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13章

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「それで、厨房で何をするんだい?食材はさっきので使い切ったからもう何も無いよ」

「食材はこれからあの子達が用意してくれます」

私は自慢の従魔達を見せて胸を張った。

「この従魔達が食材を?」

ロフティさんがそれを聞いて驚いた。

「すまない、もう少し早く聞けばよかった……この辺は雪に覆われていてどこに行っても何も無いよ。近くにいた魔物や動物はあらかた狩ってしまって何もいないんだ」

「え!?そうなんですか」

どうしよう、シルバ達に頼んでしまったが何も捕まえられないかもしれない。

心配になってシルバ達に声をかけようとすると……

ドンッ!

外で大きな音と共にシルバ達の声がした。

【ただいま!ミヅキー】

「あっ、ちょうどシルバ達が帰ってきたみたい」

私は急いで外に出ると目の前に大きな壁が出来ていた。

「え?」

なにこれ?

なんだと触ろうとするとその間にスルッとシルバが擦り寄ってきた。

【シルバ!おかえりーってこれはシルバ達が?】

目の前の壁を指さすとシルバが自慢げに頷いた。

【ああ、中々美味そうな魔物がいないから少し遠出をしてしまった。その代わり大物が捕れたぞ】

「なんだろ?初めて見るね」

「な、なんだその怪物は……」

一緒に出てきたロフティさんが驚き腰を抜かしてしまっている。

「あー、うちの子達が捕まえたみたいです。ロフティさんも見たことないならここら辺の魔物じゃないのかな?」

【これは俺も何度かしか食った事がないな、確か肉が硬いんだよな】

【へー】

私は鑑定をしてみる。

《鑑定》
クレータ……ミノタウロスの雌牛。筋張っていて硬い肉。煮込み料理向き。

【へー、牛の種類みたい。煮込み料理向きってまた変な鑑定だな】

でもここでの料理にピッタリかも!

「ロフティさん、これクレータって言う魔物みたいです。知ってます?」

「え?クレータ?これが?」

ロフティさんは知っていたのか、怖がりながらももう一度確認していた。

「た、確かに特徴はクレータに似てますが……こんなに大きい物を見るのは初めてです」

【そうだろ!いやぁ捕まえるのに苦労した】

シルバが嬉しそうに前足でポンポンとクレータを叩いている。

【でもシルバ、これステーキとかには向いてないみたいだよ】

【なに!?だ、大丈夫だ少しくらい固くても俺は食える!】

【シルバは平気でも他の人が食べられないでしょ?それに……もっと美味しい食べ方があるから大丈夫】

私はシルバにパチッとウインクをした。

【さすがミヅキだな!】

シルバはホッとするとクレータを店の中まで運んでくれた。

「解体をしないとだよね……私一人じゃ無理だなー」

チラッとロフティさんを見ると苦笑して頷いてくれた。

「手伝うよ、他にも解体できる人を呼んでこようか?」

「お願い出来ますか!?お礼は美味しいご飯をご馳走様するので」

「異国の料理か、それは楽しみだ」

ロフティさんは頷き店を出ていくとしばらくして白髪のおじいさんを連れてきた。

「な、なんじゃこりゃ」

おじいさんもクレータを見るなり驚いてしまった。
すぐにロフティさんが説明すると怪しげに私達を見つめるとロフティさんを怒り出した。

「こんな子供に何をさせているんだ」

どうも私の事を心配してくれているみたいだった。

「私なら大丈夫です。それよりも解体をお願い出来ますか?」

おじいさんに目をうるませてお願いすると仕方ないと承諾してくれた。

私は解体はロフティさんとおじいさんの二人に任せてコハク達の様子を見に行った。

【ミヅキー!みてーすごいたくさんできたよー】

コハクが嬉しそうにできた野菜を見せてくれた。

【うそ、もうできたの?】

【コハクと魔力を植物の栄養に変えて成長を促してみたら成功しました】

レムが説明してくれたが魔力の難しい事はよくわからなかった。

【でもこんな立派な食材を揃えてくれて嬉しい!もう少し作っておいてくれる?】

【まかせて!】

たくさん作ればロフティさんにもわけてあげられるだろう。

私は使う分を預かって店へと戻った。

店で一番大きな鍋を借りて野菜をきって炒める。

「お肉少しだけど解体出来たよ、でも…」

ロフティさんが解体出来た肉を持ってきてくれたがその顔は暗かった。

「やはりクレータの肉は料理に向いてないな、苦労して捕まえてもこの肉じゃ割に合わないよ。食べられそうな部分も少ないね」

真っ赤な筋の入った硬そうな肉を見せてきた。

「大丈夫です。そのまま解体お願いします!食べれなさそうな部位も貸してください」

肉を預かると一口大に切って鍋へとぶち込んだ。
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