47 / 53
友人
しおりを挟む
※注意
子猫を譲渡するくだりの話がありますが実際の施設とは違いますのであしからず。
話なので簡潔に都合よく書かせて頂いてます。
ここから本編です。↓
藤野さんが施設の人に充の事を紹介するとようやく警戒が解けた。
「そういう事なら…」と施設の人は藤野さんをみてにっこりと笑った。
「藤野さんが猫を託せる人なら信用出来ますね。充さんって言いましたね。藤野さん同様書類書いてもらいますが大丈夫ですか?」
「もちろんです!」
充は寅吉さんに教えて貰っていた住所と電話番号を書類に書いた。
メモ帳を見ながら書いていると施設の人に覗き込まれる。
「あっ、最近引っ越したばっかりで…でもちゃんと猫の事は大家さんに伝えてあるので…」
充は慌ててメモ帳を隠した。
「別に大丈夫ですよ。ただその住所なんか見た事あるんですよね」
充の書類をみて何処だったかと考え込む。
「猫神社の近くの子なんですよ」
「あー猫神社の住所だ!」
藤野さんに言われて施設の人が頷いた。
「えっ…猫神社ってそんなに有名なんですか?」
「猫好きな人ならここら辺の人ならみんな知ってると思いますよ」
当たり前のように言われる。
「あそこは昔から猫が集まりやすいんですね~なんか近くで飼ってる人がいるみたいです。神社の神主さんが言ってたのであそこの猫は保護しないんですよ」
「へ、へー…」
充は何となく猫屋敷のみんななのでは?と思ったが何も言わなかった。
書類は問題なく藤野さんは待合室にて子猫を待つ。
施設の人が子猫に必要な書類など用意してくれていた。
すぐに引き取れるようにと藤野さんはゲージを持ってきていたのでそれを預けている。
「楽しみですね!」
俺もなんだかソワソワしてしまう。
「ええ、こんな気持ちにまたならせてくれてありがとう充くん」
藤野さんは頬を紅葉させて喜んでいた。
二人で猫談義に花を咲かせているとゲージに入った子猫が連れてこられた。
藤野さんは施設の人から説明を受けている。
充はそっとゲージを覗き込んだ。
中では子猫が落ち着きなく鳴きながらウロウロと動き回っている。
「ふふ、元気な子ね」
いつの間にか藤野さんも隣で覗いていた。
「では藤野さん行きましょうか」
施設の人がゲージを持ち上げた。
「え?何処に行くんですか?」
「これから藤野さん宅に伺って少し部屋の様子を見させていただきます。でも以前も行っているので挨拶程度に…」
施設の人が笑って教えてくれた。
施設の人の運転する車に乗せてもらい藤野さんの家へと戻ってくる。
藤野さんの自宅を軽く確認してゲージを開けた。
子猫は最初恐る恐る出ると家が気になるのか色んなところの匂いを嗅いだりして動き回る。
その間に藤野さん達はトイレや寝床を用意しながら話し合っていた。
充は子猫の様子が気になり後を付ける。
部屋の隙間に入って出られなくなったりちょっとした段差によろついたりしていた。
可愛い仕草にほっこりなりながら観察していると話が終わったようで施設の人が帰るようだ。
「では藤野さんとりあえず一週間のお試し期間のお預かりよろしくお願いします」
「一週間?」
「猫と藤野さんと家の相性など見る期間になります。それが問題なく過ぎればそのまま家族になれます」
きっと大丈夫でしょうねと子猫の好奇心旺盛な動きを見ながら施設の人は笑っていた。
何かあれば連絡して下さいと帰っていく。
「子猫と家族になるのも大変なんですね…」
「そうね、私はもう諦めていたから本当に嬉しいわ。この子の為にも元気に長生きしないと」
藤野さんが子猫を撫でる。
子猫は疲れたのか座布団の上で丸くなっていた。
気持ち藤野さんの表情も明るくなった気がする。
子猫が落ち着いたらふく達を連れてくると約束して充も帰ることにした。
充は帰り道気がつけば早足になっていた…なんだか無性にふくとまるに会いたくていつの間にか走り出していた。
子猫を譲渡するくだりの話がありますが実際の施設とは違いますのであしからず。
話なので簡潔に都合よく書かせて頂いてます。
ここから本編です。↓
藤野さんが施設の人に充の事を紹介するとようやく警戒が解けた。
「そういう事なら…」と施設の人は藤野さんをみてにっこりと笑った。
「藤野さんが猫を託せる人なら信用出来ますね。充さんって言いましたね。藤野さん同様書類書いてもらいますが大丈夫ですか?」
「もちろんです!」
充は寅吉さんに教えて貰っていた住所と電話番号を書類に書いた。
メモ帳を見ながら書いていると施設の人に覗き込まれる。
「あっ、最近引っ越したばっかりで…でもちゃんと猫の事は大家さんに伝えてあるので…」
