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決意
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次の日早速ロウンティ公爵から呼び出しを食らった…
表向きは招待だが、あんに屋敷に来い!と言われているように感じた。
あれからニルギルも帰ってきていなかった…
だがここで断る訳にはいかない!
私はカロと共にロウンティ公爵の屋敷に向かう事にした。
「到着致しました」
カロからの言葉にもう着いたのかと外を見ると、もう何度か訪れたロウンティ公爵の屋敷が目の前にあった。
いつもならこんなに緊張しないのに…だが今は喉が異様に乾き変な汗が出ていた。
「王子…大丈夫ですか?」
カロが心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫だ」
そうだ大丈夫だ、俺は王子の代わりをしてたくらいなのだから…そして今は本当に王子なのだから!
フーっと息を深く吐いて落ち着くと
「よし!行こう!」
ルフナ様ともう一度…
俺はその思いの為に屋敷に一歩足を踏み入れた。
屋敷に通されるといつものサロンやルフナ様の部屋ではなくロウンティ公爵の書斎へと通された。
「これは王子!遠いところわざわざ呼び出してすまなかったね!」
ロウンティ公爵は最初にこやかに挨拶をしてきた。
「いえ、私もお話したい事があったのでちょうどよかったです」
「ほぅ…私に話したいことねぇ…私を怒らせないような話だといいが…」
ロウンティ公爵の目の色が変わった…やはりこの国の宰相を務めるだけはある。
その眼光だけで目を逸らしたくなるが平気な顔で必死に見つめ返した。
「もうお話は聞いてるかと思いますが…私はルフナ嬢と改めて婚約を結びたいと思っております」
ピクッ…
ロウンティ公爵の眉がピクッと動いたと思うと部屋に緊張が走る。
何か不味いことを一言でも漏らせば首を切られそうな感覚に背中に冷や汗が出た…
だが引けない!
私はロウンティ公爵を見つめ返すと…
「ルフナは昨日帰ってきてから何があったのか話してくれない…王子、あなたと何かあったとしか考えられないのだが?そんなあなたに私の大事な娘を託さないといけないのかな?」
ロウンティ公爵の口元が笑うが目が笑っていない…
喉がカラカラになり張り付き声が出なかった。
俺は必死に唾を飲み込むと…
「昨日話して改めて思い知らされました、俺にはルフナ嬢が必要だと!彼女とならどんな事でも一緒に乗り越えられると…彼女を愛しているのです!どうか彼女との婚約を認めてください!」
俺は必死に自分の言葉をぶつけた!
バンッ!
すると部屋の扉が勢いよく開き、目を潤ませたルフナ様が飛び込んで来た!
「王子様!!」
ルフナ様が俺を見つめると真っ直ぐにかけてくる。
俺はその体をしっかりと受け止めると
「嬉しい…私も大好きです!」
ルフナ様がギュッと抱き締め返してくれた。
たった一人の俺をここまで愛してくれた人…この人を絶対に幸せにする。
そう改めて決意してルフナ様を抱きしめた。
「ルフナ…話が終わるまで入ってはいけないと言っただろ?」
すると困ったような声でロウンティ公爵が声をかけてきた。
はっ!と何処に居るかを思い出してルフナ様と離れると…
「だってお父様…あんな嬉しい事を言われたら抱きしめたくなっちゃって…」
「そんな可愛い顔をしても駄目だよ…全く仕方ない子だ…」
そうは言いながらもデレッと鼻の下を伸ばしていた。
「まぁ私の睨みに言い返せる度胸と決意があるようだからな…それに可愛い娘の願いだ。王子、娘をルフナを泣かせたら許しませんよ」
ロウンティ公爵は仕方なさそうにそう言うと眉を下げてニコッと笑いかけた。
「お父様!」
「ありがとうございます!」
俺とルフナ様は手を握りあい笑いあった。
陛下や王妃様への挨拶も無事に終わり、名実共に俺達は婚約者となった。
ただこの時に陛下達から何か言われるかと思ったが、彼らは自分の子が変わったことにも気が付かなかった…
それが少し悲しくて下を向くと…
ギュッ…
ルフナ様がそんな俺の手を握ってくれた…まるで私は知っていると言うように…
そうだ、この人が居れば大丈夫…
俺も彼女の手を握り返した。
婚約者が無事に決まった事で俺には新たな領土を任されることとなった。
そこでルフナと暮らしていく…一度そこを見に行こうとルフナと馬車で向かう中…
「でもよかったのか?王妃にはなれないけど…」
俺は王位継承権を返上してその領土で暮らす事を望んだ…
それを決めた時に真っ先にルフナに相談すると
「はい!私はそれで構いません」
ルフナはそれ以上何も聞かなかった。
なのでやはり気になりもう一度尋ねると…
「私は王妃になりたいのではありません、あなたの妻になりたいの…あなたを助ける手伝いを隣で出来ればいいんです」
「ルフナ…」
見つめているとルフナがそっと瞳を閉じた…
私は可愛い婚約者のその口に絶対に幸せにしてみせると誓のキスを落とした。
表向きは招待だが、あんに屋敷に来い!と言われているように感じた。
あれからニルギルも帰ってきていなかった…
だがここで断る訳にはいかない!
