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10章

515.討伐

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腕ずもうで無駄な時間を使ってしまった一行は、ようやくデッドサルコスクスがいる川辺に近づくと…

「じゃあミヅキ達は木の上から見てろ、シルバは今回は護衛にまわってくれ」

ベイカーが声をかけると

【そうだな、こんな男共とミヅキを一緒にしておくのは不安だ。俺達が見ておこう】

シルバはそういうと私を背に乗せて木の上をかけ登る。

男共って…子供だけど…私は苦笑してジン達を見ると

【じゃあジンくん達はムーに頼むのが一番安定するかな?】

私がムーを見るとムーは震えて兄弟達を体に乗せてくれた。

「わぁ!」

「ス、スライムに食われる!」

ジンとユウが暴れると

「二人ともその子も私の従魔だから!(まだだけど…)」

声をかけるとそっとムーを恐る恐る触る。

「その子も優しい魔獣だから大丈夫だよ」

ジン達はムーの感触に慣れたようでポヨンポヨンと楽しそうに座っている。

【ミヅキ、見ろあそこにうじゃうじゃといるぞ】


シルバが示す先を見ると…

【わー!鰐に似てるけど大きいなぁ、それにゴツゴツして硬そう】

「ベイカーさん達、あっちの川岸に沢山集まってるよ。気をつけてね」

私はそっと声をかけると二人は頷いて手をあげると川下からデッドサルコスクスに近づいて行く…

「だ、大丈夫かな…」

ユウくんがギュッとジンの服をつかみながら見ていると

バシャン!

デッドサルコスクス達はベイカー達に気がついて一斉に川へと飛び込んでこちら側に向かってきた!

「おお!ゾロゾロと…じゃあアランさん半分ずつな」

「わかった」

二人はお互いに少し距離を取ると向かってくるデッドサルコスクスを次々に倒していく…その様子を見ていたジン達は口を開けたまま固まっている。

「すっげぇ…」

そう声を漏らすと

「凄いでしょ!でもなんか二人ともいつもより体の動きが鈍くない?腕ずもうの疲れが出てる?」

【あれくらいで疲れるか?】

シルバが首を傾げていると

川の両側に次々にひっくり返ったデッドサルコスクスが積まれていく…

「アランさん全部討伐は不味いんじゃないか?」

「そうだな。共存している風だったから数体は残しておこう!それよりも本命のでかいってのは何処にいるんだ?」

デッドサルコスクスの死体の山の上に立つと周りを確認する。

すると川上の方の木が音を立ててなぎ倒されている…音がどんどんと近づいてくると今まで倒したデッドサルコスクスの倍以上の大きさのデッドサルコスクスが姿をあらわした!

「こりゃ確かにでかいな」

「何メートルあるんだ?」

尻尾も含め10メートルほど有りそうな化け物にジン達が震え出す。

「あんなにでかかったんだ…おじさん達が強くても…あれは…」

不安そうにお互いの手を握りあっている。

「大丈夫だよ!二人ともすっごく強くて頼りになるんだから」

私は安心させるように二人に笑いかける。

「それに二人で敵わなくてもこの子達もいるからね!あの二人より強いんだよ!」

そう言ってシルバ達を撫でると

「そ、その魔物達が?」

驚いてムー達を見ると

「うん!ジン達のマックスだってそうだったんでしょ?」

「うん…凄い強かった」

「なら、きっと大丈夫!そんな優しくて頭いい子ならきっと上手く攻撃かわして逃げてるよ!そんでもってどこかでチャンスでも伺ってるかもよ!」

「そ、そうかな?」

もし、怪我してるなら回復魔法で治してあげたいけど…

森の様子を伺ってみるがデッドサルコスクスが暴れてまわっていて森がざわついている。

ジン達の為にも生きててくれてるといいんだけど…

私は不安そうに森を眺めた。

【ミヅキ何が心配?】

肩に乗っていたシンクが不安そうな顔をしている私に声をかけてくる。

【ジン達を助けたって言うマックスって子がまだ生きてるかなぁ…って】

【ふーん…じゃあ僕が飛んで少し見てこようか?】

シンクが言うと

【いいの?】

【うん、ミヅキにそんな顔させておく訳にはいかないからね】

そういうとシンクはバサッと空に飛び上がった!

