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101.溺愛

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マリーが腕の中で寝息を立てる、寝ているその顔は幼く年相応の子供にしか見えない。

可愛い娘の寝顔をずっと見ておられるとジェラートは微笑み眺めていた。

トントン…

「お父様…」

すると心配そうな声のテオドールが扉を叩いて部屋に入ってきた。

「ふふ、疲れたようで寝てしまったよ」

屈んでマリーの寝顔を見せてやると

「幸せそうに寝ていますね。こっちの心配も知らないで」

困った子を見るようにその頬をつついていたが、ふっと顔を曇らせてこちらを見上げた、

「お父様…どうも王子とダン様がマリーに興味を持ってしまったようです…」

テオドールが整った眉を下げて報告してきた。

前々から王子がマリーを気にしているふしがあるので注意が必要だと言われていたが…一体何を餌にマリーを呼び出したのか…そしてバッチリと会われてやはり気にいられてしまったようだ。

「そうか、マリーの事だ。当たり前のことをして二人を魅了したのだろう」

「そうですね、唯一の救いはマリーに全くその気が無いことですね」

「それはよかった…コレでマリーに『王子様と結婚したい!』なんて言われでもしたら…血の涙を流せるな…」

「お父様…」

テオドールが驚いて父を見上げるがその顔は真剣そのものだった。

「これだからあまり外に出さないようにしていたのに…」

「しかし仕方ない、マリーも令嬢として十歳になれば学園へと行くことになる…そうすればマリーを狙うハイエナ共がわんさかと…」

「大丈夫です。それまでに学園の実権は握っておきますから、ちょうどいい具合に王子とダン様もマリーを気に入ったようなのでそこは利用させて貰います。なので学園の方は楽に済みそうです」

「そうか…学園は親は手が出せない、テオドール頼むぞ!」

「はい!その代わりお父様は他の輩を排除してくださいね」

「ああ、任せておきなさい。マリーに縁談を持ち込む輩は全て排除しおく」

気持ちよさそうに眠るマリーのそばで溺愛する親子の物騒な話はマリーが起きるまで続けられていた。
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