上 下
613 / 687
12章

715.

しおりを挟む
ルンバさんとポルクスさんはその後アクアお手製のチョコバナナも食べて早速どんなメニューにしようかと話し合っていた。

バナナとチョコが安くなるなら是非ともチョコバナナは出したいようだった。

確かにあれは簡単だもんね。

ポルクスさん達の話し合いはなかなか終わりそうも無かったので一旦中断して厨房に戻ると他の従業員と交代してきた。

ゴウ達従業員にもバナナジュースとパフェを作ってあげて試食させる。

やはり女の子達は甘い物に目を輝かせていた。

「美味しい~こんな美味しいものがあったなんて…プリンが一番だと思ってた」

「私はプリンの方が好きかな、これも美味しいけど」

「このバナナジュース美味しい~朝ならこれでお腹いっぱいになりそうだね」

若い女の子達がキャッキャ言いながら甘い物を食べる姿は可愛い。

ここだけ別の空間に見えた。

「さてと、そろそろアクア様は帰らないとかしら」

ミシェルさんが席を立ち眉を下げて私達を見つめる。

そういえば結構な時間がたっていた。
そろそろ帰らないと王宮のみんなが心配するだろう。

「私達はこのまま帰るわ、ミヅキちゃんはどうする?」

んー昨日はお城にお泊まりしたから帰りたくないけど・・・・・・

「また、他の国の人達も来るんですよね。その度に王宮に行かないとなのかな?」

「多分、そうなるわね。ごめんねミヅキちゃん」

ミシェルさんがすまなそうに謝る。

「ミシェルさんが謝る事なんてないですよ!  じゃあ面倒だけど、他の国の人達来たら知らせて貰えますか?今日はお家に帰ります」

「わかった、国王にそう伝えておくわ。何処に連絡に行けばいいかしら?」

「そういえばベイカーさん達何処にいるんだろ?」

神木の里に行ったがみんなの姿は無かった。

「ベイカーさん達ならギルドのお仕事で警備の手伝いに言ってるわよ。だから王都のギルドじゃないかしら?」

「ギルドか・・・・・・じゃあ私もギルドに行ってみます!  移動するならまた連絡しますね」

ミシェルさんは了解とウインクする。

「じゃあアクアまたね!  他の国の人達来たら紹介するから!」

「うん!  楽しみにしてるね」

アクアとミシェルさんが帰っていくのを見送る。

「あれ?ガッツ隊長達はいいんですか?」

「俺達はミヅキの護衛だからな、ベイカーさん達に引き渡したら帰るよ」

「はい!  じゃあそれまでよろしくお願いします」

「えーミヅキ様もう帰ってしまうんですか」

帰ろうとすると寂しそうな顔でイチカが見つめる。

「ごめんね、でもまた来るから!  それに夜にでもみんなでご飯食べようよ」

「はい!」

「でもイチカはあんまり興奮しないでね。ポルクスさんが心配するよ」

「はい」

イチカは笑ってお腹をさすっていた。

私達はドラゴン亭のみんなに見送られて、ガッツ隊長達とギルドに向かった。

「こんにちはー」

ギルドの扉を元気よく開く。

「ようこそギルドへ、ってミヅキちゃんじゃないおかえりなさい」

ギルドの受付のお姉さんが笑顔で迎えてくれる。

「あれ?なんかギルドに人が少ないですね」

ギルド内をうかがうがいつもなら冒険者がわいわいとおしゃべりしながら依頼書などを眺めているのにギルドにはほんの数人の冒険者がいるだけだった。

「今王都はお祭り騒ぎでしょ?だからほとんどの冒険者達が護衛や警備に駆り出されてるの」

ああ、なんかセバスさん達がそんな様な事を言っていた。

「ベイカーさん達がここに来たって聞いたんですが、みんなも警護に?」

「ベイカーさんなら護衛の説明に行ったわ、セバスさんとディムロスさんはギルマス達と会議中よ」

みんな忙しそうだ。

「そうですか・・・・・・じゃあみんなが戻ったらこれを渡しておいて下さい」

私は先程作ったチョコバナナとジュースを受付のお姉さんに渡した。

パフェは溶けてしまうかもしれないからまた今度作ってあげよう。

「わかったわ、帰ってきたら渡しておくわね。他に何か伝言はあるかしら?」

「じゃあ、里で待ってるって伝えて下さい」

「了解よ」

お姉さんは笑顔で了承してくれた。

ベイカーさん達に会えず少し寂しくなりながらギルドを出た。

そんな寂しそうな私にガッツ隊長が声をかけた。

「ミヅキ、良かったらベイカーさん達が来るまで部隊兵達の住まいに来るか?」

「え?いいの?」

「それはいいね!みんな会いたがってたし遊びにおいでよ」

パックさんも賛成してくれる。

「えっ・・・・・・じゃあ行っちゃおうかな!?」

私は受付のお姉さんに行き先を変更したことを伝えに戻った。

ガッツ隊長に案内されながら部隊兵達の住まいへと向かう。

「おー!  訓練場の近くなんですね」

みんなで訓練した事を思い出しながら横を通り過ぎ住まいへと向かった。

大きな建物が見えると外ではたくさんの服が干されていた。

「あっ、ガッツ隊長おかえりなさい」

洗濯物の間から兵士の一人が声をかける。

「ただいま、ミヅキが遊びに来たぞ。みんないるか?」

「え!?ミヅキちゃん」

「こんにちはー」

ガッツ隊長の後ろからヒョイっと顔を見せた。

「ま、待ってください!ミヅキちゃん建物に入らないで!」

兵士さんは慌てて扉を開けて中へとかけていく。

「みんなー!ミヅキちゃんが遊びに来たぞー」

すると中から先程の兵士さんの大声が聞こえた。

「な、なに!?」

「急いで部屋を片付けろ!ミヅキちゃんに見せたら不味いものは今すぐしまえ!」

「や、やばい!何処に隠そう!」

「ゴ、ゴミ箱!いや、消去!全部棚に押し込め!」

兵士さん達の声が窓の外まで漏れてくる。

「あはは・・・・・・なんかいきなり来ちゃって不味かったかな」

私は苦笑いしてガッツ隊長を見上げる。

「あいつらは、日頃から部屋は綺麗にしておけと常に言っていたのに」

ガッツ隊長の顔は眉間にシワを寄せて怒っていた。

「いきなり来ちゃったからみんなの事は怒らないであげてね」

「それよりもガッツは大丈夫なのか?」

パックさんが何となく聞く。

「当たり前だ!  大丈夫・・・・・・だと思う」

大丈夫だと言いながら徐々に顔が曇ってきた。

「いや、ちょっと確認してくるからここで待っててくれ。パックミヅキを見ててくれ」

「はいはい」

パックさんは大丈夫だからさっさと行けと手を振った。

「大丈夫なんだが一応確認するだけだ」

ガッツ隊長は先程の兵士さん達と同じように屋敷に飛び込んで行った。




しおりを挟む
感想 6,823

あなたにおすすめの小説

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! ★恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 日間総合ランキング2位に入りました!

転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました

ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー! 初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。 ※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。 ※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。 ※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。