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6章

308.拷問

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「そ、それは我々も拝見してよろしいですか?」

ジュウト隊長が声をかけると

「ジュウトさんなら…まぁいいですかね…」

セバスが頷くとジュウト以外は外に出て行った。

「では、レアルさんとデボットさんあなた達でお願いします」

「「えっ?」」

二人が思いも寄らないふりにびっくりしていると

「我々ですか?セバスさんがやるんじゃ?」

「お二人の尋問の様子見ておきたいので…よろしくお願いしますね」

二人は頷くと…

「お前らに何をされようと喋る気はない…殺すんなら殺せばいい…」

ブラハは口を噤んだ。

「ふーん…なら死にますか?」

デボットが軽く言うとナイフを出す…

「ああ!殺せばいい!ひと思いにやれ!」

ブラハが叫ぶと

「レアルさんそいつの手を椅子に縛り付けてくれよ」

レアルは頷くとブラハの体を固定した。

「な、何する…殺すなら心臓をさすなり首を切るなりすればいいだろうが!」

「なんでお前に言われる方法をとなきゃならん?死ぬ前に何をされようが関係無いだろ?」

デボットは笑うと…部屋に気配と音遮断の魔法をかける。

「うるさくされると起きちゃう子がいるんでね…」

そう言うとブラハの爪をコツコツとナイフの先でつつくと…

「じゃ手始めに基本の爪剥がしから…」

そう言うと器用に指と爪の間に刃を入れるとそのままぐりっと爪を剥がす…

「ギイャアー」

叫んだ隙にレアルが口に布を巻き付けると…

「では今から1枚づつ取っていくんで、喋りたくなったら言ってください。あっ…喋れないか?なら目で合図でいいですよ、その代わりわかりやすくお願いしますね、わかりずらかったらそのまま進めますから…」

言い終わらぬうちに二枚目を剥がしていく、

「フングゥー!」

布を巻き付けられ舌を噛む事も出来ずにひたすら耐えていると

「あれ?結構我慢強いんですね…ならもう少し派手に剥がすか…」

デボットはナイフをしまうと

「じゃ次からはゆっくり剥がしていきますね…」

デボットは爪剥がしを出すと…

「お前…そんなもん持ってるのか?」

ベイカーがつっこむ…

「まぁ…昔の職業で色々と…」

デボットが恥ずかしそうに笑いながらメキメキと爪を剥がす。

ブラハはぐっと布を噛み締めると…グリンと目玉がひっくり返った。

「あれ?気を失いましたよ」

レアルがストップをかけると…バシャ!

水を頭からかける、ブラハが目を覚ますと…キョロキョロと周りを見て絶望的な顔をする。

「早く無いですか?このくらいで気を失わないで下さいよ!」

ブンブン!

ブラハがやめろと言わんばかりに首を振ると…

「なんですか?話す気になりました?」

ブンブン!

首を横に振る。

「なら全部いっちゃいますか?」

左手の爪を一気に剥がすと…

「さてと…次は何処にしますか…皮膚を剥がしますか?それとも耳取ります?あっ…聞こえなくなると面倒だな…それは最後にしましょうね」

すみませんと笑うと…

「フングゥー!フングー!」

ブラハが何か言っている。

「なんです?話す気になったなら頷いて欲しいなぁ…」

ブラハは首を振る

「あっもしかしてなんで殺さないとかですか?」

コクンコクン!

ブラハが頷くと…

「そんな簡単に殺すわけないでしょう?そんな事したら拷問になりませんよ…こういうのはどうやって殺さずにずっと痛めつけられるかが重要なのに…」

ハハ!

