ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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9章 海の国

300.海の木

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ミヅキ達は街の広場の中心に生える海の木に向かうと…

「ここが私の核だ…」

ネーレが木に手をかけるとスーッと木に溶け込んでいった…。

「ネーレ様!」

ミヅキが慌てると

『大丈夫…戻っただけだよ』

頭に声が響いた。

ミヅキが海の木にそっと手を添える…その手をアクアとエリアルが上から握りしめた。

ミヅキの頭にシンクが乗ると…

「じゃみんな、力を貸して下さい!」

ミヅキの肩にセバスさんとベイカーさんが手を乗せる。

「無理しすぎるなよ!」

「倒れたら許しませんよ」

そうは言いながらも優しく微笑むと

【たっぷりやるからな】

【では私も…】

シルバとプルシアもミヅキに触れる…デボットさんレアルさんもベイカーさん達の背中に手を乗せみんなで繋がると…

「じゃあ…シンクお願い…」

【うん!】

「皆さん魔力を前の人に渡すイメージをしてください!」

セバスが叫ぶ。

背中に触れる手からみんなの魔力を感じる…

(この…熱いのはベイカーさん、冷たくって優しいのはセバスさん…この強そうな感じはシルバだね…)

ミヅキはみんなの気持ちを感じると…

【ミヅキ!】

【うん!】

ミヅキは海の木に癒しの魔力を注ぎ込んだ!

「うっ…」

(隅々まで…木の根の先端…葉の一枚一枚まで…全て…)

ミヅキは集中して神木様に魔力を流すが

「足りない…」

汗が吹き出る…。

「これは…」

「結構きついな…」

セバスさんやベイカーさんにも疲労の顔が浮かぶ…

「だ…め…かも…持たない…」

意識が朦朧としてくると…

【ミヅキ!】

急に沢山の魔力が流れ込んで来た!

「何?何がおきたの?」

ミヅキが後ろを見ると、そこには…

「待たせた!避難してた海の民達を呼んできた!」

ジョルダン王が叫びながら最後尾の人に手をかけていた、その後ろにはミヅキ達が治した兵士達も手を取り合っている。

そして…その後ろにはさらに沢山の海の民達が集まっていた。


ジョルダンは…

「見てくれみんな!彼ら我々の為にこの海をこの木を助けようとしてくれているんだ!それを海の民の我々が見てるだけなんてできるだろうか?」

海の民達が手を取り合っている兵士達を見ると

「あ、あれは…父さん…生きてたの?」

家族と思われる人達が駆け寄る!

「みんな…みんな生きてる!」

「なんで?もう助からないと…」

兵士の家族達が泣いて喜ぶ中…

「私達を助けてくれたのも彼らなんだ!みんな…力を貸してくれ…」

ジュウト隊長も叫ぶ…

「みんな!手を取り合おう!」

「みんな…お願い…」

ミヅキも力を振り絞って声を出すと…

「僕はやる!どうすればいいの!?」

「僕もだ!」

小さい男の子達が手を上げた!すると…

「子供がやってるのに大人が見てていいのか!俺もやるぞ!」

「私も!」

みんなが次々と手を取り合う。

しかし…あと一歩足らない…

「もう…海の民は…全員だ…」

ジョルダンが力尽きそうになると…

「グオォォー!」

猛獣の叫び声がしてきた…

「な、なんだ…この大変な時に…」

後ろの人達が振り向くと、そこには海熊の大群が押し寄せて来た…

「海熊…なんでこんな所に…」

海の民達が愕然とすると…

「クゥオーン!」

海熊の子供が雄叫びを上げると海の民に突進してきた…

「や、やられる…」

身動きが取れない所に前脚をかけられる…が襲ってくる気配がない。

そのまま引っ付いていると大人の海熊達も同じように前脚を触れてきた…

「あの時の…」

ミヅキが声を聞き海熊の子にお礼を言う

「ありがとう…あなた達も助けに来てくれたんだね…」

「グッフォー…」

一際大きな海熊が頭を下げると…

【一族が助けてもらったから礼をするって…】

シンクが答えると…

「いつもなら…そんな事いいよ!って言いたいけど…今回ばっかりはお願いします!」

ミヅキが頭を下げると…

「グウォォォー!」

海熊が一鳴きすると他の海熊が応えた!

皆で重なり合い魔力を込めると…

「きた!きたー!」

ミヅキにも力が戻る!

(ネーレ様!)

祈るようにミヅキはネーレ様にありったけの魔力を流し込んだ…




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ミヅキ…ミヅキ…』

頭に響く声に目を開くと、そこは何も無い真白な空間だった…。

(ここは…)

ミヅキが周りを見るが、右を見ても左を見ても上も下も何も無い…しかし不思議と怖くは無かった。

(これは…また死んじゃったのか…)

寂しい気持ちがじわじわと沸き起こると

『大丈夫よ 今回は死んでないわ』

さっき聞こえた声がまた頭に響いてきた!

「だ、誰ですか!?」

ミヅキが見える範囲には何もいない

『ごめんね!今はまだ…姿を見せられないの』

(今は?)

『そう、今はね!』

(あれ?私声に出してないよね?)

『そうね!でもわかっちゃうんだなぁ~これが!』

「ふふ…」

なんだか陽気な声に思わず笑うと

『ひどいなぁ~これでも結構偉い方なのよ』

「その偉い人がなんの用ですか?私…死んでないならみんなの所にもどらないと…」

『ああ、それは大丈夫!ちょっと時は止めてあるから気にしないでゆっくりしてってね!』

「は、はぁ…」

ミヅキが間の抜けた返事をする。

『それでは本題です!この度は神木を助けてくれてありがとうね!あれにはちょっと困った事になってて…丁度君達が行ってくれて助かったのよ!』

「い、いえ…ネーレさま…神木様は助かったんですよね?」

『ええ!もう大丈夫!あんなに深刻な状態になるとは思わなくてね…でも私にはどうにも出来なくて…』

(?)

ミヅキはよくわからずに首を傾げる…

『解らないよね…それで大丈夫…あなたの思う通りに好きに生きればいいのよ…その結果がきっといい方へと行くから…』

声だけのに優しく包まれているような感覚になる。

(やっぱりよくわからないけど…言いたかったのはそれなのかな?)

『あっ!それもだけどもう一つ!彼がどうしてもあなたと話したいって…あなたの為にもなるから今回のお礼で特別に許したわ』

「彼?」

「こんにちは、初めましてかな?一応…」

急に声をかけられ振り向くと…そこには見た事も無い男の人が立っていた…。
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