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「だめ!ケントわたさない!」
するとイブが俺の前に飛び両手を広げて庇った。
イブの体は微かに震えている、きっと怖いのを我慢しているんだろう。
俺はイブを抱きしめた。
「俺は大丈夫だ」
すると剣を向けていた少女が苦々しい顔をしながら剣を少し下ろした。
「お前はその子の…なんだ」
「この子は…イブは俺の…子だ!」
賢人はそう答えるとイブが驚いた顔をしてみるみると顔が歪んでいく。
そして大声で泣き出した。
「うわぁーん!ケントー」
「ど、どうしたんだよ!」
急に泣き出したイブに俺は慌てふためく。
前には剣を持った少女に後ろは大泣きのイブ。
どうすりゃいいんだと一瞬考えるが体はイブを抱きしめていた。
「泣くな!ほら飴をやるぞ」
落ち着かせようと出した飴にイブが泣きながら受け取る。
すぐには涙は引かないようだか少し落ち着いたのかしゃくり上げるほどになった。
するとその様子を見てた少女が俺たちをみて訝しげな表情をする。
「お前…男、だよな?」
「当たり前だ!俺が女に見えるのかよ!」
「そこの子。こいつは安全な男なのか?」
少女は賢人を無視してイブに話しかけた。
「うっん…ケントっ、いいひと」
しゃくりあげながらもいい人と答えてくれた。
イブの中で俺は少なくとも警戒するような関係では無いことに少し嬉しくなる。
「わかった…そこの男、私達の村にこい。長に会わせる」
「長?」
また捕まって何かされるのかと思うとどうにか逃げ出せないかと足を一歩下げた。
「逃げてもいいがその時は殺す。ここは男が入ったら問答無用で殺される場所なんだからな」
「えっ!?そ、そんな…じゃあすぐに帰ります!ここから離れますからどうか見逃してくれないか?」
賢人が少女に頭を下げるが少女はスタスタと歩き出して、後ろを振り返った。
「早くこい、嫌ならすぐに切ってやるぞ」
「うっ…」
逃げたくてももう走るのは無理そうだ…息も切らしていないあの子にならすぐに追いつかれるだろう。
しかもイブを抱えているとなると絶望的だった。
賢人は諦めて少女のあとをついて行くことにした。
「はぁ…なんだって次から次にこう災難が来るんだよ。あの神メールのせいだ…」
ブツブツと文句を言う。
「ケント、ごめんなさい」
怒っていると思ったのかイブが申し訳なさそうに謝る。
こんな小さい子に謝らせて俺は何をしてるんだ…
「いや、イブのせいじゃないよ。ごめんな心配かけて…大丈夫!お前はどうにか助けて貰うようにお願いするからな」
イブは何も答えずに俺の足にしがみついた。
「ほら、飴でも舐めて落ち着いてな」
先程の舐めていなかった飴をイブに渡した。
イブはそれを受け取ると握りしめて何かを考える。
そして走り出して前を歩く少女にそれを差し出した。
「おねえちゃんこれあげる!だからケントたすけて」
「そんなものいらん、黙ってついてこい」
「おいしいんだよ!あまくてほっぺたおちそうになるの…」
「甘い…だと…」
少女の長い耳がピクっと動いた。
「うん!はじめてびっくりするぐらいおいしいの!」
イブは少女に一生懸命飴を差し出す。
「まぁ貰っとこう。だがそいつの判断をするのは長だ。私は何も出来ないからな」
「う、うん。でもたべてみて…」
イブは大好物の飴をみて我慢するように見つめていた。
するとイブが俺の前に飛び両手を広げて庇った。
イブの体は微かに震えている、きっと怖いのを我慢しているんだろう。
俺はイブを抱きしめた。
「俺は大丈夫だ」
すると剣を向けていた少女が苦々しい顔をしながら剣を少し下ろした。
「お前はその子の…なんだ」
「この子は…イブは俺の…子だ!」
賢人はそう答えるとイブが驚いた顔をしてみるみると顔が歪んでいく。
そして大声で泣き出した。
「うわぁーん!ケントー」
「ど、どうしたんだよ!」
急に泣き出したイブに俺は慌てふためく。
前には剣を持った少女に後ろは大泣きのイブ。
どうすりゃいいんだと一瞬考えるが体はイブを抱きしめていた。
「泣くな!ほら飴をやるぞ」
落ち着かせようと出した飴にイブが泣きながら受け取る。
すぐには涙は引かないようだか少し落ち着いたのかしゃくり上げるほどになった。
するとその様子を見てた少女が俺たちをみて訝しげな表情をする。
「お前…男、だよな?」
「当たり前だ!俺が女に見えるのかよ!」
「そこの子。こいつは安全な男なのか?」
少女は賢人を無視してイブに話しかけた。
「うっん…ケントっ、いいひと」
しゃくりあげながらもいい人と答えてくれた。
イブの中で俺は少なくとも警戒するような関係では無いことに少し嬉しくなる。
「わかった…そこの男、私達の村にこい。長に会わせる」
「長?」
また捕まって何かされるのかと思うとどうにか逃げ出せないかと足を一歩下げた。
「逃げてもいいがその時は殺す。ここは男が入ったら問答無用で殺される場所なんだからな」
「えっ!?そ、そんな…じゃあすぐに帰ります!ここから離れますからどうか見逃してくれないか?」
賢人が少女に頭を下げるが少女はスタスタと歩き出して、後ろを振り返った。
「早くこい、嫌ならすぐに切ってやるぞ」
「うっ…」
逃げたくてももう走るのは無理そうだ…息も切らしていないあの子にならすぐに追いつかれるだろう。
しかもイブを抱えているとなると絶望的だった。
賢人は諦めて少女のあとをついて行くことにした。
「はぁ…なんだって次から次にこう災難が来るんだよ。あの神メールのせいだ…」
ブツブツと文句を言う。
「ケント、ごめんなさい」
怒っていると思ったのかイブが申し訳なさそうに謝る。
こんな小さい子に謝らせて俺は何をしてるんだ…
「いや、イブのせいじゃないよ。ごめんな心配かけて…大丈夫!お前はどうにか助けて貰うようにお願いするからな」
イブは何も答えずに俺の足にしがみついた。
「ほら、飴でも舐めて落ち着いてな」
先程の舐めていなかった飴をイブに渡した。
イブはそれを受け取ると握りしめて何かを考える。
そして走り出して前を歩く少女にそれを差し出した。
「おねえちゃんこれあげる!だからケントたすけて」
「そんなものいらん、黙ってついてこい」
「おいしいんだよ!あまくてほっぺたおちそうになるの…」
「甘い…だと…」
少女の長い耳がピクっと動いた。
「うん!はじめてびっくりするぐらいおいしいの!」
イブは少女に一生懸命飴を差し出す。
「まぁ貰っとこう。だがそいつの判断をするのは長だ。私は何も出来ないからな」
「う、うん。でもたべてみて…」
イブは大好物の飴をみて我慢するように見つめていた。
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