ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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14章

666.いただきます!

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「お、俺…やっぱりミヅキともう少し話して来るわ…」

ベイカーがミヅキの後を追おうとすると

「あの様子で話してくれるか?」

アランの言葉にベイカーの足が止まった。

「そうじゃなぁ…今行っても無視されるだろうな」

「そして大っ嫌いって言われるんだろうよ…」

「グッ…」

ディムロスとロブの言葉が胸に突き刺さる…ベイカーは胸を押さえて膝をついた。

「またミヅキにあんな目で見られたら…俺…号泣する」

今にも泣きそうな顔で下を向いてると…

ピクッ!

穴に潜っていたシルバが顔をあげた。

【ミヅキ…?】

何か嫌な予感にシルバは居ても立っても居られずにスクっと立ち上がった…


     ◆


私は三人を怒った後、残りの肉を用意して獣人達とギルドのみんなに振舞う事にしたが…

「少なくなってごめんなさい…」

せっかく作った肉料理が半分になってしまった。

「これだけあれば十分だ、それにしてもいい匂いだ…」

アトラス様達がテーブルに座ると皿に盛られた大盛りの肉を凝視する。

私はその様子にほっとすると食べ方をレクチャーする。

「まずはこの薄パンを用意して自分の好きな具をのっけて巻いて食べるだけです」

「なんだ、そこは一緒なんだな」

獣人達も慣れた食べ方に少しガッカリしている。

「野菜も肉も…他にも色々ありますから自分好みの物を好きなだけ入れてくださいね!」

私はベイカーさん達が食べてしまった残りのプルコギを取ると野菜と一緒に巻いてアトラス様の前に置いた。

「濃いめの味付けですよ、の様子から味はバッチリだと思います」

嫌味を言いつつヴィーラ様やバイオレッド様とアルフレッド様にも同じ物を作ってあげた。

「じゃああんなに怒られてまで食べたい料理とやらをいただこうかな…」

アトラス様が苦笑しながら大きな口でガブッと噛み付いた。

モグモグと目をつぶって味を噛み締めていると…カッ!!と目が見開いた!

そして無言で二口、三口と口に運び大きなブリートを平らげた。

その様子を隣のヴィーラ様がじっと見つめて喉をゴクリと鳴らす。

「わ、私も頂こうかな」

小さい口でカプっと一口食べるとバイオレッド様達も続いた。

何故か無言で食べ続ける獣人の王達…

あれ?当たり前過ぎて美味しくなかったかな?

「どうですか?そんなに美味しくない?」

私は不安になって伺うように聞くと…

「美味い!お代わり!」

「私も!」

「私も!お願い!二本…いえ三本頼むわ!」

「姉さんそんなに食べたら太るよ…僕はあと五本は食べれるけど…ああ自分で巻くから大丈夫だよ」

アルフレッド様がニコッと笑うと置かれた薄パンを取って大盛りで肉をのせた。

「なるほど…自分でやれば好きなだけのせられるんだな…」

アトラス様がアルフレッドの行動に感心した様子で見ていると自分も同じように手を伸ばした。

「あ!アトラス様私達がお取りします!」

後ろに控えていた従者達が変わりに取ろうとするが手を出して制止させられた。

「大丈夫だ!」

手を出すなとばかりに大盛りで好きなだけ肉をのせた。

「わー…気に入って貰えたみたいで何より…でも他にも肉ありますよ?」

「「「「どれ!?」」」」

四人が一斉にこちらを向いた。

四人揃うと怖いなぁ…

若干引きながらコジローさん達と作ったローストビーフもどきを出すとソースを横に置く。

「ちょっとレア気味にしてみました。これはそのまま食べてもいいし、今みたいに巻いても美味しいですよ!お野菜も一緒に巻くのがおすすめです」

「じゃあまずはそのままいただこうかな…」

綺麗なピンク色の肉に油が光って虹色に見える。

肉を取り分けると、それに合わせて視線と尻尾が同じ方向に動いている。

それが可愛くてついゆっくりお皿に盛り付けると…

「ミヅキ…まだか?」

アトラス様が待てないとばかりに舌をペロリと出した、口から見える牙に獣人らしさを感じる。

「やっぱりみんな肉が好きなんだね、うちのみんなと同じ…あっ…」

つい怒っていたのにベイカーさんやシルバ達を思い出して笑ってしまった。

その様子に周りのみんなが伺うように私を見つめる。

「んん…なんでもないよ!さぁ沢山食べてね」

私は誤魔化してお肉にソースをかけると、アトラス様の前に置いた。

コジローさんも手伝ってくれてみんなの分も取り分けて配る。

「さぁどうぞ」

ニコリと笑って手を差し出した…なんか餌をあげてる気分…こんな事絶対言えないけど…

四人が一斉に食べ出した、美味しそうに肉にかぶりつく様子に…

「美味そう…」

「匂いが…たまらん…」

肉を貪るアトラス様達の後ろで食べれない獣人達が目をギラつかせながらまだかまだかと待っている。

「みんなも一緒に食べればいいのに…」

苦笑するがやはり立場が上の者から食べるのが獣人達からしたら普通らしい。

しかしアトラス様が私の言葉にピクっと耳を動かした。

「人族はみんなで食べるものなのか?」

「うーん…私はそうしたいと思ってるだけだよ。獣人さん達の食べ方を否定したくないけど…でもみんなで食べると美味しくない?一緒に食べる喜びを共有するのって楽しいと思うけどな!」

「なるほど…確かに美味い物を他の者にも食べさせたいと思うな…では試しに今日はみんなで食べようじゃないか!我々も人族達の考えに歩み寄りたい」

「アトラス様のその柔軟な考え好きだよ!」

私はアトラス様に親指を立ててウインクした。

「いいんですか!?いや…本来なら考えられないですがもう我慢ならなくて…」

獣人達がアトラス様の言葉に尻尾を振り出す!

「どうぞー、ほらロバートさんもみんなにあげてよ」

「ああ!」

ダンジョンに潜った際に一緒に食べ慣れていたロバートさんがみんなの分も取り分けると…

「ほら、ミヅキの分だ」

私の前にも置いてくれる。

「作った本人が一緒に食べないとな」

「ふふ…そうだね!フライングした人のことはほっといて…いただきます!」

私はシルバやベイカーさんの事は忘れて目の前のブリートにかぶりついた!
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