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「仕方ないな…」

少女は袋がついた飴をそのまま口に入れようとする。

「「あっ!」」

するとそれをみてイブと俺は同時に声を出した。

「な、なんだ!?」

少女が驚いて食べるのを止めると…

「それまわりのヒラヒラはとるの」

イブが説明してやるが取り方がわからないようで苦戦している。

「えっと…取りましょうか?」

俺が思わず口を出すと剣に手をかけて身構えた。

「近づくな!」

「は、はい!いや、ただ食べ方を教えようと…」

俺は飴を二つ取り出すとイブに一個渡して自分の分を目の前で開けてやる。

「こうして食べます。良かったらこれ食べますか?」

ここで少しでも媚びを売っておけばもしかしたら助かるかもしれない…

イブもそう考えて飴を渡したのだろう。

俺は女の子が好きそうな赤いいちご味の飴を差し出した。

「毒でも入っててみろ…すぐにその首を落としてやるからな…」

剣を持ちながら少女はチラチラと賢人が持つ飴を見つめていた。

やはり異世界でも女の子はこういうキラキラしてるものが好きなんだ…

自分の状況を忘れてそんな事を考えていた。

「大丈夫ですよ、ほらイブも同じもの食べてるし」

イブに渡した新しい飴を早速イブは慣れた手付きで開けて美味しそうに舐めていた。

「ゴクッ…」

少女が甘い匂いに喉を鳴らすとバクっ!と飴を口に入れた。

「んんん!」

口を閉じたまま何か叫ぶ…多分甘いか美味いって言ったと思うんだけど…

賢人が少女の次の行動を待っていた。

「美味しくて甘い!これはなんて食べ物だ!」

「あめだよ、ケントころしたらあめたべれないよ!」

「そうか…」

少女は飴をなんどもなんども出しては眺めて時間をかけて舐めていた。

そして舐めきってしまうと寂しそうに棒を見てはため息をつく。

なんかそこまでされるとあげたくなるがグッとこらえた。

これが自分が生きるか死ぬかの分かれ目になるかもしれないと思っていた。

チラチラと少女がこちらを見るのを無視してついて行くとイブが住んでいて村よりもはるかに大きくて栄えた感じの村が見えた。

あの村よりも倍はありそうな門に逃げ出すのは困難そうだとため息が漏れる。

門番も同じようにいたがここは女の人しかいなかった。

少女と同じように耳がとんがっている。
なんか童話やお話に出てくるエルフの様にも見える。

いや、まさかな…

賢人は馬鹿な考えを払うかの様に首を振った。

「この男を審議にかける。長に会わせてくれ」

「シルビオ、正気?そいつ男なのよね!?」

門番は嫌悪感を隠そうともせずに賢人を睨みつけた。

「こいつはどうもそこらの男とは違うようだ、それに貴重な食材も持っている」

「うーん、じゃあここで待ってて。長に聞いてくる」

「頼む」

門番は一人村の中へとかけて行った。

すると村から人がゾロゾロと門に集まって来て賢人を不快そうに睨みつける。

「なんで男が?」

「小さな女の子を連れてる!」

「打首だろ」

コソコソとなんだが物騒な言葉を口にしていた。

居心地悪く待っていると程なく門番が戻ってきた。

「長が会うそうだ、何も出来ないように拘束するぞ」

「もちろんだ」

賢人は荷物を取られて手と足を縛られると女だらけの村へと足を踏み入れた。
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