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ホワイトデー

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みんながチョコをもらったお礼に何かお返ししてくれると言ってくれたので、1ヶ月後の3月14日におねがいしますと言っておく、やっぱりバレンタインのお返しはホワイトデーにもらわないとね!



そうして待ちに待ったホワイトデーやってがきた。

ミヅキは朝からそわそわしていた。

【ミヅキおはよう】

とシルバが挨拶をしてきた

【シルバ、おはよぉー】

と抱きつく。今日もふわふわの抱き心地。

「ベイカーしゃん、おはようございます」

ベイカーさんも起きていたようで挨拶をすると

「あっああ!おはよう…ちょっと出かけて来るが…シルバといろよ」

そう言うとそそくさと出てってしまった。

今日がホワイトデーって忘れちゃったかな…と少ししょんぼりする。

でもこっちにはない習慣だからしょうがないか!と特別気にする事もなくシルバとご飯を食べた。



「ふぅ~、上手くごまかせたかな?」

ベイカーは急ぎ足でギルドに向かう。

ギルドではギルマスのディムロスと副ギルマスのセバスが待っていた。

「ミヅキさんの様子はどうでしたか?」

セバスが聞いてくる。

「別に普通にみえたぞ。」

ベイカーは自分の方が落ち着かなかったのでミヅキの様子に気がついていない。

「たぶんきづいていないと…思う」

少し自信がない。

「でもシルバに頼んで来たから大丈夫だ!」

そう言うとみんな安心する。

なんでフェンリルの方が信頼があついんだ!とベイカーは納得いかない。

「では、シルバさんがミヅキさんの気を引いている間にこちらも準備してしまいましょう」

セバスの言葉にみんな頷きあった。


その頃ミヅキはシルバと森に来ていた。

木の実を集めてクッキーを作ろうとしていた、

(みんながホワイトデーを知らないなら教えていけばいいや)

今日は、あえて自分からいつもお世話になっているお礼のつもりで作ろうと考えていた。

(いつもみんなには色々、迷惑かけてるしね~)

【木の実もいっぱい集まったし、1回家に帰ろうか!】

シルバがわかったと背中に乗せてくれる。

【あっその前に市場によってちょっと買いたい物があるんだ!】

【…どのあたりの店だ?】

シルバが少し言いよどむ

【小麦粉と卵が買えれば平気だよ】

【わかった。俺が買ってくるからミヅキは家で待っていろ】

【えっ?シルバ買い物出来るの?】

【…ああ。ベイカーにこの前教えてもらった】

【えー!凄いね!今度見せてね!】

ミヅキが驚いていると

【…ああ】

少しうかないシルバには、ミヅキは気が付かないでいた。

家に戻り、ミヅキを降ろすとちゃんと大人しくしていろとシルバが出かけていく。

ミヅキはその間にクッキーの準備をする。

取ってきた木の実の殻を風魔法で割って、実を取り出して細かく刻んでおいて、前に作っておいたバターを取り出す。

ポルクスさんからもらった牛乳からバターを作っておいたのだ。

浅めの広い容器に入れて置いた牛乳を長時間涼しい所に置いておき分離させて上澄みのクリームを取り出す。
それを更に瓶などに入れてシャッフル!道具もなくやると大変だが魔法のおかげで簡単に作ることができた!

(シルバはちゃんと買えたかな?)



その頃シルバはギルドに走る!
コジローを見つけて通訳を頼むと

【ミヅキが小麦粉と卵が欲しいそうだ、ベイカーに買ってくるように言ってくれ!】

コジローは慌ててベイカーに伝えた!

「誰かー!小麦粉と卵持ってないかー?」

大声で聞くとリリアンさんがあるよーと手を上げた。

すぐさまもらってミヅキに届けようとして、立ち止まる。

どうした?とベイカーが近寄るので

【今度、買い物の仕方を教えろと言ってくれ】

とコジローに頼んでいた。

ベイカーはなんでた?と首を傾げてしまったが、シルバは構わず急いでミヅキの元に帰って行った。

【ミヅキ】

シルバが慌ててミヅキがいるか確認すると

【シルバーおかえりー】

ミヅキが手を広げて抱きついてきた!

【ああ、何もなかったか?】

【うん、大丈夫いい子に待ってたよ、だからご頬美ちょうだい】

とミヅキは冗談で言った。
なんてねと言おうとすると、シルバが鼻先をミヅキの鼻先に近づけて、ふたりがふれあう。

(鼻キス!)

ミヅキが目を見開くと

【ベイカーが女にはこうすればいいと言っていた…ミヅキ?駄目だったか?】

【う、ううんびっくりしたけどシルバからだと嬉しい!へへ、素敵なご頬美ありがとう】

ミヅキもシルバの鼻先にキスをした。

(ベイカーさん、シルバに何教えてんだか!帰ったらお仕置きだ!)

