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「リコ、大丈夫か?」
そんな私にラウルさんがそばに来てくれた。
「肉を焼き終えたからここは俺がやるよ」
ラウルさんは私の手から木ベラを受け取るとソース作りを変わってくれた。
ラウルさんの後ろに隠れながら私はラウルさんにだけ聞こえるように指示を出す。
と言ってもあとはお肉にソースをかけるだけだった。
「これさ、一緒に煮ても美味そうだな」
ラウルさんの何気ない一言にピンっときた!
「それ絶対美味しい!」
「だよな!そうしよう」
ラウルさんは焼いた肉をソースの中に入れるとよく絡めて皿に盛った。
「出来た!味見する暇がなかったのが残念だ……」
もう相手は作り終えてラウルさんの料理を待っていた。
ラウルさんはすぐに料理をテーブルに運ぶと周りに人が集まってくる。
「ラウルの料理にしちゃ美味そうだな」
「よし、料理も出揃ったしみんな審査してくれ」
ウバが自信満々に自分の料理を差し出した。
「まぁじゃあウバの方から」
みんなが味見をするとウンウンと頷いている。
「リコも食べてみな」
ラウルさんがウバの料理をとってくれた。
彼の料理は何かの肉を焼きながらタレをつけて食べるものだった。
焼肉みたいだな……と感じた。
タレがオリジナルらしく少し辛めで食欲を増幅させる。
しかし子供の私には少し辛すぎた。
少し顔をしかめるとラウルさんが水を用意してくれた。
「大丈夫か?」
「うん、ちょっと辛かった」
私は口を押さえた。
「ふん、子供なんかに味を合わせていられるか」
ウバは知るかと私の事を見下ろして睨みつけた。
「まぁ確かに辛いな、俺は甘めがすぎたな」
辛いのが苦手な人もいたようでそんな事を言い出した。
次にラウルさんの料理をみんなが食べる。
するとみんなの手が止まってしまった。
「ど、どうだ?」
ラウルさんもみんなの反応が初めてのようで戸惑っていた。
「なんだこりゃ!」
ラウルさんはガックリと肩を落とした。
「やっぱりダメか……あいつに謝らないと」
ラウルさんがウバに謝ろうとすると
「違う!すげぇ美味いんだよ!ラウルどうしたんだ?」
「本当に久しぶりにこんな美味いの食ったな、これなら貴族になれそうだぞ」
「え?」
ラウルさんは自分の料理をパクッと食べる。
私もついでに味見してみた。
うん、美味しい。
あのウバって人のより食べやすかった。
ラウルさんの料理は人気であっという間にみんな平らげて取り合いになる。
「おい、もっと無いのか!」
そんな事を言い出す人までいた。
「そんなおかわりなんてねーよ」
困ったように答えるラウルさんだったがその顔は嬉しそうだ。
みんなは料理を見比べて頷きあった。
「この勝負ラウルの勝ちだな」
ラウルさんの料理は空でウバの料理はまだ少し残っている状態だった。
「ウバ、ラウルに謝れよ」
「お、俺の勝ち?」
ラウルさんは勝敗の結果に驚いていた。
「初めて勝った……」
ラウルさんのつぶやきに私は驚いてその顔を見上げる。
初めて勝った?
そんなのに勝負をしようとした事に少し呆れる。
でもラウルさんの嬉しそうな顔にまぁいいかと聞かなかった事にした。
そんな私にラウルさんがそばに来てくれた。
「肉を焼き終えたからここは俺がやるよ」
ラウルさんは私の手から木ベラを受け取るとソース作りを変わってくれた。
ラウルさんの後ろに隠れながら私はラウルさんにだけ聞こえるように指示を出す。
と言ってもあとはお肉にソースをかけるだけだった。
「これさ、一緒に煮ても美味そうだな」
ラウルさんの何気ない一言にピンっときた!
「それ絶対美味しい!」
「だよな!そうしよう」
ラウルさんは焼いた肉をソースの中に入れるとよく絡めて皿に盛った。
「出来た!味見する暇がなかったのが残念だ……」
もう相手は作り終えてラウルさんの料理を待っていた。
ラウルさんはすぐに料理をテーブルに運ぶと周りに人が集まってくる。
「ラウルの料理にしちゃ美味そうだな」
「よし、料理も出揃ったしみんな審査してくれ」
ウバが自信満々に自分の料理を差し出した。
「まぁじゃあウバの方から」
みんなが味見をするとウンウンと頷いている。
「リコも食べてみな」
ラウルさんがウバの料理をとってくれた。
彼の料理は何かの肉を焼きながらタレをつけて食べるものだった。
焼肉みたいだな……と感じた。
タレがオリジナルらしく少し辛めで食欲を増幅させる。
しかし子供の私には少し辛すぎた。
少し顔をしかめるとラウルさんが水を用意してくれた。
「大丈夫か?」
「うん、ちょっと辛かった」
私は口を押さえた。
「ふん、子供なんかに味を合わせていられるか」
ウバは知るかと私の事を見下ろして睨みつけた。
「まぁ確かに辛いな、俺は甘めがすぎたな」
辛いのが苦手な人もいたようでそんな事を言い出した。
次にラウルさんの料理をみんなが食べる。
するとみんなの手が止まってしまった。
「ど、どうだ?」
ラウルさんもみんなの反応が初めてのようで戸惑っていた。
「なんだこりゃ!」
ラウルさんはガックリと肩を落とした。
「やっぱりダメか……あいつに謝らないと」
ラウルさんがウバに謝ろうとすると
「違う!すげぇ美味いんだよ!ラウルどうしたんだ?」
「本当に久しぶりにこんな美味いの食ったな、これなら貴族になれそうだぞ」
「え?」
ラウルさんは自分の料理をパクッと食べる。
私もついでに味見してみた。
うん、美味しい。
あのウバって人のより食べやすかった。
ラウルさんの料理は人気であっという間にみんな平らげて取り合いになる。
「おい、もっと無いのか!」
そんな事を言い出す人までいた。
「そんなおかわりなんてねーよ」
困ったように答えるラウルさんだったがその顔は嬉しそうだ。
みんなは料理を見比べて頷きあった。
「この勝負ラウルの勝ちだな」
ラウルさんの料理は空でウバの料理はまだ少し残っている状態だった。
「ウバ、ラウルに謝れよ」
「お、俺の勝ち?」
ラウルさんは勝敗の結果に驚いていた。
「初めて勝った……」
ラウルさんのつぶやきに私は驚いてその顔を見上げる。
初めて勝った?
そんなのに勝負をしようとした事に少し呆れる。
でもラウルさんの嬉しそうな顔にまぁいいかと聞かなかった事にした。
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