ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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10章

372.感謝

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「じゃあプルシアの籠を出すよ~」

ミヅキが移動用の籠を出すとみんなで乗り込んだ…

「じゃあねピース!」

「また!気をつけて!」

ミヅキ達が飛び立つとピースが前に出て手を振っている…

プルシアが羽ばたき上空に上がると…

【ミヅキ…東の方から何か来ているぞ?】

プルシアが何かの気配に気がついて東の方を見ると…遠くから砂煙をあげて何かがサウス国目掛けて大量に押し寄せて来るのが見えた…

徐々に近づいてくると、ピース達にも地響きに気が付き東の方角を見ている。

「レミオロン陛下…何かが近づいてきます…」

「ピース王子とお下がり下さい!」

兵士達がレミオロン達を下がらせようとするが…

「あれは…ブチタウロスの大群…待て!空にも何かいるぞ!」

レミオロンが空を指さすと…そこには巨大な鳥がブチタウロスを襲っていた…

「あれはルフ?なぜこんなところに…」

どうやらルフが暴れ回り、逃げてきたブチタウロスの大群がサウス国に突進してこようとしていた…

「何あれ…あっ!あの鳥シルバがとってきた鳥じゃない?」

ミヅキが押し寄せてきた魔物を上から見ていると…

「このままだとピース達が危ないよ!」

ミヅキが慌てていると

「兵士達もいるし何とかなるだろ…さぁ俺たちはおいとましよう」

ベイカーがミヅキを抱き上げる。

「だってあの鳥が暴れてるのってシルバのせいじゃないの!?」

ミヅキがシルバを見ると…

【どうかなぁ…確かに二匹いて面倒だから一匹しか仕留めなかったが…】

【絶対それで暴れてるんだよ!あの牛みたいなのもどうにか出来ないの?】

【面倒だなぁ~】

シルバがしょうがないと降りようとすると…

【あっ!シルバ僕がやるよ、この土地ならある程度動かしやすいし】

シンクがそう言うと空に飛び立って行った…

【あっ…シンク!】

シンクはブチタウロスの前にいくと、みるみると体の炎を大きくして本来の姿に戻った。

【はい!邪魔ーさっさとおうちに帰ろうか?】

バサッと羽ばたくと地面がグラグラと揺れだした…ブチタウロスが速度を緩めると…

【早く止まらないと、焼肉になるよ…】

ブチタウロスが走る先の地面が割れると溶岩が吹き出してきた…

「グウモォォー」

止まりきれなかった先頭のブチタウロスがそのまま溶岩に突っ込んでしまうと、たちまちあたりに肉の焼ける匂いが広がった…がみるみると焼け焦げ真っ黒い塊になってしまった…

「あー!勿体ない…」

ベイカーが上から眺めていると…

「おっ…牛達が引き返し始めたぞ」

何匹かが犠牲になったが他のブチタウロス達はくるっと向きを変えて来た道を戻り始めた…しかしその行く手をルフが遮った…

【あっ…あのでっかい鳥が邪魔してる】

ミヅキが心配そうにシンクを見つめると…

【大丈夫だよ、ミヅキ安心して】

シンクはルフの方に飛んでいくがルフの方がシンクよりも一回り以上大きかった…

【シ、シルバ!何かあったら助けてあげてね!】

ミヅキがシルバをみると

【助けるって…どっちをだ?鳥か?牛か?】

【シンクだよ!】

ミヅキが言うと

【なんで強い方を助けるんだよ】

シルバがクイッと顎をシンクに向けると…ミヅキが慌てて振り返った。

そこにはルフを赤子の様に扱うシンクがいた…誰が見ても力の差は明らかで呆気なくルフを丸焦げにして地面に落としていた…

「あー!」

ベイカーが悲痛な叫びをあげると…

「あんなに焦げたら…食べれないじゃないか…」

残念そうに腹をおさえた…。



その時…シンクの戦いを見ていたサウス国のレミオロン王と部隊兵…そして国民は…

「あれは…鳳凰…」

「あの子…いつもミヅキの肩に乗ってた赤い鳥だ…あの子が鳳凰だったんだ…」

ピースが空にいるミヅキ達を見上げると…その視線にミヅキが気がついた。

「あの鳥は討伐したから大丈夫だよ~!安心してねー!」

大声で叫ぶと

「クゥエェェー!」

シンクが威嚇するように野に向かって鳴く、するとサウス国の大地が静かに震えた…。




レミオロンとピース達はミヅキ達が見えなくなると…

「最後の最後まで驚かされたな…」

レミオロンがピースの肩に手を置くと

「鳳凰の加護を受けた子だったんだ…」

「あれは…国王自ら探しに来るのも納得だったな、むしろあの程度の処罰ですんでよかった…」

「でも、それ内緒にしといた方がいいよ」

ピースが苦笑すると

「そうだな…あんだけ隠していたのに最後にさらけ出していったな、彼らには謝罪と感謝しかないこの事は国の秘密にしておこう」

レミオロンの言葉にピースはホッと顔を綻ばせた…

「さぁ、これから忙しくなるぞ…まずは自分たちの力で王都熱を鎮めなければならない…一からやり直しだ…」

レミオロンの顔が曇る…

「あっ、そうだ。僕エヴァさんから王都熱の薬を貰ったんだ…」

ピースの言葉にクラーク先生が飛び上がって反応した!

「王子!それは本当ですか!?」

「うん、クラーク先生に渡して下さいってコレで成分を調べて作るようにと…」

「エヴァさん…感謝します」

クラーク先生が薬を手に頭を下げた…

「しかし…これに使う薬草が…」

「今なら飛竜達が大量に飛び立っている!飛竜島に今のうちに採取に向かうんだ!」

レミオロンが飛竜部隊に指示を出すと

「忙しくなるぞ!お前達は直ぐに成分を調べるんだ!」

「「「はい!」」」

クラーク達が調合室に向かうと…

(そういえばミヅキからも何かもらったな…)

ピースはミヅキからもらった袋を取り出して中を確認すると…そこには大量の薬草が入っていた…

「これは?」

なんの草だ?

ピースがおもむろに一枚取り出してじっくりと見ていると…

「ピース!!」

レミオロンがピースに向かって凄い表情で迫ってきた!

「す、すみません!」

思わずあまりの迫力に謝ってしまうと

「お前!これを何処で!!」

薬草を掴む手をガッチリと掴んだ…

「こ、これは…」

(私からもらったことは内緒だよ…)

ミヅキの顔と言葉が頭に浮かぶ…

「ウエスト…国の人達といる時に拾いました…」

「それは…彼らの物ということか?」

あからさまにガックリと肩を落とすと

「あっ!ち、違う!違います!もらった…というか…」

ピースがしどろもどろに答えると

「そ、それよりこれはなんなんですか?」

ピースが話を変えると

「これが王都熱の薬を作る材料の薬草だ!」

「これが…」

ピースは袋いっぱいに詰められた薬草を見つめると

「これだけあれば今病に苦しんでいる子に十分行き渡らせることが出来そうだ…ピース…よくやった」

レミオロンが誇らしげに我が子を見つめていると

「誰か!急いでクラーク先生と飛竜部隊長を呼んでくれ!」

レミオロンが部隊兵や従者達と顔を明るくして忙しそうに王宮へと向かって行った。

ピースは一人ミヅキ達が飛び立った方を見つめると…

「ありがとう…」

爽やかな風が頬を冷たく吹き抜ける…ピースの頬には感謝の涙が一雫流れていた…。
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