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8章

464.反省

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無事にみんなで里に戻ってくるとミヅキはベイカーの前に正座をして座っていた…

「なんで逃げてる最中にあんな魔法を使ったんだ!」

仁王立ちで怒っているベイカーさんにチラッと上目遣いをすると

「シンクが花火をしてみたいって…でも軽率な行動でした」

深々頭を下げて土下座する。

「アルフノーヴァ様が機転を利かせて花火を打ち上げてくれたおかげで誤魔化せたがもし見てる奴でもいたらどうする気だ!せっかくの計画がおじゃんだぞ!」

「はい…」

ミヅキがしゅんと反省すると

【そのくらいでいいだろうが、別にバレなかったんだから】

シルバがミヅキの隣に来るとベイカーに向かって唸り声をあげる。

「お前はそうやっていつも甘やかして!」

ベイカーがシルバにシッシッと手で払うとシンクがベイカーの頭目掛けてくちばしを突き出した!

「いて!何すんだ!」

【ミヅキは悪くないんだよ!悪いのは僕なんだからミヅキを怒らないで!】

【シンク…シルバ…ありがとう。でも私もやりすぎちゃったから今回はみんなで反省しよう】

ミヅキがシルバとシンクに言うとベイカーへの攻撃をやめる。

【ミヅキ…ごめんね僕のせいで怒られて。つい嬉しくてあんなにでっかい花火になっちゃったんだ…】

【いいんだよ、従魔のした事は私の責任でもあるからね。次は気をつけようね】

【はーい…】

シンクがしょんぼりしながら返事をしているとその様子にベイカーも気がついた。

「まぁ…シンクも反省してるようだからな。次こういう事の無いようにするんだぞ!」

「はい!」

ミヅキが返事をすると

「おい、ベイカーもう許してやれよ。ミヅキも十分反省してるだろ?」

おつまみを食いながらアランがベイカーに声をかける。

「そうですよ、何事も無かったんですから許してあげて下さい」

アルフノーヴァさんも笑って二人を見つめる。

「そうだ、そんな小さな子を座らせて謝らせるなんて見た目的によくないぞ」

ギルバートもテリーさんが用意してくれた料理を食べながら許してやれとベイカーに注意する。

「あいつらは…ミヅキに嫌われたくないからって…」

ベイカーが呑気に飯を楽しんでるおやじ達を睨みつけると

ミヅキが立ち上がってベイカーの側にくる。

ベイカーの足に捕まると

「ベイカーさん…ごめんね」

ミヅキは眉毛を下げてベイカーを見上げる。

「ミヅキ…」

「今回は自分でもよくないって思ったの…嫌いにならないでね…」

ベイカーはミヅキを抱き上げると

「嫌いになるわけないだろ!ミヅキが心配だからこうやって口うるさく言ってるんだ」

「うん、わかってる」

ミヅキもベイカーの首元にギュッと抱きついた。

「おお、怖い母ちゃんからお許しが出たな!ミヅキおいでこっちで一緒にうまい飯を食おう!」

ギルバートが笑顔で笑い合うベイカーとミヅキに声をかけた。

「いいか、ミヅキ…ああいう大人になったら駄目だぞ」

「う、うん」

凄い殺気を込めて睨みつけるベイカーさんに私は曖昧に頷いておいた。

私を抱き上げたままベイカーさんはテーブルに座ると

「ずるいぞ!ミヅキを独り占めして!こっちにも寄越せ!」

ギルバートが手を広げる。

「ほら、ミヅキここに来れば美味しい焼き鳥食わしてやるぞ~」

「焼き鳥!テリーさんの焼き鳥美味しいよね~」

私が身を乗り出すと

「騙されるな、テリーさん!こっちも焼き鳥頼む!」

ベイカーさんがギュッと抱きしめる手に力を込めると

「ミヅキーこっちはステーキだぞー」

アラン隊長が面白がって肉を見せる。

「では、ミヅキさんこちらのサンドイッチはどうですか?野菜がたっぷりで美味しいですよ」

アルフノーヴァさんがサンドイッチを見せてくる。

「わぁ!それも美味しそう!テリーさん料理の腕あがってない?」

私が褒めるとテリーさんが嬉しそうに頭をかいている。

「そうかな?」

「いや、本当に。十分にお店でも開けるレベルですよね」

「すごいなテリー、この人達にそんなお墨付きもらえるならたいしたもんだろ」

デボットがテリーを褒めると

「テリーなら当然ですよ」

ギースが自分の事のように胸を張る。

「ミヅキの味に慣れたみんなに飯を作ってたからかな」

「じゃあ私達もテリーさんの料理の腕に一役買ってるんですね!」

ハル達が追加の料理を笑いながら運ぶ。

「では、これからも料理の駄目だししてあげないとね!」

ライラが笑うと

「えー!テリーさんの料理どれもいつも美味しいよね」

「うん!」

「僕テリーさんの料理大好き!」

ミトやラバ達が美味しいと言いながらご飯を食べている。

「お前らは素直で可愛いなぁ」

テリーさんが素直に褒めてくれるミト達の頭を撫でると

「それって私達が可愛くないってことですか?」

「テリーさんひどーい!」

ハル達からブーブーと苦情が飛ぶ。

「おお…どこも女、子供は怖いなぁ」

アラン隊長がわー!わー!と騒ぐみんなを見ながら苦笑している。

「そう言えばギルバートさんとアルフノーヴァさんとアラン隊長帰らなくていいの?」

のんびりとご飯を食べている三人を見回す。

「そうですね…美味しいご飯も頂きましたしそろそろおいとましましょうか?」

アルフノーヴァさんが腰をあげると

「まだいいだろ?別にやる仕事も無いし!」

ギルバートがもう少しいようと言うと

「またニコルさんにどやされますよ。ギルの仕事は今ニコルがやっているんでしょ?」

アルフノーヴァさんが微笑むと

「えー!ギルバートさんお仕事ロレーヌさんに押し付けて来たの?」

「いや違うぞ。今回は学校の開校の式典に出るという役目があったから変わりにニコルがやっているだけだ」

「いや…それのどこが押し付けてないって言えるの?」

どう考えても今押し付けてるよね?

「アラン隊長もセシルさんが困るからもう帰った方がいいんじゃないの?」

「そうだなぁ…ミヅキも無事に戻ったしうまい飯も食わせて貰ったしそろそろ俺も帰るかな」

珍しくアラン隊長が言うことをきく。

「「えっ…」」

私とベイカーさんがアラン隊長を凝視する。

「本物のアラン隊長?」

「別人じゃねえのか?」

二人でコソコソと話していると

「じゃ行きますよ」

「ほら、王様帰るぞ」

アルフノーヴァさんとアラン隊長がギルバート王を両側から掴むとヒョイと持ち上げる。

「では、お邪魔致しました」

アルフノーヴァが軽く会釈をする。

「ミヅキ、またな」

アラン隊長がミヅキにウインクすると国王を抱えて王宮へと帰っていった。
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