ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
322 / 687
11章

434.タケノコ

しおりを挟む
「あっならタケノコ欲しいんですけど…その分お金は支払いますよ」

ミヅキが村人に声をかける。

「タケノコ?そんなもので良ければ…」

村人が了承してくれると

「やった!」

ガッツポーズをして喜ぶ、その姿に

「ミヅキずっとタケノコタケノコって言ってたもんね…」

カイが微笑ましい思いでミヅキをみつめた。

「うん!どうしても欲しいんだ!それと竹も少し欲しいなぁ~」

「竹籠じゃなくて竹かい?」

「そうです!」

「こちらとしては全然構わないけど…こんなに迷惑かけたのにいいのかい?」

村人がミヅキの申し出に申し訳なさそうにしていると

「迷惑かけたのはあのおじさんでしょ?皆さんは関係ないもん!それにタケノコがまた手に入るならなんの問題もないよ」

ミヅキは笑って答える。

「ありがとう…」

村人は目を潤ませてミヅキに頭を下げた。

「じゃあオークも少し置いてってやるか…」

ベイカーさんが仕方なさそうに言うと…

「「「「「えっ…」」」」」

みんながベイカーさんを凝視する。

「べ、ベイカーさんが肉をあげるなんて…」

「た、大変!熱でもあるのかも!」

ミヅキがベイカーに駆け寄っておでこを触る!

「熱は無いみたい…」

ミヅキがホッと胸を撫で下ろす…

「お前ら…」

ベイカーがミヅキ達を睨みつける。

「だってベイカーさんが命の次に好きそうな肉を手放すなんて…」

「別に命の次はそれじゃねぇよ…」

ベイカーが呟いた…

「まぁあんなに殺ったんだから少しくらいあげても大丈夫だよね」

みんなが笑うと

「そうだよ、半分くらいあげてもいいんじゃないの?」

「は、半分!」

ベイカーがビクッと体を強ばらせる!

