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しばらく進むとシルビオがピタッと足を止める。

すぐ後ろを歩いていたイブがシルビオの足にぶつかった。

「いたっ…」

鼻を押さえてシルビオを見上げると強く握りしめる拳が見えた。

「シルビオ?」

イブがどうしたのかと話しかけるとくるっと振り返る。

「ごめん!やっぱり村の様子を見てきたい!だからここからは二人で行ってくれ」

「村に行ってどうする?もし罠だったら…」

賢人が心配するがシルビオの意思は変わらないようだった。

「それなら私が馬鹿なだけだ、あんなクソみたいな村だけど生まれ育った場所だからな…」

「もしシルビオの手に負えない事態になってたらどうするんだ?」

「それは…」

シルビオは黙ってしまった。

「じゃあ様子を遠くから見るだけにしよう、もしどうにもできないならそのまま引くぞ」

「だめだ!ケント達をあの村に行かせられない!私が見てくるからケント達は先に行っててくれ…もし無駄だったら追いかけてもいいか?」

「もちろんだ、気をつけろよ」

「ありがとう!」

シルビオは礼を言うなり走り出した。
足は早くその姿はあっという間に見えなくなる。

「ケント…どうする?」

イブは不安そうに手を握りしめてきた。

「シルビオが心配なんだな…俺もだよ。俺達にも何か出来るかもしれないから行ってみるか…」

「うん」

イブはしっかりと頷いた。

シルビオほど早く走れないがこの森を歩くのにも慣れてきた。

思ったほど村から離れていなかったようで村を上から覗ける地形を探してイブと向かった。

少し離れるがうっすらと村の様子が見える…

双眼鏡を買って見てみると村には火が放たれていた。

村人は走り回り泣いてる者や怒ってる者、火を消そうとする者もいた。

「何があったんだ?」

「ケント…あっち…」

するとイブが村とは違う方を指さす、見るとイブの村の男達が集まって女の村を襲っていた。

「なるほど…村どうしの争いか…」

どうやら俺達の騒ぎに女達が狼狽えてるすきに男達が押し寄せて来たようだ。

いきなりの攻撃に女達は劣勢を強いられているようだった。

「ケント…怖い…」

イブはギュッと賢人に抱きついてきた。

「イブはこんなもの見ない方がいい…」

賢人はイブの目をそっと隠した。

シルビオはどうしたんだろうと賢人は双眼鏡で周りを見ていると…

「え!」

シルビオが男達に捕まっているのが見えた。

「あいつ…何やってんだよ」

抵抗しているがさすがに数人がかりで取り押さえられて手も足も出ないようだ。

「くそ!」

賢人は行ったらダメだとわかっていたが体が動いていた。

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