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7章

312.サウス国

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「わぁ!久しぶりの陸上!」

ミヅキ達は最初に海に入った時に上陸した島に戻ってきた。

リバイアさんや海熊が海から顔を覗かせる。

【リバイアさんありがとう、海熊さん達もね】

ミヅキが頭を撫でると

【また…会いにいく…】

【うん!美味しいもの作って待ってるよ】

リバイアさんは言葉少なく海へと帰って行った…

「なんか…一気に寂しくなったな…」

ベイカーさんがミヅキの隣に来ると

「アクアに…ネーレ様にジュウト隊長にシードさん…ユーノにリバイアさんに海の民のみんな…なんか寂しくなっちゃうね」

ミヅキがベイカーさんの手を握る。

「帰ればみんなが待ってるぞ、コジローにユキにムサシ、王都に行けば部隊長のみんなや里のみんな…寂しいのなんて一気に無くなるさ」

「そうですよ…さぁ町に報告して帰りましょう」

セバスさんが反対の手を握る…

ミヅキは少し寂しさが紛れた。

【じゃプルシアお願いします!】

再びプルシアの運ぶ籠に入ると

「では町への報告は私とベイカーさんで行ってきますからミヅキはデボットさんとレアルさんエヴァさんと待っていて下さいね」

「はーい!」

「シルバさん達が居れば大丈夫ですよね?」

【ああ!任せておけ】

【ミヅキの事は僕らがちゃんと守るよ】

「プルシアさん最初に降りた森にまた向かって下さい」

【分かった】

プルシアのおかげであっという間に町に着くと…

【なんか人が多いなぁ…大丈夫か?】

プルシアが下を見ながら言うと

【えっ?】

ミヅキが下を見に駆け寄ると

「どうした?」

みんなもミヅキに続くと…

「げっ…」

「不味いですね…」

ベイカーとセバスの顔色が曇る。

「あれは…サウス国の紋章ですね」

「もしかして王都に連絡していた部隊が到着したのか?」

「そのようですね…」

「どうする?」

ベイカーさんがセバスさんを見ると

「このまま通り過ぎたい所ですが…このままではサウス国が海の国に戦争を仕掛けかねませんね…ジョルダン王からも書状を預かっていますし…」

セバスさんが唸っていると…

「みんなで行く?」

ミヅキがセバスさんを見上げて聞くと…

「「「「駄目だ!(です)」」」」

おお!久しぶりに皆さんの息ぴったり…

「やっぱり最初の通り私とベイカーさんで…書状をさっさと渡して帰りましょう…」

「了解!俺は黙ってる」

ベイカーが頷くと

「プルシアさん達はこのままもう少し離れた場所に降りて下さい」

「セバスさん達は?」

「私達はここで降ります」

そう言うとセバスとベイカーが躊躇なく飛び降りた!

「あっ!」

皆で下を覗き込むと…

砂をまきあげ着地するとそのままスタスタと歩き出した…

「すげ…」

デボットが震えると…

「あっ…デボットさん達の防壁は私が張るね」

ミヅキが言うと

「ミヅキ大丈夫だ、私が頼まれてる」

エヴァさんが答える。

「えーじゃやる事ないねー」

ミヅキはどんどん離れて行くセバスさんとベイカーさんの背中を見つめると…

「一緒に行きたかったなぁ…」

ボソッと呟いた…。


「うわっ…門の前にもわんさかいるぞ…」

ベイカーが嫌そうに言うと

「プルシアさんの姿を見られたのでしょう…警戒されると面倒ですねぇ…」

「止まれ!」

門に着くと案の定停止させられる。

「この町に何の用だ!」

あからさまに警戒されると

「この町の町長さんに頼まれて海の国に行っていた者です…町長さんにお目通り願いたいのですが…」

セバスさんが礼儀正しく頭を下げると、ベイカーも続く。

「あなた達がA級冒険者の方ですか?」

門番達が警戒を少し解くと…

「こちらでお待ちを…」

簡易的に用意された小屋に案内される…

「やべぇ…時間がかかる予感しかしねぇ…」

ベイカーがボソッと言うと

ドンッ!

セバスさんがベイカーさんの脇腹を肘でつつく。

小屋で待っていると…

「ベイカー様!」

ロイドさんが駆けつけた。

「無事だったんですね!良かった…」

二人の元気そうな姿にホッとしていると

「皆さんが海の国に向かわれてからどうにかクラーケンを食べて待っていたんですが…そうそうあれって皆さんから貰ったソースないんですかね?あれないとなんか物足りなくて…」

なぜか話が脱線していく…

「えっと…それよりも今の状況を…」

セバスさんが話を止めると

「ああ!すみません…それがその後に王都から部隊兵達が到着しまして…ですが言われた通りにベイカー様が戻るまでどうにか待機してもらっていました!」

「そうですか…なら町長と部隊の責任者にコレを…」

「これは?」

ロイドが書状を受け取ると

「海の国の国王からの書状ですこの度の騒ぎの謝罪とこれからの交流の事が書いてあります」

「こ、交流?」

「これからは陸の国とも接点を作って行きたいと考えているようですよ」

「それは素晴らしい…今まで頑なに閉鎖的だったのに…」

「ではそれを渡しておいて下さいね、我々はこれで…」

セバスさんが席を立つと

「お待ち下さい!町長と部隊長に会って行って下さい!!」

ロイドがセバスさんの腕を掴むと…

「ほら…」

ベイカーさんが面倒くさそうに呟いた…。

無理やりロイドに連れられ町長の屋敷に向かうと

「ベイカー様!…とセバスさん…」

町長がセバスに気がつきチラッと奥に座る人達を見ると…

(あれがサウス国からの部隊長ですかね…)

セバスさんはベイカーさんの後ろに控えて周りを観察する。

(部隊長、副隊長クラス二名って所でしょうか…)

「クラウス隊長…こちらがお話したベイカー様です」

町長がベイカーさんを指し示すと

「この度はサウス国の危機にありがとうございました、それで…海の国とは?」

「話ついた、これが書状だ…確認してくれ」

ベイカーさんが書状を渡すと

「拝見致します」

隊長と副隊長と思われる二人が近づくと書面を確認する。

「こ、これは!近いうちに話し合いがしたいと書いてありますよ!」

町長が驚いていると

「しかし…サウス国でなく、ウエスト国とですね…」

副隊長の一人が呟くと

「ベイカー殿これはどういう事でしょうか?」

「えっ?俺?」

ベイカーさんが驚くと…

「私達は書状を預かっただけですので…詳しくはウエスト国での会議で聞いてみてください」

セバスが後ろから口を挟んだ。

「会議?」

部隊長が怪訝な顔をすると

「海の国はウエスト国と友好関係を結ぶ事を検討しているそうです、私たちはその書状も預かっていますのでそれを今からウエスト国に持っていかなければなりませんので…」

「なぜウエスト国が?」

「それは…きっと食べ物に惹かれたのでしょうね」

セバスは申し訳なさそうに笑った。


「はぁ…暇だねー」

セバスさん達を待つ為少し離れた森にプルシアが降り立ちミヅキ達はひと休憩とっていた。

「たまにはこうやってゆっくりするのもいいだろ?」

デボットさんが言うと

「そうだけどさぁ~じっとしてるのも辛いよ~」

ミヅキがトンとシルバに寄りかかると…

「あっ!そうだ!落ちついたらやろうと思ってた事あった!」

ミヅキがバッと立ち上がると…

「いいから…大人しくしててくれよ…」

デボットさんが嘆いた…。
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