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6章

301.贈り物

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「はじめ…まして…」

ミヅキが恐る恐る返事をかえすと

「そんなに怖がらなくて平気だよ、僕は君より前に転生した者だよ」

「前の?えっ!もしかして…雄一郎…さん?」

男は肯定と思える笑みを浮かべた。

「君にどうしてもお礼と伝えたい事があって…今回天使様にお願いしたんだ…」

『ちょっと!雄一郎!それ内緒でしょ!』

「あっ…すみません…つい」

ははっと笑って誤魔化すと

「天使様…」

『まぁ…便宜上そう名乗ってるだけって事だから…ごめんなさい、話を続けて』

雄一郎は頷くと…

「まずは、エヴァの事…ありがとう。彼女はあのままいたらきっと孤独な最後を迎えてしまっただろう…僕は死ぬってわかってからずっとエヴァの事が気がかりだった…いい人と巡り会えただろうか…幸せな人生を送れてるだろうかと…」

そう言って寂しそうに笑うと

「そしたら、天使様に僕もこの部屋に呼び出されたんだ…そしてエヴァの事を聞かされた…僕の選択は間違っていたってね…」

「うん…エヴァさん雄一郎さんといることが幸せだったって言ってました」

「ああ…」

雄一郎さんが頷く。

「しかし…それを聞いた時はもう僕は80を越えていたんだ…エヴァを探しに行く事ももう出来る状態じゃなくてね…その代わりに次の人の為に色々と残す事にしたんだよ…」

「あの本ですね!あれには助かりました!」

ミヅキが醤油の本を思い出す。

「あれもそうだけど…もう一つあるんだ…それをどうしてもエヴァに渡して欲しくて…」

「もう一つ?」

「ああ…お願いできるかな?」

雄一郎が手を合わせると…

「はい!きっと雄一郎さんからって言ったらエヴァさん喜ぶよ!」

『はい!ストップ!』

天使様からストップがかかる。

「それなんだけど…今の僕からって言うのは内緒で…」

雄一郎が気まずそうにする…

「えー!」

『こうやって呼び出すだけでも結構ルール違反なの…だからここでの事は決して話しては駄目よ…て言うか話せないようになってるけどね』

「そ、そうなんだ…」

「だから…まぁ適当に理由でも付けて渡してくれればいいから」

雄一郎さんが笑うと

「その渡す物ってなんなんですか?」

ミヅキが気になって聞いて見ると…

「.........、.................」

「えっ…それって不味くないですか?」

ミヅキが顔を引きつかせる…

『そうなのよ~そんなもの作ってるとは知らなくて…それであの時は雄一郎を呼び出したんだけどね』

天使様が困った様にため息をつく。

「まぁ…ちょっと探したくらいじゃ見つけられないようにしてあるし…多分エヴァしか使えない…いや使わないかな?」

「うーん…でもそれってエヴァさん絶対に雄一郎さんからって気づきますよね…」

(それはいいの?)

見えない天使様に聞くと

『ここの存在を言わなければ大丈夫よ!生きていた時の雄一郎の思いとその物は渡していいのよ』

「ありがとうございます!」

ミヅキがお礼を言うと…

「ははは…君にお礼を言われるとは…」

雄一郎さんが笑う。

「エヴァと君が出会えてよかったよ…きっとエヴァは今楽しく過ごしているだろうからね」

雄一郎さんが穏やかに微笑むと…

『そろそろ時間よ…』

天使様が優しく呟く…

「じゃあ最後に…」

雄一郎さんがミヅキに手を差し出す

握手?

ミヅキは思わずその手を握ると…

「転生するって楽しいけど大変な事もあるよね、君はとっても楽しんでるからこれはよかった転生だったんだろうね」

「雄一郎さんは?」

「僕?僕も素晴らしい転生人生だったよ…何よりエヴァに会えたし…彼女と過ごした日々は何ものにも代えがたい…君もそんな人達をもう見つけたみたいだけどね」

「はい…」

「そんな君にこれからもっと楽しくなるように僕からの贈り物だよ…じゃ…エヴァの事よろしくね…」

雄一郎はミヅキの手をギュッと握ると笑顔を見せた…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ミヅキ!」

「ミヅキさん?」

【【【【【ミヅキ!(キャン)(……)】】】】】

「「ミヅキ!」」

みんなの声が聞こえてきて…ミヅキは目を開く

そこには心配そうなみんなの顔が広がっていた…

「おはよぉ~」

ミヅキがうーんと伸びをすると…

「おはようじゃねぇよ!」

ベイカーさんがホッとした顔をするとドスンと尻もちをつく…

みんなもホッとしたのか座り込んだ…

「あれ?みんなこそ大丈夫?」

ミヅキがみんなを見ると、疲れきった顔を見せていた…

「さすがに魔力が尽きて疲れた…」

「そうですね…今は何もしたくないです…」

【ミヅキは元気だな?目を覚まさなかったから心配したぞ…】

シルバがミヅキを抱きかかえるように横になると…

「あれ?そういえば…私の魔力減ってないかも…」

全然疲れた感じのないミヅキはステータスを確認してみる。


鑑定…

《 名前 》ミヅキ
《 職業 》テイマー
《 レベル 》50→62
《 体力 》1240→2180
《 魔力 》50000→30000(72000)
《 スキル 》回復魔法 水魔法 火魔法 土魔法 風魔法
                   木魔法 闇魔法 光魔法
《 従魔 》フェンリル(シルバ) 
                 鳳凰(シンク) 
                 ケイパー フォックス(コハク【変】 
                 ヒポグリフ(ヒポ)
                 リバイアサン (リバイア)(仮)
《 備考 》愛し子 転生者 鑑定 癒し 錬金術  
                 料理人           
                ドラゴンの加護 神木の加護  鬼殺し 
                トラブルメーカー


「………」

ミヅキが固まる…。

「どうしましたか?」

ミヅキの様子にセバスさんが声をかけると…

「えっ!いえ!なんでもないです…」

ミヅキがキョロキョロと目を泳がせると…

「待て!」

ベイカーがミヅキの頭を掴んだ。

「今何したんだ?もしかして鑑定して自分のステータス見たのか?」

うっ!鋭い…

「ミヅキさん…ベイカーさん…シルバさん達…ちょっとあちらで話をしましょうか?」


セバスさんがよいしょっと立ち上がり、海の木の反対側を指さした…。

「はい…」

ミヅキは観念したように連行されて行った…。
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