と特製のお茶を作っておく。


【じゃさっそく、クッキー作ろう!】

シルバが小麦粉と卵をミヅキに渡す。

【ありがとう、凄いねシルバ!お買い物が出来る従魔なんていないよね!】

【…ああ】

よしよしとシルバを撫でる。

【まずは、小麦粉とバター 、砂糖は高いからはちみつ入れて風魔法で切るように混ぜる】

【卵を入れてさらに混ぜる】

(うん、魔法って便利~)

【どれどれ、固まってきたかな】

と生地をまとめていく。

【大丈夫そうだな!ここに木の実を混ぜてと】

冷やしながら形を整えていく。

【石板の上に並べていって…】

後は焼くだけだ。

【火魔法は禁止だからシルバお願いできる?】

【ああ、構わない。どうするんだ?】

【周りを囲って熱を逃がさない箱を作るイメージなんだけど出来る?】

【うむ、やってみる…火の強さはどうするんだ?】

【えーとシルバは強すぎるから…すっごく弱いイメージでやってみて!】

【まずはこれで練習してみよう!】

木を置いてみる。

ボッ!

【えっ?】

木が一瞬で消えた。

【ちょっと!シルバ強すぎ!もっともっと抑えて】

【何?今のでも強いのか?こんな強さじゃ何も焼けんぞ】

【シルバの基準高すぎ!とりあえずさっきよりもっともっと弱くね】

とまた木を置く。

【やってる?】

木に変化がないので聞いてみるとやってると言う、見てると徐々に焼けてきた。

【いい感じー!その強さでお願い!】

【よし!火の感じもおっけー!じゃ生地を置くからシルバさっきの感じでよろしくね】

と言うとシルバが頷き、クッキーをいい感じに焼いていく。

(ふふふ、いい匂い~)

少し冷まして、用意しておいたバスケット風のカゴに入れておく。

【じゃみんなに配りに行こう!とその前にシルバ、お手伝いありがとう。これどうぞ!】

出来たてのクッキーを渡す。

【本当はバレンタインのお返しに渡すんだよ!でも今回は私からみんなにね】

口元にクッキーを持っていく。

【ありがとうミヅキ、いただく】

パクっと食べると

【やっぱりミヅキの作るものは美味いな】

ありがとうと頬を舐める。

えへへー嬉しいお返し貰っちゃった。

【じゃミヅキみんなの所に配りに行くんだろ】

【うん、シルバよろしくね】

ふたりは出かけていく。

【あれ?まずギルド?】

【ああ、あそこならほとんどの奴が揃ってるだろ】

まぁそうだねと頷いてシルバに任せていた。

ギルドに着くと奥の部屋に通される。

みんなそこにいるそうだ。

扉の前でトントントンっとノックをする…が返事がない。

あれ?と思いもう一度、やっぱり反応なし

「だれかいましゅかぁ~」

そっと扉を開けると


「「「「「ミヅキーバレンタインはありがとう~」」」」」

そこにはギルマス、セバスさん、コジローさんにギルド職員のみんな、ホットドッグのおっちゃんに、リリアンさん、ルンバさんなどチョコをあげた面々が。

「!!」

ミヅキはびっくりして声が出ない

「ミヅキ、ホワイトデーだっけか?みんなからのお礼だ!」

ベイカーさんがテーブルを指さすとそこには沢山の料理やお菓子が並んでいた。


「嬢ちゃん!俺からはホットドッグミヅキスペシャルだ!」

いつものホットドッグにチーズや芋など色々山盛り乗っている。

「ミヅキちゃん、私からはこれよ!」

リリアンさんの手にはジャムの瓶

「色んなベリーをジャムにしたの。今度は一緒に作りましょうね。」

優しく微笑む。

「ミヅキさん、私からはこちらを」

黒い綺麗な石が付いたブレスレットを手に付けてくれると

「料理は作れないので魔法具ですが」

とセバスさんが優しく頭を撫でる。

「ミヅキ、俺からはこれだ」

小さい小刀をミヅキに渡す。

「ちゃんと身を守れるようにな」

コジローさん

他の人達からも様々なお返しをもらう。

「俺からはこれだ」

最後にベイカーさんが花束を差し出した。

「わぁ~きれー」

小さくて可愛い黄色い花の束だった。

「その花は水に浸して魔力をこめると、死ぬほどの怪我でない限り傷を癒してくれる。何かあった時にミヅキを助けられるようにな」

と優しく頭を撫でる。

みんなに素敵なプレゼントをもらってミヅキは嬉しくて下を向く。

笑顔を見せたいけどツーンとして涙が出そうだった。

「ミヅキ…」

優しくベイカーさんが呼ぶ。
ミヅキはフーっと息を吐くと

「みなしゃん、しゅてきなプレジェントありがとうごじゃいましたすっごくうれしいでしゅ」

と心からの笑顔を見せた。

ベイカーさんが良かったなと抱き上げると

えへへっとベイカーさんをみると優しく顔でミヅキを見ていた。

ミヅキもクッキーをみんなに配ると美味しい美味しいと食べてくれる。

リリアンさんは作り方を教えてと言うので今度一緒に作る事になった。

こうして楽しいホワイトデーをむかえることができた。


その後、女の人にモテモテに囲まれてるベイカーさんに、美味しいお茶を運ぶ。

「ベイカーしゃん、たべしゅぎにきくおちゃでしゅ」

と渡すと、お、ありがとなとご機嫌に飲む、すると

「にっがーい!」

とお茶をいきよいよく吹き出した。

「にしし!」

ミヅキのセンブリ茶!よく出来たみたいです。
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