ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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10章

351.ピース視点2

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彼らに王子だと言うことが知れると…今まで優しい顔をしていた男性の気配が変わった…

「証拠隠滅をしましょうか…」

その言葉は冗談とも本気とも取れた…それを助けてくれたのはミヅキだった。

何やら揉め出す一同に事情を聞いて愕然とする…

サウス国の兵士がミヅキを攫ってきたことを聞かされた…

しかも薬を作ってくれた薬師も同意ではなかった模様…信じられない気持ちでミヅキを見つめると…その手を掴む

心の底から申し訳ないと謝ると、ミヅキは笑って首を振る…

謝るべきは罪をおかした者だと…

これは国の問題なのに…しかし周りの人達はそれを許さないだろうと見ると…ミヅキの様子に仕方なさそうにミヅキを優しげに見つめていた。



ミヅキは謝る僕に気にするな言うだけでなく…僕の事を心配してくれる。

こんな子をなぜ兵士達は誘拐などしたんだろう…

とりあえず王宮に戻り皆の誤解を解かないと…でもここから離れ難いなぁ…

僕を普通の子供と扱ってくれるここが、凄く居心地がいい…

でも僕は王子だ…後ろ髪を引かれながら帰ることを決めると、ミヅキが寂しそうにとんでもない事を言う。

一緒にお風呂だと…

一緒にご飯だと…

僕はその誘惑に抗えなかった。

もう少し居ようかな…その気持ちを伝えるとミヅキが嬉しそうに喜んでくれる…やっぱりここは居心地がいいな

僕は笑ってミヅキの手を取り、お風呂に入るのを楽しみだと言うと…突然、殺気が飛んでくる…

後ろを見ると、冒険者の人が顔を引き攣らせながら壁に穴を開けていた…どうやらミヅキと一緒にお風呂に入るの事を嫌がっているようだ…

別に二人きりで入る訳でも無いのに…そんなに嫌なら湯浴み着でも着ればいいし…

でも…面白い反応だな…

少しからかいたいが、本当に命が危なそうだ…

そんなふうに笑っていると…綺麗な女性が部屋に入ってきた…聞いて驚く!彼女が薬師…

儚げな雰囲気のその女性が薬師?

彼女が心配そうに僕のそばに来ると熱を計るためにおでこに手を当てた…

一気に意識がおでこに集中する…少し冷たいその手は僕のおでこを気持ちよく冷やしてくれた…

女性はエヴァさんと言うらしい…ミヅキの視線が気になるが今は無視だ…

するとミヅキが彼女もお風呂に入ると言う…

この女性とお風呂…

それを想像するだけでただでさえ火照った頭は限界を超えた…。


落ち着くとみんなで風呂に入る…他の人と入るのは初めての体験でワクワクしていると…見たことも無い建物に案内された…

どうやら話の流れからミヅキが考えて商人が建てたらしい…異国の風呂とは変わっていたが悪くなかった…

広い風呂にみんなでくっ付き合いながら入っている

僕はリュカやテオと友達になり一緒にいた…

同世代の友達だ…リュカの遠慮ない態度もテオの関心無い感じもなんかくすぐったい

ミヅキと一緒にいたと思われる大きな従魔たちが風呂に入ると一気にお湯が流れてしまい、ベイカーさんが怒り出す…その様子をみんなで笑って見ていた。

壁の向こうのお風呂から女性達の声が聞こえると、大人達の会話が止まる…その様子にテオは苦笑していたが、リュカはよくわかってないみたいだ…

僕もエヴァさんの声が聞こえると恥ずかしくなり湯船に顔を沈めた。

あれ…ミヅキわざとやってないかな…

風呂から出ると女性陣たちが出てくるのを待つ

すると足が動かないミヅキが変わった杖をつきながら一人で出てきた…

初めてみる道具…起きてから初めてづくしだ…

しかし大人達の関心は別にあるようだ、誰がミヅキを抱き上げるかで争っていた…エヴァさんも心無しか参加したそうにしている

すると商人が急いで走ってきた、慌てた様子でミヅキの持っていた杖に注目している、それを作り売り出そうとしていた…確かに怪我をした者が一人で歩ける道具…

いいかもしれないなぁ…あれもウエスト国の物なのかと思っていると…ミヅキが考え作ったと言う…細かい説明を分かりやすく商人に説明している姿は…年下とは思えなかった…

確かこの風呂もミヅキの考えだと言っていたが…もしかして全てそうなのか?

その姿に驚いていると、ミヅキ達が僕がいた事に気がついた…すると今までの雰囲気が変わり、張り詰めたものになってしまった…

ミヅキも悲しそうに僕を見つめる…

理由を聞くと、どうやら自分が考えた事を知られたく無い様だ…確かに誘拐されたばかりできっと不安なのだろう

僕はミヅキの事を誰にも言わないと決めた…

だって…この関係を壊したくないからね…

それにミヅキの嬉しそうな顔を見たら…やっぱり助けたいと思ってしまった。

そして…その判断は正しかった…僕はこの時、命拾いをしたんだ。

彼らは生半可な気持ちでこの国に来たのではないと…

あの選択を後悔することはきっと無いだろう。
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