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返事
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聞いた話です。
彼女は集金のバイトをしていてバイト歴も長く、一人で三百軒近くの家を担当しているそうです。
長くやっていると色んなお客さんがいるそうで…時には不思議な体験をした事もあったそうです。
新聞を取る方は年々減ってお年寄りのお家が多いらしく、時には契約中に亡くなる方もいたそうです。
毎月月末に向かい月に1回行くと日に日に衰えていく様がよくわかったそうです。
その月もいつもの様に月末に集金に向かいチャイムを押すと必ず出てくるおばあちゃんがが出てきません。
でもそんなことはよくあること、耳が遠くなってしまったので普通のチャイムの音が聞こえない事があり、そういう時は戸を叩いて声をかけるそうです。
その日もトントンと戸を叩いて大きな声で声をかけるが反応がありません。
少し引き戸を開けて隙間から声をかけますが反応なし。
声が聞こえると「はーい、ちょっと待ってね」なんて声がしてゆっくりと出てくるのにその日は中々出てきませんでした。
寝ちゃったかな?
その日の集金は諦めて戸をしっかりと閉めてまた違う日に行くことにしました。
その次の日今度は午前中に向かうとまた同じようにチャイムをして反応なし。声をかけると今度は反応がありました。
でも…
「はーい、ごめんね…お金が用意できなくてまた今度来てくれる?」
「あっ、わかりました!」
年金暮しのお年寄りにはよくあって次の月にきてやまだ子供からお金を預かってないなどあるのですぐに諦めてまた後日改めて行くとになります。
その後も何度か行きますが返事は同じ…
「ごめんね、また今度来てくれる?」
部屋で寝たきりになっているのかこもった様な声が奥から聞こえてきます。
何度もまた今度と言われて少し面倒になってきました。
「いつなら大丈夫ですかー」
そう言うと土日を過ぎた次の月曜日なら大丈夫だと言います。
「その日なら家族がいるから」…と
わかったと返事をして改めて月曜日に行くことにしました。
約束の日集金に向かうと家の様子がいつもと違いました。
おばあちゃんはもう車も乗れないので駐車場には一台も停まって無いのにその日は車が道路にも停まっていました。
家に他の家族が居るならお金も貰えるとチャイムを鳴らすと見た事ない女性が黒い服を纏って出てきました。
それを見てピーンときたそうです。
「すみません、○○の集金に来たのですが…○○さんは?」
そう声をかけるとああ、と頷き財布からお金を取り出し払ってくれました。
「あの、おばあちゃん亡くなったので契約止めたいんだけど、どうすればいいですか?」
やっぱり…
「そうなんですか…それはご愁傷さまです。そういう場合は事務所に電話していただければ大丈夫ですよ」
そう言って事務所の番号を渡しました。
「でもついこの間までお話できたのに残念です」
「そうなんですか…私達きょうだいは週末しか来れなくて…土曜に来た時にはもう…」
ハンカチで涙を拭いました。
「それは…」
なんと言葉をかけていいのかわからずに頭を下げて挨拶をしてその時は帰ったそうです。
その数日後、お金を事務所に持っていくとその話をしてみたらやはり契約解除の連絡が来たそうでした。
「でも可哀想ね…最後に一人で亡くなるなんて…」
事務のおばちゃんが大きくため息をつきました。
話好きなおばちゃんはその時の様子を詳しく聞いたそうです。
「どうもね、心臓が悪くて寝てる間に亡くなった見たいよ。でも寒かったから腐敗とかはなかったみたいね」
「腐敗って…だってほんの数日だけですよね」
「確か、一週間ぐらい気が付かれなかったみたいよ」
え…
一週間と聞いて思わずカレンダーを見たそうです。
集金に向かったのは25日の月曜日、最後に返事を貰ったのは28日の木曜日…聞けば最初の集金に向かう前にはもう亡くなっていたそうです。
でもその方は確かにあのおばあちゃんの声だったと言いました。
律儀でいつもご苦労さまと言ってくれたおばあちゃんは何度もくる私に悪いと思って声をかけてくれたのかも…と涙ぐんで話してくれました。
彼女は集金のバイトをしていてバイト歴も長く、一人で三百軒近くの家を担当しているそうです。
長くやっていると色んなお客さんがいるそうで…時には不思議な体験をした事もあったそうです。
新聞を取る方は年々減ってお年寄りのお家が多いらしく、時には契約中に亡くなる方もいたそうです。
毎月月末に向かい月に1回行くと日に日に衰えていく様がよくわかったそうです。
その月もいつもの様に月末に集金に向かいチャイムを押すと必ず出てくるおばあちゃんがが出てきません。
でもそんなことはよくあること、耳が遠くなってしまったので普通のチャイムの音が聞こえない事があり、そういう時は戸を叩いて声をかけるそうです。
その日もトントンと戸を叩いて大きな声で声をかけるが反応がありません。
少し引き戸を開けて隙間から声をかけますが反応なし。
声が聞こえると「はーい、ちょっと待ってね」なんて声がしてゆっくりと出てくるのにその日は中々出てきませんでした。
寝ちゃったかな?
