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「ああ、元気にしている」
フレッドが穏やかに微笑むと男達はざわついた。
「証拠はあるのか!?」
その言葉にフレッドは後ろを振り返る。
するとロレッタが悲しそうな顔で馬車から降りてきた。
「皆さん、こんな事になってしまい申し訳ありません」
ロレッタは男達に深く頭を下げた。
「本当にロレッタ様だ…あいつら、何もかも嘘だったのか?」
「なぜそんな嘘を?」
フレッドは哀れな男達を悲しげに見つめた。
「隣国の嘘の噂を流して国から出さないようにしていたのかもしれないな。何処までも腐った奴だ」
ロレッタは縛れてる男達の元に近づくとその手をそっと掴んだ。
「妹が…家族が…すみませんでした。私の出来ることをする為に帰ってきました…皆さんはもう人を傷つけるのはやめて下さい」
ロレッタはグッと堪えて男達を見つめる。
男達はロレッタから目を逸らした。
「もう遅いです、俺達はアイツらと同じように汚れちまった…」
「同じじゃないだろう。お前達には後悔も反省も出来る」
「だがこんな何もないところでどうやり直すんだ」
「だからその手伝いをする為に私達が来たんだろうが、ほら、反省するなら代表者のところに連れて行ってくれ」
「私からもお願いします」
ロレッタはペコッと頭を下げた。
男達は見つめ合い頷きあった。
「わかった。今この場を納めてくれているのはジョン様だ」
「ジョン?」
フレッドはその名前に聞き覚えがあった。
「まぁ、ジョン団長が!?」
ロレッタの反応にフレッドは固まった。
「ロレッタ…知り合い…かい?」
「はい、と言うよりはこちらが知っているだけかもしれませんが…コスリガ国の騎士団長様です」
「騎士団長…ジョン」
フレッドは眉間に皺を寄せて考え込む。
「ジョン様はロレッタ様の事を覚えてますよ、一番ロレッタ様が亡くなった事を悔やんでいたのはジョン様ですから」
「「え?」」
ロレッタとフレッドは同時に声を出した。
「ロレッタ、その…ジョンと言う人との関係は?」
フレッドはチラッとロレッタを見て説明を求めた。
「関係というか、あの人の護衛をされてた方です」
ロレッタはチラッとジョージの捕まっている馬車を見つめた。
「王子の護衛…」
「はい、あの人といる時には必ず着いてきて居ましたから」
「そうか…」
フレッドは何となく納得出来ずにいた。
男達は縛ったまま、とりあえずそのジョンの所まで案内して貰うことにした。
フレッドが穏やかに微笑むと男達はざわついた。
「証拠はあるのか!?」
その言葉にフレッドは後ろを振り返る。
するとロレッタが悲しそうな顔で馬車から降りてきた。
「皆さん、こんな事になってしまい申し訳ありません」
ロレッタは男達に深く頭を下げた。
「本当にロレッタ様だ…あいつら、何もかも嘘だったのか?」
「なぜそんな嘘を?」
フレッドは哀れな男達を悲しげに見つめた。
「隣国の嘘の噂を流して国から出さないようにしていたのかもしれないな。何処までも腐った奴だ」
ロレッタは縛れてる男達の元に近づくとその手をそっと掴んだ。
「妹が…家族が…すみませんでした。私の出来ることをする為に帰ってきました…皆さんはもう人を傷つけるのはやめて下さい」
ロレッタはグッと堪えて男達を見つめる。
男達はロレッタから目を逸らした。
「もう遅いです、俺達はアイツらと同じように汚れちまった…」
「同じじゃないだろう。お前達には後悔も反省も出来る」
「だがこんな何もないところでどうやり直すんだ」
「だからその手伝いをする為に私達が来たんだろうが、ほら、反省するなら代表者のところに連れて行ってくれ」
「私からもお願いします」
ロレッタはペコッと頭を下げた。
男達は見つめ合い頷きあった。
「わかった。今この場を納めてくれているのはジョン様だ」
「ジョン?」
フレッドはその名前に聞き覚えがあった。
「まぁ、ジョン団長が!?」
ロレッタの反応にフレッドは固まった。
「ロレッタ…知り合い…かい?」
「はい、と言うよりはこちらが知っているだけかもしれませんが…コスリガ国の騎士団長様です」
「騎士団長…ジョン」
フレッドは眉間に皺を寄せて考え込む。
「ジョン様はロレッタ様の事を覚えてますよ、一番ロレッタ様が亡くなった事を悔やんでいたのはジョン様ですから」
「「え?」」
ロレッタとフレッドは同時に声を出した。
「ロレッタ、その…ジョンと言う人との関係は?」
フレッドはチラッとロレッタを見て説明を求めた。
「関係というか、あの人の護衛をされてた方です」
ロレッタはチラッとジョージの捕まっている馬車を見つめた。
「王子の護衛…」
「はい、あの人といる時には必ず着いてきて居ましたから」
「そうか…」
フレッドは何となく納得出来ずにいた。
男達は縛ったまま、とりあえずそのジョンの所まで案内して貰うことにした。
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