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12章

720.サウス国

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「ミヅキ、おはよう。昨日は海の国の姫を案内してくれて助かった。あれからスムーズに取り引きの話が進み、海の国の特産物を定期的に安く手に入れられそうだ。夜の食事会も好評だったぞ、せっかくなら一緒に食べられれば良かったのになぁ」

ギルバート王がホクホクの笑顔で話しかける。

「それは良かったです!海の国の食材も美味しいですからね!」

コレでドラゴン亭でバナナシェイクやパフェが定期的に食べられようになるだろう。

「それで昨日の今日で早速悪いのだが、今日はサウス国のレミオロン王やピース王子が到着する予定なんだ」

「わー!ピース達が来るんですね!」

久しぶりに会えるとあってテンションが上がる。

「また、海の国の時と同様に出迎えと相手を頼めるか?」

「もちろん、喜んで!ピース達が来るなら飛竜部隊で空からですかね?」

「そうだろう、昨日リバイアサンを迎えた広場では手狭そうなので王都の外に飛竜達を休ませておける場所を確保してある。申し訳ないがそこに降りてもらう予定だ」

確かに見た事もない飛竜達が大量に来たら、王都のみんながびっくりしてしまうだろう。

「わかりました、じゃあ早速そこに移動ですね!」

「ああ、それと…」

ギルバート王が言葉を濁して横に視線を向けた。

私もそちらを見ると、隣の部屋からエヴァさんがあらわれた。

「あれ、エヴァさん」

「やぁミヅキ、今回は私も呼ばれたんだ」

笑顔で近づいてきた。

「サウス国からエヴァさんに是非ともお礼が言いたいと言う事で来てもらったんだ」

エヴァさんはサウス国の病気の騒動でその知識を使って薬を作ったりと尽力してくれたからだろう。

「じゃあ一緒に行きましょう!」

私はエヴァさんの手を取るとシンクが頭に乗ってきた。

【サウス国の人が来るんだー楽しみだね】

【そうだな、あそこの奴らにはミヅキをえらい目にあわせてくれたもんな…またお礼をしないといけないかな】

【もう二度とあんな気を起こさせないためにも、もう一度じっくりとわからせるべきかもな】

シルバとプルシアがセバスさんみたいに笑っている。

【ちょっと、みんな怖いよ!サウス国のみんなとはちゃんと仲直りしたんだから仲良くね!】

【仲良く…まぁ向こうの出方次第だな】

シルバはクックック!と悪役みたいに笑っていた。

襲い掛かりそうになったら全力で止めよう…

私は心配しながら待ち合わせの場所へと向かっていった。



郊外に出ると前のように部隊兵達が取り囲みサウス国の到着を待っている。

【ん、来たな】

シルバがピクっと耳を立てると合図したかのように皆が同じ方向を見つめた。

私も遅れてみんなの見てる方角を見ると…空に小さい胡麻のようなツブツブが見えてくる。

「あれかなー?」

目を細めて手を広げておでこに当てる。じっと見ているとドンドンとその大きさが大きくなる。

「ギャー!ギャー!」

飛竜達が興奮して、鳴きながら飛んできた!

【うるさいよ!】

シンクが不快だと鳴くと飛竜達がピタッと鳴くのを止めた。

「「「おお!」」」

部隊兵達が飛竜達が息ぴったりに鳴き止んだ事で下で待っていたみんなは統率の取れた飛竜達だと騒いでいる。

【なにあれ?僕がうるさいって言ったからなのに】

シンクは面白く無さそうにくちばしを尖らせていた。

【私はわかってるよ。シンクが凄くて優しい子だって、だから許してあげようね】

機嫌を損ねてしまったシンクの頭を優しく撫でてあげた。

シンクの機嫌が直ると飛竜達は落ち着いて降りてくる。

怒ったシンクの様子をうかがってなかなか降りてこなかったのだ。

「やっと落ち着いた…」

部隊の隊長らしき人が冷や汗をかきながら降り立つと続けて大きな籠を下げた飛竜の群れが降り立つ。

籠が開くとそこには懐かしい友達の顔が見えた。

「ピース!」

私の声にピースがキョロキョロと周りをうかがっている。

「こっちだよ!」

私は大声で手を振った。

「ミヅキ!それにエヴァさんも!」

ピースは父親であるレミオロン王に声をかけて、ギルバート王に挨拶を交わすと笑顔で近づいてきた。

「ピース!久し…ぶり?」

近づいてくるとピースがドンドン大きくなる。

そばまで来た時には上を見上げて驚いた。

「ピース…だよね?」

「そうだよ、久しぶりだね」

笑顔はピースのままだが身長が…あの時は同じくらいだったのに今では頭一個分くらい抜かされてしまった。

「ピース王子、大きくなりましたね」

エヴァさんは子供の成長を見たように喜んでいた。

「はい、あれからぐんぐん伸びて…ミヅキの事抜いちゃったみたいだね」

ニコッと可愛く頬を染めて笑っている。

「ミヅキ、紹介してくれないか?」

「そうだね、僕も挨拶したいな」

ピースと話しているとレオンハルト王子とカイルがいつの間にか後ろにきていた。
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