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ライアン

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「思い出してくれたかい?」

ライアンはニコッと笑ってメリルを自分に引き寄せた。

「ちょ!離して!」

メリルは急に現れた男に抱き寄せられて鳥肌が立つ。
すぐに抵抗して体を離すとライアンを睨みつけた。

「あなたこの前 庭に侵入してきた男ね!」

「侵入…ち、違う!私の顔に覚えはないのか?」

ライアンは自分を知らないなんて信じられないとよく見えるように顔を近づける。

「近づかないで!」

メリルはそばにあったクッションを掴んでガードするが心もとない…

「ふふ、そんな物で何をしようと?」

ライアンはメリルの行動が可愛らしくて思わず笑ってしまった。

「本当に可愛いな、やっぱり君は王子である私に相応しい」

「王子?」

メリルは王子と聞いて男の顔をじっと見つめた。

「あっ…」

なんか身に覚えがあると思った…彼は元婚約者だった。

「まさかライアン王子?」

メリルの言葉にライアンはそうだとさらに近づこうとする。

「来ないで下さい!」

メリルは手で制止させた。

「何故だい?王子の私が近づくのを拒むのと言うのか…あっわかった、そうやって焦らして遊んでいるんだね。女は本当にそういうことが好きだよな」

ライアンは呆れるように肩をあげた。

「は?」

メリルはライアン王子の言葉がどれひとつとして理解できなかった。

あの時はなんで婚約破棄されたのかわからなかったが、ディーンが自分の事で傷ついた時にあれも自分の容姿が良くなかったのだと気がついた。

まぁ好きでも嫌いでもない相手からの婚約破棄など痛くも痒くもないがそれが痩せた途端に来るのはいい気がしない。

「すみませんがいくら王子といはいえ窓からいきなり侵入するのは礼儀知らずとしか思えません。日を改めて帰って下さい」

メリルは扉まで道をあけた。

「そんな冷たい態度も可愛いな…」

ゾクッ…

こいつ話が通じない…

メリルはこちらをみて微笑ましく笑顔を浮かべるライアンに寒気がした。

どんなに顔が良くてもこんな男ごめんだ!

口にはしないがメリルはそう思った。

「すみませんが人を呼びます。だれ…ンッ!」

メリルが人を呼ぼうと声をあげようとするとライアンはメリルが後ろを向いたすきに近づいてメリルの口を塞いだ。

「僕は大きな声を出す女は嫌いなんだ、だからこれからは大声はあげないでくれ」

「んー!んんんん!」

離して!

メリルは暴れて王子の手から逃れようとする。

「おっと、抵抗するのは嫌いじゃないけどそれはベッドの上でして欲しいな。とりあえず大人しくして私と王宮に来てくれないか?父に君を紹介したいんだ」

「ん!?」

メリルは「ハッ!?」とライアン王子を見上げた。

王子は冗談を言うわけでもなく真剣な顔でメリルに頼んでいた。

この人…

メリルは王子の瞳をじっと見つめる。

自分の事を正しいと思って疑わない眼差しに気味が悪くなる。

無理に否定でもしたら何をするかわからなかった。

メリルは抵抗するのをやめて一度力を抜く、するとライアンはわかってくれたのかと力を抜いた。

その瞬間をメリルは見逃さなかった!
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