ほっといて下さい(番外編)

大食い大会6

「それでは料理を運んで下さい！」

挑戦者の前にデカ盛り丼が運ばれる…

「すっげぇ…」

「美味そうだなぁ」

改めて見るとかなりの大きさにびっくりしていると…

「ではまずレオン様とカイル様からスタートです、その後１０分経過したら大人達が食べ始めます」

セシルさんの説明の間に料理が揃うと…

「では…大食い大会スタートです！」

合図と共にレオンとカイルが食べ始める！

「うっまぁ！」

「美味しい！」

「おっと二人ともあまりの美味しさにフォークが止まっています！二人とも大食いですよ！」

「あっしまった！」

「うーん…ミヅキの手作りゆっくり味わいたいですが仕方ない…」

二人はミヅキの角煮から食べ始めた…順調に減らしていく二人に…

「あー早く食いたい…」

「まだか～待たされるのは辛いなぁ…」

アラン隊長とベイカーさんが文句を言うと

「子供が頑張ってますから待ちましょうよ」

ムサシさんが二人に声をかける。

「お前知らないのか？あいつら二人ともミヅキ狙いだぞ」

「えっ？」

「きっと優勝商品でミヅキと一日デートとか、ずっと一緒にとか、あわよくばキス…」

「絶対阻止します！」

「ミヅキにはまだ早いわ！」

何故かユキさんが怒りだす。

「ミヅキめー私だってまだなのに…年上として先を越される訳には行かないわ！まだなの！」

大人気ない大人達が騒ぎ出すと…

「あと３分我慢して下さいよ！子供達大人がスタートまであと３分ですよ！」

セシルさんの言葉に二人がスピードをあげる。

「それでは大人達がスタートします…５．４．３．２．１…スタート！」

セシルの合図に待ってましたとアランやベイカーがかぶりつく！

「うっま！なんだこの肉！とろけるぞ！」

「久しぶりのハンバーグも美味いなぁ！」

「うっ！このとりにく美味しいわぁ！ムサシ兄さんの醤油の味と塩の味がある！」

「この揚げてあるのも美味い！肉汁が溢れてくる！」

「全部美味いぞ！こんなの食べた事ない！」

「………！」

「おっと、各々料理を味わってしまっている！黙々と食べているのは…ガッツ隊長とマリーさんだ！」

「「「「「あっ」」」」」

みんな急いで丼に向かっていった！



「時間がもうそろそろ２０分を経過します！レオン様とカイル様の勢いが落ちてきたぞ、大人達の追い上げが凄い！ガッツ隊長は角煮とハンバーグを食べ終えて三分の一ほど食べています」

「おお！凄い」

「おっと…それよりも凄いのは！マリーさん！涼しい顔をしてメンチを食べ終えてていた！」

「「なに！」」

アラン隊長とベイカーさんが顔を上げる。

「あれ？ご飯の中から何か出てきたわ…」

ユキさんがつまみ上げると…

「唐揚げだ！なんとご飯の中から唐揚げが出てきた！」

「ここにきてまだ新たなおかずが…」

レオンが項垂れる…

「レオンは、もうダウン？じゃミヅキの賞品は諦めるんだね」

カイルが口の端をクイッと上げると…

「まだ諦めるか！」

レオンが息を吹き返した！

「皆さん…半分ほど食べきっているようですね、レオポルドさん？大丈夫ですか？」

「も、もう無理…ギブアップ…」

腹をパンパンにして苦しそうにしている…

「おっとここで獣人のレオポルドさんがギブアップだ！」

すると…ミヅキが飛んできて

「大丈夫ですか？今、楽になりますからね～」

背中を擦りながら軽く回復魔法をかけると…

「あれ？…だいぶ腹が楽になった…」

「よかった～でもまだあんまり動かない方がいいですよ！あっちのテントで休んでて下さいね！」

ミヅキがデボットさんを呼ぶと…

「案内よろしくお願いします！」

ミヅキがデボットにウインクする。

デボットはレオポルドを案内しながら…

「ところで丼の味はどうでしたか？」

歩きながら話しかけると

「あんな美味いもの初めて食べました。仲間達にも食べさせてやりたかったなぁ～」

「そうですか、それはよかった」

「うん？」

デボットが笑みを浮かべると…

「よかったらお仲間さんとうちで働いて見ませんか？住居付きですよ…しかもさっきの様な飯も付きます」

「ほ、本当か？」

「ええ…」

「いや…そんな上手い話がある訳ない…何か裏があるんだろ…」

レオポルドが警戒すると…

「まぁ…そうですね…うちで働く事になったら定期的に撫でくり回されると思います」

「へ？撫でくり？」

「ええ…さっきあなた達を触ってた子がいたでしょ」

「ああ…黒髪の…」

気持ちよさそうに触っていた顔を思い出す。

「あの子があなた達を雇いたいそうですよ、まぁ私は断ってもらっても構いません」

デボットが笑うと…休憩所の扉を開けて中へと促す。

「では気分が戻るまで休んでて下さい。それと…さっきの話はどちらでもいいですが…確か獣人達は勘が鋭いんですよね？その勘に従うことをオススメしますよ」

そう言うと扉を閉めて行ってしまった…。

「確かに俺の勘が…ここで働けと言っている…」

レオポルドは黒髪の女の子の笑った顔を信じてみることにした…。


「さぁ！レオポルドさんがギブアップして残るみんなはどうだ！」

「わ、私も…もう…無理…」

ユキさんが追い唐揚げにダウンする…

「おっと！ユキさんもダウン！ミヅキちゃんが介抱しています！」

「「なに！？」」

カイルとレオンが顔を上げるとユキさんに寄り添って介抱するミヅキが見えた。

二人は顔を合わせると…凄い勢いで飯をかき込み出した…。

「急にどうした？子供達！ラストスパートか？」

すると…

バターン！

「同時に倒れた！どうやらダウンの様です！」

(ふふ…ミヅキに介抱してもらうぞ…)

(勝つのは難しそうですからね…少しはご褒美を…)

二人が倒れていると…

「はい、二人とも立って下さい。休憩室に行きますよ」

デボットさんが二人を持ち上げる。

「な、なんでお前が！」

「ミヅキは？」

「ミヅキはユキさんの介抱中、タイミングが悪かったな」

デボットさんがくっくっくと笑う。

「なっ！」

「そんな…」

二人はショックのあまりにガクッと気を失った…。


デボットさんが二人を休憩室に寝かせて置くと…ミヅキが様子を見に来た。

二人の寝顔を覗き込む…

「お疲れ様…」

二人の頭を優しく撫でてミヅキは部屋を出て行った。