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15.エルフの村

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村の中へと入ってみて驚いた…

この村の住人は女だらけだった…しかもそのほとんどが前を歩くシルビオの様に耳がとんがっている。

そして皆美しかった。

シルビオも言葉遣いや睨みつける顔は恐ろしいが笑ったらかなりの美人だろう。

キョロキョロと周りをうかがいながら歩いていると村の中心らしき広場にたどり着いた。

イブの村とは違いかなり家っぽい建物が並んで建っている。
その広場の真ん前に少し大きめの家がある。

ほとんどが木で出来ていてログハウスのようだった。

「ここだ」

シルビオに連れられて賢人とイブは中へと入るとそこには一際美しい女性が椅子に座っていた。

賢人よりも少し歳は上かもしれないが、年下にも見える。

年齢がわからないほどに綺麗な女性は賢人をみて微笑んだ。

「ようこそ、私はこの村の長のエレノアと申します」

「は、初めまして。山田 賢人と申します…」

賢人はペコッと頭を下げた。

シルビオ達とは違いエレノアさんは賢人に友好的に見えた。

「シルビオ、エマ席を外してくれる?私はこの方と話がしたいの」

エレノアさんがそう言うとシルビオともう一人ついてきた門番が驚いた。

「エレノア様いけません!何かされたらどうするのですか!」

二人が反対するのをエレノアさんは笑って首を振る。

「いいえ、この方は信託にあったお方です。何も恐れる必要はありません。シルビオ手枷を取って差し上げて」

エレノアさんに言われてシルビオが渋々俺の手枷を取った。

「エレノア様に何かしたら許さないからな…」

今にも殺しそうな顔で睨みつけてボソッと呟くと手枷を持って離れる。

「ありがとう、そこの子も少し外で待っていてくれる?」

イブに話しかけるとイブはギュッと足にしがみついた。

「や!ケントといっしょ!」

「子供!エレノア様を困らせるな」

エマと言われた門番がイブを軽々と抱き上げて扉の方へと歩く。

強引に見えるが優しく支える様に抱っこする姿に傷つけられることは無いだろうとイブに大人しくするように目で合図する。

「すぐ外にいます、何かあったらすぐに駆けつけますので…」

俺を睨んで二人はイブを連れて出ていった。

エレノアさんと二人っきりになると立ち上がり自分の方へと歩いてきた。

「初めましてケントさん私は神から信託を受けております。この度ケントさんがこことは違う場所から来たと聞いております」

「え?神…?」

神ってあのメールのやつか?

信じられないとエレノアさんを見れば包み込むような笑顔を向けられる。

エレノアさんの方が神様に見えた。

「そ、その神はなんて?まさかメールがこの世界にもあるんですか?」

「めぇる?それはどういったものでしょうか…私は神とは夢の中でお会いします。あったのは二度ほどだけですが」

「夢」

そんな方法もあるのか…

「神はこの世界に救世主を送ると…」

「救世主!?そんなの無理です!俺は何も出来ませんし…それに何をそんなに恐れてるんですか」

「はい、実はこの世界は元は男も女も共に生きておりました…しかしいつからか男は女を子を産むだけの道具の様に扱いました。女達はそれに反発すると男達は容赦なく女を殺しました」

「酷い…」

そういえばイブのいた村は男しかいなかった気がする。

「女達は団結してこの土地に逃げ出してきました。それから己を鍛えて男に負けない努力をしてここに男が来るのを拒んだのです。そして長い時が立ち今ではもう子供も出来る事無くなりました」

「え?でもイブは?」

「男達は女を誘拐して子を孕ませます…そして死ぬまで子を作るのです」

エレノアさんを見ると嘘を言っているようには見えなかった…

俺はなんて世界に送ったんだと改めて神を呪った。
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