デッドサルコスクスの化け物と戦うベイカーさん達の上の旋回すると…

【炎矢!】

炎を弓矢の様にしてデッドサルコスクスの尻尾に撃ち込む!

「あっ!シンク何してる!」

デッドサルコスクスが痛みに尻尾をブンブンと振り回すと

【手間取ってるから少し手を貸してあげたんだよ~】

シンクはそれだけすると森の中へと消えて行った。

「なんなんだ!?」

アランがシンクの行動に首を傾げると

「もしかして尻尾が弱点か?」

普通のデッドサルコスクスより硬い鱗に苦戦していた二人は尻尾目掛けて剣を振り下ろす!

ズシャ!

シンクが炎矢を放った場所目掛けて剣を当てると鈍い音を立てて尻尾がちぎれる!

「おお!やっと切れた!美味そうだなぁ…このまま焼いたらステーキだぞ」

アランさんが尻尾を剣に突き刺して上にあげると

「お!いいなぁ!じゃあ俺も!」

ベイカーも続いて尻尾を両断する。

「グギャアー!!」

デッドサルコスクスの雄叫びが響く!

「おお、痛がってるのか怒ってるのか」

「両方じゃねぇか?」

二人が笑っているとデッドサルコスクスがでかい体に似合わず俊敏に突っ込んできた!

「危な!」

二人は避けてデッドサルコスクスの体に着地すると…剣を背中に突き刺す!

ガキンッ!

「やっぱりここは硬いなぁ!」

「これ以上力を込めると刃こぼれしそうだからなぁ…」

アランが剣を撫でると

「しょうがない…やっぱりネックレス外すか?」

ベイカーを見ると

「あっ!そうか、どうも体が重いと思った…」

二人はネックレスを外すと収納にしまう。

「やべぇ!体が軽い!」

「剣の重さを感じねえなぁ!」

ブンブンと剣を振り回している…そのまわりではかまいたちがおきているのか周りの木々がバサッバサッと倒れていた。

「じゃあ一発試し斬りを…」

ベイカーさんが剣を構えて力を込めると…

「ハッ!」

デッドサルコスクスに向かって一刀する、すると…

ポロン…

デッドサルコスクスの左脚が綺麗に胴体から離れた…

デッドサルコスクスも何が起きたのかわからずに急に失った脚にバランスを崩すと

「じゃあ次は俺だな」

アランさんも同じ様に一刀を入れる!

「???」

デッドサルコスクスは気が付かない間にその生涯を終えた…

ズドンッ!

デッドサルコスクスが真っ二つにされてその巨体を崩すと川水が大量に溢れかえる!

「あーあ!川を塞き止めちゃったよ」

巨体な体が川を塞いでしまい川の流れを塞き止めると…

【邪魔だな、私が運んでやろう】

プルシアが飛んで行くとその体を掴んで開けた場所まで運んでくれる。

「すごい…本当にやつけちゃった…」

ジンは呆然とベイカーとアランを見つめていた…

【ミヅキ~!マックスって鹿の魔物って言ってたよね?なんかそれっぽいのがいるよ~】

こっちが片付くとシンクから声がかかった!

【えっ!本当に!どうなの無事なのかな?】

【うーん…なんか様子が可笑しいみたいちょっと来てくれる?】

【わかった!すぐ行くよ!ベイカーさん達も呼んで来るね!】

私達はすぐに下に降りてベイカーさん達に声をかけると…

「本当に!マックス無事だったの!?」

ジン達が嬉しそうに声をあげる!

「待って!まだマックスかわかってないからねそれに様子がおかしいって言ってたからジン達は待ってて」

「そ、そんなぁ!ここまで来て待ってるなんて」

「大丈夫そうなら呼ぶから、アランさん二人のこと見ててくれる?」

「ああ、ほら二人ともこのデッドサルコスクスでも捌きながら待ってようぜ。ミヅキに任せておけば大丈夫だ、見ただろ?頼れる従魔達を?」

「う、うん…じゃあミヅキ、マックスの事頼んだ…」

「ミヅキちゃん…よろしく…これマックスが好きな果物…元気になるようにあげて」

ユウくんは持っていた果物を私に差し出した。

「わかった。マックスに渡すからね」

私はしっかりと受け取った!
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