デボットが笑うと…

「懐かしいなぁ…まぁ俺はやる方もやられる方も体験済みですけどね」

そう言うとまたナイフを取り出す…

「そう言えば…耳ってなんで二つあるか知ってますか?」

ブラハの右耳をナイフでピタピタと触ると…

「取れてももう一つありますからね…」

良かったですね…そう言いながら右耳を落としていった…。


「うーん…結構しぶといですね…」

デボットが困った顔をする。

ブラハの体を削げ落とせる所は削ぎ落としていき…これ以上は危なくなると…

「本当に話す気ないんですかね?」

セバスを見る。

「いえ…途中言いそうになりそうでしたがデボットさんやり過ごしてましたね」

「えっ?本当ですか…すみません…」

申し訳なさそうにする。

「それにその方…上も下も垂れ流し状態ですよ…気を失ってるんじゃ無いですか?」

「えっ?我慢でなくて気を失ってましたか…よわったなぁ…」

セバスさんがブラハに近づくと回復させる…どうにか血だけは止めて水をかける。

ブラハがガタッ!と動くと…

「大丈夫ですか?」

セバスがブラハに微笑む…

「今血は止めました…すみません私の回復魔法では欠損部分までは治せなくて…でもこの程度治せばまた一から拷問出来ますよね?」

そう言って笑うと…

「安心してください…ここからは常に回復させながらやりますから…」

ブラハの肩に手を乗せると…

「あっ、気が狂いそうになっても気付けの薬もありますから大丈夫ですよ、安心してくださいね」

セバスが触っている所からピリピリと痺れる…

「今話すなら…この後ちゃんと殺してあげますよ…でもここで断るなら…この先死ぬ事は出来ないと思って下さいね」

子供でもあやすかのように優しく語りかけると…

ブラハは恐怖のあまり全身から汗が吹き出る…ガタガタと椅子が揺れ出すと…

「ふがー!ふがー!」

何かを一生懸命喋りだした

レアルが布を外すと

「しゃべるぅーしゃべるからぁー殺してくれー殺して下さいぃぃ」

顔の穴という穴から汁を流しセバスに訴える。

「私達の満足する答えが聞けるなら楽に殺して差し上げますよ…その代わり…」

「はなすぅーはなすから!全て言うぅぅ」

「では、あなたにこの話を持ちかけたのは?」

「ノ、ノース国!ノース国の奴らだ!合わせたい人がいるって行ったら…あの方にあった!」

「あの方?」

「姿は見た事ないが素晴らしい方だ!あの方の奇跡を何度も見た!」

「奇跡?」

「そうだ!死んだ動物を生き返らせたり、魔物を従えたりあの方なら…私の死んだ妻も蘇らせてくれると!」

「死んだ者を?」

「そうだ!この黒い痣もその実験の一部なんだ!これが完成すれば私の妻も蘇る!」

「そんな事…ありえませんよ…死んだ人が生き返るなど…」

「いや!私はみた!その場で殺した動物が黒い魔石で蘇る所を!」

「黒い魔石…」

「だが力が足りないらしい…その動物も直ぐに形を崩して死んでしまった…だが望みはあるとその方は言った!もっと魔力を集めれば大丈夫だと!それと自分の片割れと交わる事が出来れば可能だと…だから私は協力したんだ!あの方に頼めば!頼めば!頼めば!」

ブラハの視点が外れていく…

「ああ!お前!やっと会えた!やっと生き返ったんだな!」

ブラハが壁を見つめ立ち上がろうとするが縄が体にくい込んでいく…しかし構わずに力を込めて壁に向かおうとする…

メキメキメキ…

自分の体を縄から取ろうとしていると…そのまま手が取れる…

「あっ!」

レアルが止めようとするが

「レアルさん!触れてはダメですよ!」

全身から血が吹き出しているブラハに触れる場所もなく…ただ見ていると…

引きちぎった手足を引きずり…腰に椅子を付けたまま…ズリズリと壁に向かっていく…

トンッ…

壁に着いてもまだ遠くを見つめる瞳はそのまま先へと促して行く…

ブラハはそのまま自分の体を潰しても壁にめり込んで行く。

(ああ!やっと会えたなぁ…)

そう思うと…ニッコリと笑った…。


「凄まじいですね…」

レアルがボソッと呟くと…

「一体どうしたというんだ?」

ジュウト隊長も今見た光景が信じられずにいた…

「どうやら…自分で壁に潰れて行ったようですね…」

セバスが壁を見つめると、そこには人の様な物の形跡だけが残っていた…

「自分で自分を押しつぶすとは…」

ベイカーが呆れると

「何か…暗示の様なものがかかっていたのかも知れませんね…」

「しかし…わかったことはノース国の者の仕業としか…」

ジュウト隊長が悔しそうに言うと…

「いえ…色々とわかりました…」

セバスが珍しく笑うことなく頷いていた…。
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