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33.可愛い弟
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「ふー…ふー…」
シリルが落ち着いてくると私は腕の力を抜いてそっとシリルの体をさすってあげた。
「シリルのせーじゃないよ~これはわたちがこえかけたのがいけないの…ごめんね」
私シリルの顔を覗きこんで謝まった。
シリルを見ると落ち着きを取り戻して謝る私の顔をじっと見ている。
「ラドさんもごめんなしゃい…けが…だいじょぶ?」
怪我をした従者のラドさんを心配して見つめると…
「こ、こんなの大した事ないです!すみません…小さい子は動くから注意するように指導を受けていたのに…シリル様もマリー様も大人しいので油断していた私が悪いのです!シリル様…申し訳ありません」
ラドさんが深々と私達に頭を下げた。
「だ、だいじょぶ…?」
するとシリルが怯えながら私の肩越しにラドさんを見つめた。
「ええ!もちろんです!シリル様は怪我はありませんか?もし何処か痛いようなら…」
「へい…き…」
シリルはぎゅっと私に抱きついてきた。
「シリルはえらいねーちゃんとあやまれるししんぱいできてやさしい、いいこねー」
いい子にはなでなでだ!
私はシリルの頭を撫でる。
するとシリルの体がピクッと固まったと思ったらふっと肩の力が抜けた。
「ラドさんいまのうちにきってあげて~」
よしよしと体を撫でならがその手を握りしめる。そうして落ち着いているうちにラドさんが手早くシリルの髪を切った。
汚れや油でくっついてしまったところが多くてかなり短めに切りそろえると可愛らしい顔がやっと見えてきた。
「シリルかわい~」
天使のような可愛い顔にほっこりとする、あとは綺麗に洗ってあげればもっと可愛くなるだろう!
そんなシリルを見たら…お兄様驚くだろうなぁ~
くふふ…
私が笑っていると…
「ぼく…かわいい?」
シリルが私の言葉に自分の顔を触った。
「うん!かわいい!てんちみたい!きっとみんなシリルがすきになるわよ~」
もちろん主人公もね!
忘れずに付け足しておく。
うんうんと笑うと
「マ、マリー…も?」
伺うように私を見つめてきた。
「わたし?うんシリルだいすきだよ」
なのでもちろんだと返事をすると…
ガタンっ!
扉の方から誰かが盛大に躓く音がした。
シリルと一緒に顔を向けると、そこには慌てた様子のテオドールお兄様がいた。
しかし様子がおかしい…膝を着いて真っ青な顔で座り込み扉をぎゅっと握りしめていた。
「テオドールおにいちゃま?」
私は具合の悪そうなお兄様に声をかけると…
「マリー…それ本当?」
ん?どれ?
キョロキョロと周りを確認するがいるのはキョトンとしている可愛いシリルと戸惑う従者さんとメイドさんしか見えない。
「どれ?」
やっぱりわからないのでお兄様に聞いてみた。
「そ、その…シリルが…すき…だって」
ああ、その事か!
「はい!おにいちゃまもみてくだしゃい。シリルかみきったらかわいいの!」
「え?ああ、そうだね…」
お兄様が頷くと
「おにいちゃまもかわいいおとうとのシリルすきだよね?」
「え?あっ…おとうと…そうだね、マリーも可愛いけどね」
だろうとも!シリルはこれからもっと成長すると私なんかが及ばないほど可愛くなるからなぁ~
お兄様の同意に嬉しくてお兄様のいつもと違う様子に全く気が付かないでいた。
シリルが落ち着いてくると私は腕の力を抜いてそっとシリルの体をさすってあげた。
「シリルのせーじゃないよ~これはわたちがこえかけたのがいけないの…ごめんね」
私シリルの顔を覗きこんで謝まった。
シリルを見ると落ち着きを取り戻して謝る私の顔をじっと見ている。
「ラドさんもごめんなしゃい…けが…だいじょぶ?」
怪我をした従者のラドさんを心配して見つめると…
「こ、こんなの大した事ないです!すみません…小さい子は動くから注意するように指導を受けていたのに…シリル様もマリー様も大人しいので油断していた私が悪いのです!シリル様…申し訳ありません」
ラドさんが深々と私達に頭を下げた。
「だ、だいじょぶ…?」
するとシリルが怯えながら私の肩越しにラドさんを見つめた。
「ええ!もちろんです!シリル様は怪我はありませんか?もし何処か痛いようなら…」
「へい…き…」
シリルはぎゅっと私に抱きついてきた。
「シリルはえらいねーちゃんとあやまれるししんぱいできてやさしい、いいこねー」
いい子にはなでなでだ!
私はシリルの頭を撫でる。
するとシリルの体がピクッと固まったと思ったらふっと肩の力が抜けた。
「ラドさんいまのうちにきってあげて~」
よしよしと体を撫でならがその手を握りしめる。そうして落ち着いているうちにラドさんが手早くシリルの髪を切った。
汚れや油でくっついてしまったところが多くてかなり短めに切りそろえると可愛らしい顔がやっと見えてきた。
「シリルかわい~」
天使のような可愛い顔にほっこりとする、あとは綺麗に洗ってあげればもっと可愛くなるだろう!
そんなシリルを見たら…お兄様驚くだろうなぁ~
くふふ…
私が笑っていると…
「ぼく…かわいい?」
シリルが私の言葉に自分の顔を触った。
「うん!かわいい!てんちみたい!きっとみんなシリルがすきになるわよ~」
もちろん主人公もね!
忘れずに付け足しておく。
うんうんと笑うと
「マ、マリー…も?」
伺うように私を見つめてきた。
「わたし?うんシリルだいすきだよ」
なのでもちろんだと返事をすると…
ガタンっ!
扉の方から誰かが盛大に躓く音がした。
シリルと一緒に顔を向けると、そこには慌てた様子のテオドールお兄様がいた。
しかし様子がおかしい…膝を着いて真っ青な顔で座り込み扉をぎゅっと握りしめていた。
「テオドールおにいちゃま?」
私は具合の悪そうなお兄様に声をかけると…
「マリー…それ本当?」
ん?どれ?
キョロキョロと周りを確認するがいるのはキョトンとしている可愛いシリルと戸惑う従者さんとメイドさんしか見えない。
「どれ?」
やっぱりわからないのでお兄様に聞いてみた。
「そ、その…シリルが…すき…だって」
ああ、その事か!
「はい!おにいちゃまもみてくだしゃい。シリルかみきったらかわいいの!」
「え?ああ、そうだね…」
お兄様が頷くと
「おにいちゃまもかわいいおとうとのシリルすきだよね?」
「え?あっ…おとうと…そうだね、マリーも可愛いけどね」
だろうとも!シリルはこれからもっと成長すると私なんかが及ばないほど可愛くなるからなぁ~
お兄様の同意に嬉しくてお兄様のいつもと違う様子に全く気が付かないでいた。
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