「半分はないんじゃないか?」

笑いながらみんなに聞くと

「あんなにいるんだからいいんじゃない?」

「そうだな、俺もあんなに食えると思えないし」

「村の人達これから大変そうだしね…」

ベイカーの考えに対してリュカ達が次々に答える。

「ベイカーさん、子供達がこんな事を言ってるのに…大人のベイカーさんが駄々こねちゃ駄目だよ…」

ミヅキは諦めなとばかりにベイカーさんの足をポンポンと叩いた。


ベイカーさんとコジローさんが村の人にあげる分のオークを捌いている間にミヅキ達はタケノコを取りに行く事にした。

「あれはあのままでいいんですか?」

竹林を案内してくれるタミンさんが不自然にそびえ立つ柱を見上げると…

「落ちなければ死なないだろうし大丈夫だよ」

【さっき見てきたけど失禁して気絶してたよ】

シンクが教えてくれる。

【汚いなぁー!後で水魔法で洗わないとね…】

ミヅキが眉をひそめて嫌そうな顔をする。

【一応…落ちてきたらムー受け止めてあげてくれる?汚い所は触らなくていいからね】

ムーはぴょんぴょんと跳ねて答えた。

「そ、そうですか…いや本当にあんな男に従っていたのかと思うと恥ずかしい…」

タミンが下を向く。

「これからはみんなで頑張って下さいね!私もたまにタケノコ買いに来ますから!」

「ありがとうございます!」

「タミンさん達よかったねーミヅキが気に入った食材なら他の人がきっとこれから買いに来ると思うよ」

リクが言うと

「そうなのかい?」

「まじまじ!ミヅキが目に着けた食材はどこにいっても流行するからね!」

「まぁ主にマルコさんが買い占めるけどね…」

テオがボソッと呟いた。

「タケノコ楽しみだなぁ~」

ミヅキはタケノコが楽しみでリク達の話も聞こえなかった…


「こちらですね」

タミンが指し示す方向を見ると見事な竹林が生い茂っていた。

「みんな見つけたら折らないように慎重に取ってね!」

「ミヅキ!これか!」

リクが少し成長した自分程に伸びた竹を指さす。

「それは成長しすぎだよ、もっと小さくて地面にひょっこり生えてるのね」

「ミヅキさん、これなんてどうですか?」

タミンが落ちてい笹を退かして土から盛り上がっているタケノコを見せると

「そう!そういうので!さすがタミンさんですね」

ミヅキが凄いと顔を綻ばせてタミンに微笑むと

「い、いえ…」

タミンが嬉しそうに頭をかく。

「竹林は子供の頃からの遊び場でしたからね、さすがにわかりますよ」

「みんなもタミンさん見習って沢山掘ってね!結構地面を掘らないと取れないからね!」

【コハク、このタケノコの周り彫ってくれる?】

ミヅキがコハクに頼むと、コハクが前脚で軽快に土を掘る!

「ぶっは!コハク!土がこっちに飛んできてるぞ!」

見るとコハクが掘った土がリュカの頭を直撃していた!

「ごめん!」

コハクはペロッと舌を出して謝ると気にした様子もなくまた掘り出した。

「クソ…コハクの後ろには行かないようにしよう…」

リュカはコハクから離れてタケノコを探し出した。

それから何本がタケノコを見つけるが全部タミンさんが見つけていた…。

「全然見つからない…」

「タミンさんよく分かるね?」

リュカ達がお手上げとばかりに地面に座り込む…

「足で踏むと少しボコッとした地面があるんですよ、そこを見るとありますよ」

「足?」

リュカ達がすり足で歩き出す…

「あっ…なんかここにある!」

コウが叫ぶとみんなが集まってきた。

「ここ見て!」

コウが笹を退かすとそこにはタケノコの先が顔を出していた。

「やったぁ!」

「コウ凄いね!」

ミヅキがコウと手を合わせる!

「よし…じゃあ慎重に掘らないと…」

コウがタケノコの周りを掘り出すと…

「これ…ミヅキにあげるね」

コウが頬を赤らめミヅキを見ると

「嬉しい!ありがとうコウ!」

ミヅキがコウに笑いかけると…

「俺も見つけるぞ!」

「俺もだ!」

リュカ達が真剣な顔で地面を見ながら足を擦りながら歩き出した…

結構見つけられたのはコウとタミンさんだけだったが、ミヅキは大満足で帰っていった。


村に着くと渋い顔のベイカーさんが待っていた…

「どうしたの?ベイカーさんお顔が怖いよ」

「見てみろよ…この肉…」

ベイカーが捌いた肉を見せると

「おお!油が乗って美味しそうだね!」

そこにはさしが入った肉が大量に積まれていた。

「そうだろ?美味そうなんだよ…なぁ、本当に半分やるのか?」

ベイカーが悲しそうな瞳で見つめてくるが

「いつでも狩れるんだからいいでしょ!村の人達はこれから大変なんだから!」

ミヅキとベイカーが言い合っていると…

「ミヅキさん、私たちはこんなに貰えませんから大丈夫ですよ…この一欠片だけでも貰えたら十分です」

タミンが二人に割ってはいると

「ほら!タミンさんもこう言ってる!」

ベイカーが喜ぶとタミンが苦笑して

「それにこんなに頂いても腐らせてしまいそうですしね」

「あっそれならちゃんと保冷庫あげるよ」

ミヅキが地面を土魔法で掘ると中に氷を作り出す。

「ここに入れて置けば結構もつと思うよ」

「へ?」

タミン達が驚いてミヅキが作った地面を見ると…

「またオークとか魔物が来たらここに逃げ込んでもいいしね」

「す、すごいですね…でもこんなことが出来るなら…タケノコもっと簡単に掘れたんじゃ…」

タミンが言うと…

「あっ…」

ミヅキが口に手を当てる。

「いや!食材は自分達で取ってこそだよね!タケノコ堀りは繊細だしね!」

ミヅキはうんうんと一人で納得していた…



しおりを挟む
感想 6,825

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

異世界着ぐるみ転生

こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生 どこにでもいる、普通のOLだった。 会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。 ある日気が付くと、森の中だった。 誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ! 自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。 幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り! 冒険者?そんな怖い事はしません! 目指せ、自給自足! *小説家になろう様でも掲載中です

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。