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二匹
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「んっ…」
充は頬に当たる生暖かいものに気が付き目を覚ました。
部屋の中は真っ暗で、いつの間にか眠り夜になっていた。
足を庇いながら起き上がり明かりをつけると部屋に何か動くものがあった。
「え?」
見ると部屋の隅に二匹の小さい仔猫が固まり震えている。
「あーそっかお前らを連れてきてたんだ」
見れば二匹はきょうだいなのか顔が似ている。
少し体の大きな方が小さな方を守るように前にいた。
「ふふ、いっちょ前に…ちょっと待ってろ」
充は足を引きずり外に出ていった。
玄関の扉は少しだけ開けておく、もし逃げたら逃げたでその時だと思っていた。
少しして戻ってくると部屋を覗く、見れば猫達はまだ部屋の隅にいた。
「よかった、これが無駄にならないですむな」
充は何軒か隣の猫を飼ってる家にいき、事情を話して仔猫のミルクを貰ってきた。
「ほら、飲め」
皿にミルクを注ぐと床に置く。
二匹は警戒してるのかなかなか来ない。
「まぁいいか」
自分も腹が減っていた。
猫達はそのままに今度は自分が食べられそうな物をあさる。
「パンの耳が少しとマヨネーズが残ってる!上等上等!」
パンの耳にマヨネーズを付けてそのまま食べる。
ぴちゃぴちゃ…
すると猫の方から水の音がする。
二匹は順番にミルクを舐めていた。
充はもう一枚皿を用意するとそれにもミルクを注ぐ。
「ほら、お前も飲め」
待っている方にミルクを差し出すとおずおずといった感じでミルクを飲み出した。
「飲めるなら大丈夫そうだな、そこは開けとくから出ていきたくなったら行けよ」
充はまた部屋を出ていった。
その足でコンビニに行くと本のコーナーに直進する。
求人情報誌を手に取るとパラパラっとめくる。
すぐにでも次のバイトを探さないと…
充は気がつけば一時間近くコンビニで立ち読みをしていた。
さすがにコンビニ店員が後ろを何度も咳払いをして歩くので10円チョコを手に取り会計に進もうとして、ある物を見て考える。
チョコを売り場に返すと充はかつお節を手に取りレジへと進んだ。
家に戻ってくると開けといた扉はそのままになっていた。
まぁもしいなくても食べられるし!
「ただいまー」
充は声を出して部屋へと入ると…
たっ!たっ!
トタトタと歩く音に目を向ける。
そこにはまだあの仔猫達がいた。
仔猫は充に気がつくとそばに寄ってくる。
「なんだよ、ちょっとミルクをやったくらいで現金な奴らだな」
そうは言いながらも嬉しそうに二匹を撫でた。
ふわふわの毛が気持ちいい。
「そうだ、これ…食べるか?」
充はコンビニで買ったかつお節を二匹に見せた。
二匹はフリフリと尻尾を振る。
双子の様に同じ動きでシンクロするように動いていた。
ミルクをやった皿を拭いてそこにかつお節を少しだけ置く。
二匹はクンクンと匂いをかいでペロッと舐めた。
くちゃくちゃと音を立てて食べている。
「美味そうに食うな」
充は自分もかつお節を掴むと口に運んだ。
充は頬に当たる生暖かいものに気が付き目を覚ました。
部屋の中は真っ暗で、いつの間にか眠り夜になっていた。
足を庇いながら起き上がり明かりをつけると部屋に何か動くものがあった。
「え?」
見ると部屋の隅に二匹の小さい仔猫が固まり震えている。
「あーそっかお前らを連れてきてたんだ」
見れば二匹はきょうだいなのか顔が似ている。
少し体の大きな方が小さな方を守るように前にいた。
「ふふ、いっちょ前に…ちょっと待ってろ」
充は足を引きずり外に出ていった。
玄関の扉は少しだけ開けておく、もし逃げたら逃げたでその時だと思っていた。
少しして戻ってくると部屋を覗く、見れば猫達はまだ部屋の隅にいた。
「よかった、これが無駄にならないですむな」
充は何軒か隣の猫を飼ってる家にいき、事情を話して仔猫のミルクを貰ってきた。
「ほら、飲め」
皿にミルクを注ぐと床に置く。
二匹は警戒してるのかなかなか来ない。
「まぁいいか」
自分も腹が減っていた。
猫達はそのままに今度は自分が食べられそうな物をあさる。
「パンの耳が少しとマヨネーズが残ってる!上等上等!」
パンの耳にマヨネーズを付けてそのまま食べる。
ぴちゃぴちゃ…
すると猫の方から水の音がする。
二匹は順番にミルクを舐めていた。
充はもう一枚皿を用意するとそれにもミルクを注ぐ。
「ほら、お前も飲め」
待っている方にミルクを差し出すとおずおずといった感じでミルクを飲み出した。
「飲めるなら大丈夫そうだな、そこは開けとくから出ていきたくなったら行けよ」
充はまた部屋を出ていった。
その足でコンビニに行くと本のコーナーに直進する。
求人情報誌を手に取るとパラパラっとめくる。
すぐにでも次のバイトを探さないと…
充は気がつけば一時間近くコンビニで立ち読みをしていた。
さすがにコンビニ店員が後ろを何度も咳払いをして歩くので10円チョコを手に取り会計に進もうとして、ある物を見て考える。
チョコを売り場に返すと充はかつお節を手に取りレジへと進んだ。
家に戻ってくると開けといた扉はそのままになっていた。
まぁもしいなくても食べられるし!
「ただいまー」
充は声を出して部屋へと入ると…
たっ!たっ!
トタトタと歩く音に目を向ける。
そこにはまだあの仔猫達がいた。
仔猫は充に気がつくとそばに寄ってくる。
「なんだよ、ちょっとミルクをやったくらいで現金な奴らだな」
そうは言いながらも嬉しそうに二匹を撫でた。
ふわふわの毛が気持ちいい。
「そうだ、これ…食べるか?」
充はコンビニで買ったかつお節を二匹に見せた。
二匹はフリフリと尻尾を振る。
双子の様に同じ動きでシンクロするように動いていた。
ミルクをやった皿を拭いてそこにかつお節を少しだけ置く。
二匹はクンクンと匂いをかいでペロッと舐めた。
くちゃくちゃと音を立てて食べている。
「美味そうに食うな」
充は自分もかつお節を掴むと口に運んだ。
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