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8章

435.依頼

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「こんな物まで頂いても宜しいのですか?」

村人がミヅキが作った貯蔵庫を覗き込む。

「いいですよーだからまたタケノコ無くなったら下さいね」

「もちろんです!あっ!竹も切っておきましたよ…長いのを数十本用意しておきましたが…何に使うんですか?」

タミン達が聞くと

「ふふふ…とってもいい事にです」

ミヅキは笑って受け取ると大事そうに収納に閉まった。


「じゃあそろそろ元村長を降ろすか?」

ベイカーが聞くと

「あっ!すっかり忘れてた!」

ミヅキが口を押さえる!

「死んじゃった…って事は無いよね?」

ミヅキが上を見上げると…

「あっ…なんか鳥みたいのが飛んできたよ」

テオが空の上を指さすと…

「あー…そりゃあんな餌みたいのが置いてあったら集まってくるわなぁ…」

ミヅキが飛んできた鳥を見つめると…

「ベイカーさん!あれ私たちの依頼の怪鳥だよ!」

「なに!?よし…行くか!」

「うん!空だからプルシアとシンクよろしく!」

【やっと出番だ!】

【うむ、任せておけ】

【ミヅキ…俺は?】

シルバがシュンと尻尾を垂らしながら聞くと

【うっ…だってシルバ空飛べないし…】

【それなら問題ない、足場を作ればいいだけだからな】

【そう?まぁシルバが大丈夫なら一緒に行こ】

ミヅキが笑って誘うとシルバが嬉しそうに尻尾を振った!

ミヅキはシンクの上に乗ると

【シンクいい、あの鳥の羽根を回収しなきゃいけないから燃やすのは今回はなしだよ】

【あっそうか!残念…】

シンクがつまらなそうに言うと

【どうする?コハク達と待ってる?】

【いいや!ミヅキと行くよ!炎だけが魔法じゃないからね】

そう言うとシンクはミヅキを乗せて空高く上がって行った!

ベイカーとシルバはミヅキが作った土の柱を登ると…上では…

「た、助けて…」

元村長がやって来たベイカーに助けを求める。

「お前…俺のミヅキに手を出そうとしたらしいな…」

ベイカーは村長を掴むと地面に落とそうと宙に持ち上げる。

「ひぃ!」

村長が落とされまいとベイカーの手にしがみつくと

「す、すまなかった!もうしない!もうしないから!」

「泣いて謝るくらいなら最初からやるな!お前はこのままギルドに連れていくからな…」

「わ、わかった!わかったから降ろしてくれ!」

「降ろしていいのか?じゃあこのまま下に行くか?」

ベイカーが腕の力を緩める…

「ち、違う!そこの!そこの地面に!」

村長が涙と鼻水を流して懇願すると

「うわ!汚ぇなぁ…ほら!」

ベイカーは冷たく見下すように見つめるとポイッと村長をほおり投げた。

「へっ…」

村長は唖然とするとそのまま下へと落ちていった…

ドスンッ!

下に落ちると寸前でコジローとムーが村長の首根っこを掴んで受け止めた。

村長は白目を向いて口から泡を吹いていた…

「うわ…汚い…上からも下からも…」

コジローは村長をポイッと地面に捨てると

「カイ、水魔法で洗ってくれこのまま連れていきたくないからな」

「了解です!綺麗にしておきますね!」

カイはニコニコと笑うと水魔法を村長の顔に当てる!

水魔法の水圧に村長が目を覚ますと…

「い、痛い!痛い!冷たい!」

カイから放たれる水に村長が地面をのたうち回る!

「大人しく洗われてくれます?水しぶきがあたると汚いんで…」

カイは容赦なく水圧を上げると顔を洗っていく…

「あぼぼっぼぼつ!」

顔から臀まで綺麗に洗うとテオが土魔法で檻を作る。

「事が終わるまでその中で待ってて下さい」

「さ、寒い…だ、誰か…」

村長が檻の間から手を伸ばす…

だがリュカ達は勿論村人達もみんなが冷たく睨みつける。

村長を無視していると

「ミヅキは大丈夫そうかな?」

テオ達が心配そうに空を見上げる。

「ミヅキなら大丈夫だろうけど…何かしでかさないか心配だよね…」

「本当に…」

リュカ達は心配そうにシンクの背に乗るミヅキを見つめた。


「ベイカーさん!凄い数が飛んできたよ!」

ミヅキがベイカーを見ると

「俺達は高く飛べないんだ!シンクとプルシアで落としてくれ!それを俺達が仕留める!」

「わかった!」

【プルシア、シンク!鳥さんたちをベイカーさんとシルバの所に落とすよ!】

【【了解!】】

プルシア達は速度をあげると怪鳥に突進していく!

