81 / 98
81.
しおりを挟む
「シド、まだ準備は出来ないのか…」
フレッドはロレッタに会えない日々の寂しさから準備を急がせていた。
「フレッド様、ロレッタ様に相手にされないからって私に当たらないで下さい。余裕のない男は嫌われますよ」
「わかっている!わかっているから何も言わないで待ってるんじゃないか」
フレッドははぁ…とため息をつく。
その様子にシドは笑いながら答えた。
「ロレッタ様からご連絡がありまして、ご用意は終わったようですよ。こちらもあとは兵士達の選別が残ってますのでそれが済めばすぐにでも…ロレッタ様は時間があると思うので声をかけてみればいかがですか?」
「そうか!すまんなシド!」
フレッドは顔を輝かせるとお礼を言って足早にロレッタの部屋へと向かった。
シドはそんなフレッド様の後ろ姿を苦笑しながら眺めていた。
「ロレッタは居るか?」
フレッドは部屋の前の護衛に声をかけると、護衛達は慌てて扉の前から退いた。
「はい、先程エミリーさんとお二人で部屋へと戻られました」
「わかった。声をかけてくれ」
護衛が中のエミリーに声をかけると扉が開く。
そしてフレッド様の顔を見ると、笑って中へと促した。
「エミリー、ロレッタは…」
「しっ!」
エミリーにロレッタの事を聞こうとするとエミリーが指。口に当てて黙れと目で合図をする。
フレッドは疑問に思いながらもエミリーに従った。
フレッドが黙るとエミリーは手招きしてフレッド様を中へと誘導する。
そして中を眺めて笑いながら指をさした。
「エミリーさん、誰か来たのですか?」
久しぶりに聞くロレッタの声に胸が踊る。
ロレッタは何かしているのか後ろを振り向かずに声をかけた。
「いえ、なんでもありません。それよりも調子はどうですか?」
エミリーはフレッドに黙ってる様に口に手を当てながらロレッタと会話を始めた。
「はい、どうにか上手くいきそうです…」
ロレッタは何かを作っているようで真剣な様子で手を動かしていた。
エミリーがそばに行くとロレッタの手元を覗き込む。
「さすがロレッタ様です。大変お上手に出来てますよ」
「本当ですか?よかった…」
ほっとしたように作っている物を大事そうに抱きしめた。
「ええ、きっとフレッド様も喜んで下さいますよ」
え?
自分の名前が出てきて驚きエミリーを見るもニコニコと笑うばかりで黙っていろと口を押さえている。
「そうでしょうか…フレッド様に迷惑にはならないですよね?」
「ええ、大丈夫です」
エミリーは力強く頷いた。
「ロレッタ様にそれを作りたいと言われた時は驚きましたが…どうにか間に合いそうですね」
「はい…」
ロレッタの嬉しそうな声にフレッドはそれが何か気になって仕方なかった。
フレッドはロレッタに会えない日々の寂しさから準備を急がせていた。
「フレッド様、ロレッタ様に相手にされないからって私に当たらないで下さい。余裕のない男は嫌われますよ」
「わかっている!わかっているから何も言わないで待ってるんじゃないか」
フレッドははぁ…とため息をつく。
その様子にシドは笑いながら答えた。
「ロレッタ様からご連絡がありまして、ご用意は終わったようですよ。こちらもあとは兵士達の選別が残ってますのでそれが済めばすぐにでも…ロレッタ様は時間があると思うので声をかけてみればいかがですか?」
「そうか!すまんなシド!」
フレッドは顔を輝かせるとお礼を言って足早にロレッタの部屋へと向かった。
シドはそんなフレッド様の後ろ姿を苦笑しながら眺めていた。
「ロレッタは居るか?」
フレッドは部屋の前の護衛に声をかけると、護衛達は慌てて扉の前から退いた。
「はい、先程エミリーさんとお二人で部屋へと戻られました」
「わかった。声をかけてくれ」
護衛が中のエミリーに声をかけると扉が開く。
そしてフレッド様の顔を見ると、笑って中へと促した。
「エミリー、ロレッタは…」
「しっ!」
エミリーにロレッタの事を聞こうとするとエミリーが指。口に当てて黙れと目で合図をする。
フレッドは疑問に思いながらもエミリーに従った。
フレッドが黙るとエミリーは手招きしてフレッド様を中へと誘導する。
そして中を眺めて笑いながら指をさした。
「エミリーさん、誰か来たのですか?」
久しぶりに聞くロレッタの声に胸が踊る。
ロレッタは何かしているのか後ろを振り向かずに声をかけた。
「いえ、なんでもありません。それよりも調子はどうですか?」
エミリーはフレッドに黙ってる様に口に手を当てながらロレッタと会話を始めた。
「はい、どうにか上手くいきそうです…」
ロレッタは何かを作っているようで真剣な様子で手を動かしていた。
エミリーがそばに行くとロレッタの手元を覗き込む。
「さすがロレッタ様です。大変お上手に出来てますよ」
「本当ですか?よかった…」
ほっとしたように作っている物を大事そうに抱きしめた。
「ええ、きっとフレッド様も喜んで下さいますよ」
え?
自分の名前が出てきて驚きエミリーを見るもニコニコと笑うばかりで黙っていろと口を押さえている。
「そうでしょうか…フレッド様に迷惑にはならないですよね?」
「ええ、大丈夫です」
エミリーは力強く頷いた。
「ロレッタ様にそれを作りたいと言われた時は驚きましたが…どうにか間に合いそうですね」
「はい…」
ロレッタの嬉しそうな声にフレッドはそれが何か気になって仕方なかった。
18
お気に入りに追加
3,554
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
婚約者の心の声が聞こえるようになったけど、私より妹の方がいいらしい
今川幸乃
恋愛
父の再婚で新しい母や妹が出来た公爵令嬢のエレナは継母オードリーや義妹マリーに苛められていた。
父もオードリーに情が移っており、家の中は敵ばかり。
そんなエレナが唯一気を許せるのは婚約相手のオリバーだけだった。
しかしある日、優しい婚約者だと思っていたオリバーの心の声が聞こえてしまう。
”またエレナと話すのか、面倒だな。早くマリーと会いたいけど隠すの面倒くさいな”
失意のうちに街を駆けまわったエレナは街で少し不思議な青年と出会い、親しくなる。
実は彼はお忍びで街をうろうろしていた王子ルインであった。
オリバーはマリーと結ばれるため、エレナに婚約破棄を宣言する。
その後ルインと正式に結ばれたエレナとは裏腹に、オリバーとマリーは浮気やエレナへのいじめが露見し、貴族社会で孤立していくのであった。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
パート妻が職場の同僚に寝取られて
つちのこ
恋愛
27歳の妻が、パート先で上司からセクハラを受けているようだ。
その話を聞いて寝取られに目覚めてしまった主人公は、妻の職場の男に、妻の裸の写真を見せてしまう。
職場で妻は、裸の写真を見た同僚男から好奇の目で見られ、セクハラ専務からも狙われている。
果たして妻は本当に寝取られてしまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる