ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
485 / 687
14章

586.魔物探し

しおりを挟む
【ムーもレムもありがとうね!】

ミヅキは子供達の相手をしてくれるムーとレムにお礼を言うと

【いえ、私も楽しいです!ムーも喜んでいるみたいですよ】

【本当?ならよかった!】

馬車の上を見ると一面真っ白なシーツが干されて風に揺られている。

「気持ちいいね、これで今夜もぐっすり眠れそう!昨日の夜はすっごく気持ちよく寝れたんだよね~」

「なんかいい夢でも見たのか?」

ベイカーさんが聞くと

「うーん…なんにも覚えてない!でもとにかく幸せな気持ちだった」

「そりゃ良かったな。獣人達と寝たから動物に囲まれて遊ぶ夢でも見たんじゃないのか?」

「そうかも…うん!なんかもふもふを探して起きた気がするもん」

「今日は何処で寝るんだ?」

ベイカーが聞くと

「今日は先約があるの!」

ミヅキは嬉しそうに笑ってそう答えた。

ミヅキ達が問題なく洗濯を終えてシルバ達の帰りを待っていた。


シルバ達はと言うと…

「ま、待って…」

ジュウトは必死にシルバ達の後を追いかけていた。

なんで息も切らせずあんなに早く走れるんだ…

ジュウトは狼の獣人と言うこともあり、体力や足の速さには自信があった。

魔獣よりも早いこともあったしさすがにフェンリルには敵わないと思っていたが小さい狐の魔獣にも全然敵わない事にショックを受けていた。

「ジュウト、おそいー」

しかも唯一話を出来るのもこの魔獣だけだった。

「ま、待って早すぎる…もう少しスピード落として貰っても…いいですか…」

ジュウトがお願いすると

【仕方ないなぁ…】

先頭を走るシルバがチラッと振り返ってスピードを落とす。

「あ、ありがとう…」

ジュウトがはぁはぁと息を整えると

【コハク、早く息を殺せと言っておけ。これだと魔物達に気付かれて近づけないぞ】

シルバがジュウトを睨むと

「ジュウト、いきあらすぎ~魔物にげちゃうよー」

「わ、わかってるけど…だ、駄目だ…」

ジュウトはたまらずにドサッと地面に座り込んだ。

「俺はもういいから先に行ってくれ…もう少し休んだら追いつくから…」

ジュウトの言葉にシルバは少し考えると…

【わかった…よし先に進もう】

シルバが歩き出すと

【えっ?いいのこの子連れて帰らないとミヅキにお願い聞いて貰えないよ?】

シンクが心配する。

【ああ、怪我でもさせたら不味いんじゃないのか?お願いはまぁあれだがミヅキの信頼を裏切る方が私は嫌だ】

プルシアが言うと

【大丈夫だ…怪我をさせなければいいんだろ?少しぐらい脅かすのは大丈夫だろ?】

シルバはニヤリと二人に笑いかけた。

【ん?どういう事?】

シンクが首を傾げると

【まぁ見とけ…コハク俺達は先に行くからここでしばらく休んでいるように伝えておけ】

コハクは頷くとジュウトに伝える。

「わかった…足でまといになって悪かったな」

ジュウトが言うとシルバ達はサッサと先に行ってしまった…あっという間に見えなくなるとジュウトは一人森の中に残された。

一人になり息を整えていると…森に入ってから一匹にも合わなかった魔物の気配を感じる。

「えっ…さっきまで何もいなかったのに…」

ジュウトは少し回復した体で立ち上がると木の影に隠れる。

何匹とかどんな魔物かはわからないが何かが近づいて来る気配はしていた。

どうやら向こうはジュウトにターゲットを絞ったようだ。

「狩る側でいたけど…俺が狩られる側か?」

緊張から汗が滴る…じっと身を潜めて極力動かないようにじっとして気配を消していると…

「ドコダ…」

声が聞こえて来た…

こんな所に誰かいるのか?ジュウトはそっと声がした方を見ると、そこには槍やこん棒弓を持ったケンタウロス達がジュウトを探していた…

ジュウトは口を押さえて木の影に隠れる…思わず叫ばなかった自分を褒めたい!

さすがにジュウト一人にケンタウロスの群れには敵わない…ケンタウロス一人でも勝てるかどうか…

ケンタウロスは強さで群れの順位が変わる…あの馬の様な足も蹴られたり踏まれただけで大怪我だ、しかも上半身は人の形…武器も使いこなし強靭な肉体で力も強い…

フェンリル達と離れた途端にこんな事になるとは…

ケンタウロスは唯一目や耳は人並みだ…どうにか上手く隠れていればやり過ごせるかも…

ジュウトはフーと深く息を吐くと身を潜めた。

「ココカ!」

ガサッ!

「コッチダ!」

ゴンッ!

先程からケンタウロス達は闇雲に周りの茂みに槍を突き立てたり、こん棒を振り回したりしている…時折音が近づくとジュウトはビクッと肩を震わせた。

ガサッ…

ちょっと体を動かした拍子に音が鳴る。

「マテ…」

一人のケンタウロスが指示をダストジュウトが隠れていた茂みに目を向けた…

気配がこちらを捉えるのを感じた。

その瞬間ジュウトは死を覚悟した…

あいつらは…まぁミヅキとの契約がある。ここまで良くしてくれたやつには会ったことがなかった。

なんだかんだ反発したが…あいつが良い奴だと言うのは感じていた…しかし人に攫われたばかりだった事もあり、素直になれなかった。

死ぬなら…あの飯もう少し食っておけばよかった。

ジュウトはそう思って目を閉じた。

殺るならひと思いにやってくれ!

そう願っていると…

「グルルル!!」

フェンリルの嬉しそうな雄叫びが聞こえた。

「えっ…」

ジュウトは全然来ない攻撃に目をそっと開くと…目の前にはジュウトを守ろうとフェンリルがケンタウロス達の前には立ち塞がっていた。

【まんまと来たな!弱いこいつを囮にして正解だったな!】

シルバが笑うと

【知らないよー、ミヅキにバレたら嫌われると思うなぁ~】

シンクはジュウトが隠れていた木の枝に止まる。

【まぁとりあえず怪我もなく無事だから大丈夫だろう。本人もまさか囮にされたとは思ってないだろう】

プルシアはジュウトの隣にちょこんと降り立つと

「ぶじでよかったねー」

コハクがその反対側に座る。

「お、お前たち…」

ジュウトはみんなが戻って来たことにほっとして力が抜けてドサッと座り込んだ…

【あーあ、腰を抜かしたぞ】

プルシアが呆れると

【ちょっとお灸を据えすぎたか?】

シルバが急に心配になる…

【ミ、ミヅキには内緒だからな…】

シンク達に声をかけると

【わかってるよ、まぁミヅキへの態度に怒ってたのはみんな一緒だからね。このくらいのお仕置は当然でしょ】

シンクが頷く。

【よし、ならこいつらを捕まえてサッサとミヅキのところに戻ろうか!】

シルバがケンタウロス達に向かって吠えるとケンタウロス達は武器を振り上げシルバに襲いかかった!

「あっ!」

ケンタウロスの群れは全部で六頭いた、その全員が四方に散ってシルバに襲いかかった!

ジュウトが心配する中、鳥の魔獣も隣のドラゴンも狐の魔獣も動こうとしない。

「た、助けないのか?」

ジュウトが狐の子に聞くと

「たすける?だれを?あの馬?」

狐の子は首を傾げる。

「誰って仲間のフェンリルだよ!ケンタウロスが六頭もいたら仲間が危ないだろ!」

どうにか攻撃を避けてはいるがいつまでも避けていられるものではない…そう思っていたが…ケンタウロスの攻撃はいつまでたってもフェンリルの体を傷つける事はなかった…


「ハァハァ…アタラナイ」

ケンタウロス達の息が荒くなってくると

【どうしたんだ?お前らは六頭いるんだぞ、コッチは俺一人だぞ!】

シルバの言葉はケンタウロスには届かないがケンタウロスは何かバカにされた様な気配を感じていた。
しおりを挟む
感想 6,825

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。 そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。 実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。 悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。 しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。 そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

異世界着ぐるみ転生

こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生 どこにでもいる、普通のOLだった。 会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。 ある日気が付くと、森の中だった。 誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ! 自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。 幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り! 冒険者?そんな怖い事はしません! 目指せ、自給自足! *小説家になろう様でも掲載中です

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。