【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…

難癖

カノンは四人から注文を取ると調理を始める。
下ごしらえをしてあるからサッサと炒めてすぐに用意するとテーブルに運んだ。

｢お待たせしました｣

男達は無言で受け取ると黙々と飯を食べ始める。

カノンはそれを見ると微笑んで片付けを始めた…すると…

｢おい！こりゃなんだ！｣

男の一人が騒ぎ出した。

カノンが顔をあげると男達は料理を指さし喚いていた。

｢何かありましたか？｣

カノンが慌てて駆け寄ると

｢何かありましたかじゃねぇよ！見ろこれ！飯に虫が入っていたぞ！｣

｢これのは髪の毛だ！ここの店はどうなってる！｣

男達は紙に包んだ虫とスープの上に浮かぶ髪の毛を指さした。

｢そんなわけ…｣

カノンが運ぶ時には確かにそんなものは無かった…しかしそう言われてもしまえば…

｢すみません…すぐに取り替えしますね｣

食事を下げようとすると

｢そんな謝罪で許されると思ってんのか！俺はもうトラウマもんだね！もう一生肉は食えないかもしれないなぁ～｣

虫が入っていたと騒ぐ男がカノンの行く手を阻むと

｢ど、どうしろと？｣

｢はぁ？それを客に言わせんのか！？｣

｢でですから新しい料理をお持ちしますから…今度は肉ではない魚でもいいですか？｣

｢だから！もう飯を食う気にはならねぇって言ってんだよ！｣

男がカノンを睨みつけて壁へと追いやると

｢す、すみません…｣

カノンは謝るしか出来なかった…

｢おいおい、まだわかんないの？そいつは慰謝料を請求してるんだよ…そうだな、この場合精神的苦痛と口止め料と今後の飯代込で…ざっと100万程で手を打とうか｣

｢100万！そ、そんなの無理です！そんな大金ありません｣

｢無理とかそっちの都合は関係ねぇんだよ。無いなら作れ｣

男達がカノンを取り囲んだ。

｢つ、作るって…｣

大柄なしかも強面の男達に囲われてカノンは足が竦む…すると男がカノンの顎に手をかけた。

｢見た目は悪くねぇな…コレなら一ヶ月もありゃ稼げるぜ｣

｢だな！早速来てもらおうか？｣

男達がカノンの手を引いて店から出そうとすると

｢い、いや…｣

カノンは抵抗するが力では勝てそうにない…ズルズルと引っ張られると

｢すみませんがその手を離して頂けますか？｣

いつの間にかグレイさんが現れて男の腕を掴んだ。

｢グレイさん…｣

カノンは目をうるませてグレイを見つめると

｢グレイさん、危ないです。裏から逃げて誰か人を呼んできて下さい！｣

カノンが頼むと

｢こんな怯えたカノンさんを一人には出来ません。すみませんが一度離して頂けますか？｣

グレイが少し力を込めると

｢グッ！｣

男がカノンから手を離した。

グレイはカノンを背中に隠すと

｢何があったのですか？｣

カノンに話しかける。

｢りょ、料理に虫と髪の毛が…だから迷惑料をと…｣

｢ふむ…それがなぜ少女を誘拐しようとなるのでしょう？｣

グレイが男達を見ると

｢おいおい！人聞きの悪い事言わないでくれよ！俺達は金で…いや迷惑料を払ってもらえば無かったことにしてやるって言ったんだよ！それがそんな金はねえって言うからなら体で払えって言ったんだ！｣

｢それはまた、もっと極端ですね。それで？その虫と髪の毛はどれですか？｣

グレイが聞くと

｢疑う気か？テーブルを見ろ！ちゃんと証拠もあるんだよ！｣

男が言うとグレイが近づいて虫を包んでいる紙を調べた。