充は慌ててメモ帳を隠した。
「別に大丈夫ですよ。ただその住所なんか見た事あるんですよね」
充の書類をみて何処だったかと考え込む。
「猫神社の近くの子なんですよ」
「あー猫神社の住所だ!」
藤野さんに言われて施設の人が頷いた。
「えっ…猫神社ってそんなに有名なんですか?」
「猫好きな人ならここら辺の人ならみんな知ってると思いますよ」
当たり前のように言われる。
「あそこは昔から猫が集まりやすいんですね~なんか近くで飼ってる人がいるみたいです。神社の神主さんが言ってたのであそこの猫は保護しないんですよ」
「へ、へー…」
充は何となく猫屋敷のみんななのでは?と思ったが何も言わなかった。
書類は問題なく藤野さんは待合室にて子猫を待つ。
施設の人が子猫に必要な書類など用意してくれていた。
すぐに引き取れるようにと藤野さんはゲージを持ってきていたのでそれを預けている。
「楽しみですね!」
俺もなんだかソワソワしてしまう。
「ええ、こんな気持ちにまたならせてくれてありがとう充くん」
藤野さんは頬を紅葉させて喜んでいた。
二人で猫談義に花を咲かせているとゲージに入った子猫が連れてこられた。
藤野さんは施設の人から説明を受けている。
充はそっとゲージを覗き込んだ。
中では子猫が落ち着きなく鳴きながらウロウロと動き回っている。
「ふふ、元気な子ね」
いつの間にか藤野さんも隣で覗いていた。
「では藤野さん行きましょうか」
施設の人がゲージを持ち上げた。
「え?何処に行くんですか?」
「これから藤野さん宅に伺って少し部屋の様子を見させていただきます。でも以前も行っているので挨拶程度に…」
施設の人が笑って教えてくれた。
施設の人の運転する車に乗せてもらい藤野さんの家へと戻ってくる。
藤野さんの自宅を軽く確認してゲージを開けた。
子猫は最初恐る恐る出ると家が気になるのか色んなところの匂いを嗅いだりして動き回る。
その間に藤野さん達はトイレや寝床を用意しながら話し合っていた。
充は子猫の様子が気になり後を付ける。
部屋の隙間に入って出られなくなったりちょっとした段差によろついたりしていた。
可愛い仕草にほっこりなりながら観察していると話が終わったようで施設の人が帰るようだ。
「では藤野さんとりあえず一週間のお試し期間のお預かりよろしくお願いします」
「一週間?」
「猫と藤野さんと家の相性など見る期間になります。それが問題なく過ぎればそのまま家族になれます」
きっと大丈夫でしょうねと子猫の好奇心旺盛な動きを見ながら施設の人は笑っていた。
何かあれば連絡して下さいと帰っていく。
「子猫と家族になるのも大変なんですね…」
「そうね、私はもう諦めていたから本当に嬉しいわ。この子の為にも元気に長生きしないと」
藤野さんが子猫を撫でる。
子猫は疲れたのか座布団の上で丸くなっていた。
気持ち藤野さんの表情も明るくなった気がする。
子猫が落ち着いたらふく達を連れてくると約束して充も帰ることにした。
充は帰り道気がつけば早足になっていた…なんだか無性にふくとまるに会いたくていつの間にか走り出していた。
0
お気に入りに追加
166
あなたにおすすめの小説
想妖匣-ソウヨウハコ-
桜桃-サクランボ-
キャラ文芸
深い闇が広がる林の奥には、"ハコ"を持った者しか辿り着けない、古びた小屋がある。
そこには、紳士的な男性、筺鍵明人《きょうがいあきと》が依頼人として来る人を待ち続けていた。
「貴方の匣、開けてみませんか?」
匣とは何か、開けた先に何が待ち受けているのか。
「俺に記憶の為に、お前の"ハコ"を頂くぞ」
※小説家になろう・エブリスタ・カクヨムでも連載しております
【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
毒小町、宮中にめぐり逢ふ
鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました🌸生まれつき体に毒を持つ、藤原氏の娘、菫子(すみこ)。毒に詳しいという理由で、宮中に出仕することとなり、帝の命を狙う毒の特定と、その首謀者を突き止めよ、と命じられる。
生まれつき毒が効かない体質の橘(たちばなの)俊元(としもと)と共に解決に挑む。
しかし、その調査の最中にも毒を巡る事件が次々と起こる。それは菫子自身の秘密にも関係していて、ある真実を知ることに……。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる