻きはシルバとプルシアが取ってきてくれた海鮮太巻きです!あとテリーさんと作ったけんちん汁です。太巻きはその一本を西南西を見ながら食べ終わるまで口を聞いたら駄目なんだよ」

「西南西ってどっちだ?」

みんなが太巻きを持ちながらクルクルと回る。

「今年はあっち!あの神木様の方を見ながら食べて。食べる間はお願い事を考えながらね」

「わかった!わかった!早く食おう!」

「じゃあみんな。いただきます!」

『いただきます!』

ミヅキがもぐもぐと食べ始めると…

「うまーい!」

アラン隊長の声が響いた!

(もう、食べ終わるまで声出しちゃ駄目って言ったのに~)

チラッとアラン隊長を見るが…手には太巻きがもうない…

(えっ?あの一瞬で食べたの?)

ミヅキが驚いていると…

「もう一本ないのか?」

アラン隊長が余ってる太巻きに手を出していた…

ミヅキは呆れると再び西南西をみて…

(これからもみんなで楽しくご飯が食べられますように…)

願いを込めて太巻きを食べつくした。
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