「ギャー!」

怪鳥達はプルシアとシンクの攻撃にパニックになりめちゃくちゃに飛び回ってしまった!

【ちょこまかと!燃やせば一発なのに…】

【確かにな…威圧で動きを止めるか!】

プルシアは威圧を込めて雄叫びをあげると怪鳥達の羽根が固まりバランスを崩してよろよろと落ちていく。

【プルシア凄い!僕も!】

シンクも同じように鳴き声をあげる!

「おっ!鳥共が落ちてきたぞ!シルバ身体はあんまり傷つけるなよ!」

ベイカーは鞘を掴むとそれで鳥を殴り落としていく。

「コジロー!リュカ!下に落とすから村の人を避難させて置いてくれ!」

ベイカーが下に向かって叫ぶと

「もう皆さんとっくに避難しましたよ!こちらは大丈夫ですから思う存分殺って下さい」

「ベイカーさん!何匹か取っといてよー」

コジロー達が落ちてくる怪鳥を拾い集めながら手を振る!

「何匹か取っとくったって…」

ベイカーは二、三匹軽く叩きつけ落とすと下でリュカ達がまだ息のある怪鳥と戦っている。

「よし、オークの分もたっぷりとやるぞ!」

ベイカーとシルバは次々に怪鳥を叩き落としていった…


「ふー凄い数だね…拾うのも一苦労だよ」

ミヅキが落ちた怪鳥をどんどん収納にしまっていく。

「こんなに拾ってますけど依頼は何匹集めるんですか?」

コジローが手伝いながら疑問に思っていた事を聞くと

「えっと…十匹でいいみたい!」

「十匹…どう見ても五十匹はいますけど…」

「お肉も骨も使いたいからいいの!これでしばらくはお肉に困らないね」

ミヅキがホクホクしながら嬉しそうにベイカーを見ると

「オークが半分減らされたが思いもよらず鳥が仕留められたな!さぁ帰って早速食おうぜ!」

「その前に報告とこの人運ばないと…」

ミヅキが檻の中で震える村長を見ると、村長はベイカー達の戦いを見てガタガタと震えていた…

「あ、あんな怪物達を一瞬で…は、ははは…は」

ブツブツと何か言いながら笑っている。

「なんか…おかしくなっちゃった…」

ミヅキが檻に近づこうとすると…

「ひぃぃ!く、来るなぁ!誰かぁ!」

ガンガンと檻を叩いて逃げようとする。

「何この人…ミヅキが怖いのかな?」

村長の様子にリュカ達が顔を顰める。

「女…こわい…おんな…こわい…こわい…」

ガタガタと震えながら親指をしゃぶり始める…

「脅かしすぎたか?」

ベイカーが檻の中を覗くと視点の合っていない村長が地面をひたすら見つめていた。

【こんな奴を運ぶのは嫌だぞ】

【私もお断りだ】

シルバとプルシアが心底嫌そうに檻を睨みつける。

「ベイカーさん、この人どうやって運ぶの?」

「そうだなぁ…プルシアに…」

「ギャー!」

プルシアが嫌だと叫ぶと…

「シルバが…」

「グルウウゥ…」

「えー!じゃあシンク?」

「クェ!」

シンクがプイッと横を向く。

【ベイカーが引いていけ!こんなにしたのはベイカーだろうが!】

シルバがベイカーの事を鼻で押すと

「何するんだ!ま、まさかお前俺に運べって言うのか?」

「ガウッ!」

シルバがコクコクと頷く。

「これをか…」

「あっじゃあベイカーさんこうすればいいかな?」

ミヅキがニヤッと笑って檻を叩いた。
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