その日の集金は諦めて戸をしっかりと閉めてまた違う日に行くことにしました。
その次の日今度は午前中に向かうとまた同じようにチャイムをして反応なし。声をかけると今度は反応がありました。
でも…
「はーい、ごめんね…お金が用意できなくてまた今度来てくれる?」
「あっ、わかりました!」
年金暮しのお年寄りにはよくあって次の月にきてやまだ子供からお金を預かってないなどあるのですぐに諦めてまた後日改めて行くとになります。
その後も何度か行きますが返事は同じ…
「ごめんね、また今度来てくれる?」
部屋で寝たきりになっているのかこもった様な声が奥から聞こえてきます。
何度もまた今度と言われて少し面倒になってきました。
「いつなら大丈夫ですかー」
そう言うと土日を過ぎた次の月曜日なら大丈夫だと言います。
「その日なら家族がいるから」…と
わかったと返事をして改めて月曜日に行くことにしました。
約束の日集金に向かうと家の様子がいつもと違いました。
おばあちゃんはもう車も乗れないので駐車場には一台も停まって無いのにその日は車が道路にも停まっていました。
家に他の家族が居るならお金も貰えるとチャイムを鳴らすと見た事ない女性が黒い服を纏って出てきました。
それを見てピーンときたそうです。
「すみません、○○の集金に来たのですが…○○さんは?」
そう声をかけるとああ、と頷き財布からお金を取り出し払ってくれました。
「あの、おばあちゃん亡くなったので契約止めたいんだけど、どうすればいいですか?」
やっぱり…
「そうなんですか…それはご愁傷さまです。そういう場合は事務所に電話していただければ大丈夫ですよ」
そう言って事務所の番号を渡しました。
「でもついこの間までお話できたのに残念です」
「そうなんですか…私達きょうだいは週末しか来れなくて…土曜に来た時にはもう…」
ハンカチで涙を拭いました。
「それは…」
なんと言葉をかけていいのかわからずに頭を下げて挨拶をしてその時は帰ったそうです。
その数日後、お金を事務所に持っていくとその話をしてみたらやはり契約解除の連絡が来たそうでした。
「でも可哀想ね…最後に一人で亡くなるなんて…」
事務のおばちゃんが大きくため息をつきました。
話好きなおばちゃんはその時の様子を詳しく聞いたそうです。
「どうもね、心臓が悪くて寝てる間に亡くなった見たいよ。でも寒かったから腐敗とかはなかったみたいね」
「腐敗って…だってほんの数日だけですよね」
「確か、一週間ぐらい気が付かれなかったみたいよ」
え…
一週間と聞いて思わずカレンダーを見たそうです。
集金に向かったのは25日の月曜日、最後に返事を貰ったのは28日の木曜日…聞けば最初の集金に向かう前にはもう亡くなっていたそうです。
でもその方は確かにあのおばあちゃんの声だったと言いました。
律儀でいつもご苦労さまと言ってくれたおばあちゃんは何度もくる私に悪いと思って声をかけてくれたのかも…と涙ぐんで話してくれました。
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