私はカロと共にロウンティ公爵の屋敷に向かう事にした。
「到着致しました」
カロからの言葉にもう着いたのかと外を見ると、もう何度か訪れたロウンティ公爵の屋敷が目の前にあった。
いつもならこんなに緊張しないのに…だが今は喉が異様に乾き変な汗が出ていた。
「王子…大丈夫ですか?」
カロが心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫だ」
そうだ大丈夫だ、俺は王子の代わりをしてたくらいなのだから…そして今は本当に王子なのだから!
フーっと息を深く吐いて落ち着くと
「よし!行こう!」
ルフナ様ともう一度…
俺はその思いの為に屋敷に一歩足を踏み入れた。
屋敷に通されるといつものサロンやルフナ様の部屋ではなくロウンティ公爵の書斎へと通された。
「これは王子!遠いところわざわざ呼び出してすまなかったね!」
ロウンティ公爵は最初にこやかに挨拶をしてきた。
「いえ、私もお話したい事があったのでちょうどよかったです」
「ほぅ…私に話したいことねぇ…私を怒らせないような話だといいが…」
ロウンティ公爵の目の色が変わった…やはりこの国の宰相を務めるだけはある。
その眼光だけで目を逸らしたくなるが平気な顔で必死に見つめ返した。
「もうお話は聞いてるかと思いますが…私はルフナ嬢と改めて婚約を結びたいと思っております」
ピクッ…
ロウンティ公爵の眉がピクッと動いたと思うと部屋に緊張が走る。
何か不味いことを一言でも漏らせば首を切られそうな感覚に背中に冷や汗が出た…
だが引けない!
私はロウンティ公爵を見つめ返すと…
「ルフナは昨日帰ってきてから何があったのか話してくれない…王子、あなたと何かあったとしか考えられないのだが?そんなあなたに私の大事な娘を託さないといけないのかな?」
ロウンティ公爵の口元が笑うが目が笑っていない…
喉がカラカラになり張り付き声が出なかった。
俺は必死に唾を飲み込むと…
「昨日話して改めて思い知らされました、俺にはルフナ嬢が必要だと!彼女とならどんな事でも一緒に乗り越えられると…彼女を愛しているのです!どうか彼女との婚約を認めてください!」
俺は必死に自分の言葉をぶつけた!
バンッ!
すると部屋の扉が勢いよく開き、目を潤ませたルフナ様が飛び込んで来た!
「王子様!!」
ルフナ様が俺を見つめると真っ直ぐにかけてくる。
俺はその体をしっかりと受け止めると
「嬉しい…私も大好きです!」
ルフナ様がギュッと抱き締め返してくれた。
たった一人の俺をここまで愛してくれた人…この人を絶対に幸せにする。
そう改めて決意してルフナ様を抱きしめた。
「ルフナ…話が終わるまで入ってはいけないと言っただろ?」
すると困ったような声でロウンティ公爵が声をかけてきた。
はっ!と何処に居るかを思い出してルフナ様と離れると…
「だってお父様…あんな嬉しい事を言われたら抱きしめたくなっちゃって…」
「そんな可愛い顔をしても駄目だよ…全く仕方ない子だ…」
そうは言いながらもデレッと鼻の下を伸ばしていた。
「まぁ私の睨みに言い返せる度胸と決意があるようだからな…それに可愛い娘の願いだ。王子、娘をルフナを泣かせたら許しませんよ」
ロウンティ公爵は仕方なさそうにそう言うと眉を下げてニコッと笑いかけた。
「お父様!」
「ありがとうございます!」
俺とルフナ様は手を握りあい笑いあった。
陛下や王妃様への挨拶も無事に終わり、名実共に俺達は婚約者となった。
ただこの時に陛下達から何か言われるかと思ったが、彼らは自分の子が変わったことにも気が付かなかった…
それが少し悲しくて下を向くと…
ギュッ…
ルフナ様がそんな俺の手を握ってくれた…まるで私は知っていると言うように…
そうだ、この人が居れば大丈夫…
俺も彼女の手を握り返した。
婚約者が無事に決まった事で俺には新たな領土を任されることとなった。
そこでルフナと暮らしていく…一度そこを見に行こうとルフナと馬車で向かう中…
「でもよかったのか?王妃にはなれないけど…」
俺は王位継承権を返上してその領土で暮らす事を望んだ…
それを決めた時に真っ先にルフナに相談すると
「はい!私はそれで構いません」
ルフナはそれ以上何も聞かなかった。
なのでやはり気になりもう一度尋ねると…
「私は王妃になりたいのではありません、あなたの妻になりたいの…あなたを助ける手伝いを隣で出来ればいいんです」
「ルフナ…」
見つめているとルフナがそっと瞳を閉じた…
私は可愛い婚約者のその口に絶対に幸せにしてみせると誓のキスを落とした。
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