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「ロレッタ様にねぇ…しかしロレッタ様がどういう経緯でここに連れてこられたかわかっていますか?」
「ええ!もちろんです!姉は喜んでこの国に行ったんですから。今はどうしてます?庶民のような暮らしをしてるのかしら?それともまさか牢屋…なんて事はないですよね?まぁ最悪監禁かしら?ああ~本当に心配だわ!」
その顔はどう見ても心配などしてるようには見えなかった。
「いっても令嬢だ、それなりの待遇だろ?ちょっと国が落ち着く間ロレッタのところにいさせてもらう」
「ロレッタ様の許可も取らずにですか?」
二人の言い分に驚いて聞き返した。
「お姉様に限って断るなんてしませんわ!」
「ああ、あいつは俺に惚れてるからな…」
ジョージが困った顔でため息をつく。
「それは…初耳です。ロレッタ様がそう仰ったのですか?」
「言わなくても分かる、あの顔は俺に惚れてる顔だった」
あまりにも自信満々に答える。
「わかりました…一応お話を聞いてきますので少しお待ちください」
「まだ待つのか!?………ならもう少しいい部屋にしてくれないか?それと何か食べ物もあったら…」
ジョージはレミリアに聞こえないようにシドに話しかける。
「・・・・・・わかりました、しかし部屋は駄目です。ここでお待ちください」
「わかった。早めに頼むぞ!」
この馬鹿ジョージ、自分の立場をわかっているのか?
シドは呆れながら部屋を出ていった…
「ジョージ様、あの方はなんと?」
「早急に今の話を確認して国に入れるように準備するそうだ。待つあいだに食事も用意するように言っておいたぞ」
「さすが王子です!」
二人は今か今かと扉が開くのを待っていた。
シドはとりあえずフレッド王子の元に向かった。
ロレッタ様にあの二人の事を伝えたらもしかしたら会いに行ってしまうかもしれない。
いくらあいつらが馬鹿で自分達の立場をわかっていなくても、一度は婚約者だった男と実の妹だ。
優しいロレッタ様ならあの二人にあることない事言われて国に入れるようにフレッド王子にお願いするかもしれない。
フレッド王子は…今ロレッタ様のお願いに敏感だ。
下手をしたら頷いてしまうかもしれないとシドは心配していた。
「王子!あの元馬鹿王子に会ってきましたよ!」
「おお、どうだった?あいつらはなんて言ってる?」
「それが…」
シドはこれまでの事を王子に話した。
「どうもお二人はロレッタ様に寄生してこの国で暮らしていこうとしてるのかもしれませんね」
バキッ!
変な音にシドが目を向けるとフレッド王子のこめかみに血管が浮き出てピクピク脈打っていた。
手には持っていたペンが真っ二つに折れている。
あれ、高いのに…
シドは折れたペンを見つめた。
「その馬鹿共を絶対ロレッタに会わせるな」
「もちろんです。あんなのが国に入ったら腐敗しかねませんよ、現に自国を食いつぶしてしまったんですからね」
シドの呆れる様子にフレッドもいくぶん気持ちが落ち着いてきた。
「それにしてもあんな事をしてきてロレッタが助けると思っているとは…信じられんな」
「あー、なんか自分に惚れてるから大丈夫だって言ってましたよ」
「なに……」
「あっ…」
フレッド王子の不機嫌な声に余計な事を言ったとシドは口をふさいだ。
「ええ!もちろんです!姉は喜んでこの国に行ったんですから。今はどうしてます?庶民のような暮らしをしてるのかしら?それともまさか牢屋…なんて事はないですよね?まぁ最悪監禁かしら?ああ~本当に心配だわ!」
その顔はどう見ても心配などしてるようには見えなかった。
「いっても令嬢だ、それなりの待遇だろ?ちょっと国が落ち着く間ロレッタのところにいさせてもらう」
「ロレッタ様の許可も取らずにですか?」
二人の言い分に驚いて聞き返した。
「お姉様に限って断るなんてしませんわ!」
「ああ、あいつは俺に惚れてるからな…」
ジョージが困った顔でため息をつく。
「それは…初耳です。ロレッタ様がそう仰ったのですか?」
「言わなくても分かる、あの顔は俺に惚れてる顔だった」
あまりにも自信満々に答える。
「わかりました…一応お話を聞いてきますので少しお待ちください」
「まだ待つのか!?………ならもう少しいい部屋にしてくれないか?それと何か食べ物もあったら…」
ジョージはレミリアに聞こえないようにシドに話しかける。
「・・・・・・わかりました、しかし部屋は駄目です。ここでお待ちください」
「わかった。早めに頼むぞ!」
この馬鹿ジョージ、自分の立場をわかっているのか?
シドは呆れながら部屋を出ていった…
「ジョージ様、あの方はなんと?」
「早急に今の話を確認して国に入れるように準備するそうだ。待つあいだに食事も用意するように言っておいたぞ」
「さすが王子です!」
二人は今か今かと扉が開くのを待っていた。
シドはとりあえずフレッド王子の元に向かった。
ロレッタ様にあの二人の事を伝えたらもしかしたら会いに行ってしまうかもしれない。
いくらあいつらが馬鹿で自分達の立場をわかっていなくても、一度は婚約者だった男と実の妹だ。
優しいロレッタ様ならあの二人にあることない事言われて国に入れるようにフレッド王子にお願いするかもしれない。
フレッド王子は…今ロレッタ様のお願いに敏感だ。
下手をしたら頷いてしまうかもしれないとシドは心配していた。
「王子!あの元馬鹿王子に会ってきましたよ!」
「おお、どうだった?あいつらはなんて言ってる?」
「それが…」
シドはこれまでの事を王子に話した。
「どうもお二人はロレッタ様に寄生してこの国で暮らしていこうとしてるのかもしれませんね」
バキッ!
変な音にシドが目を向けるとフレッド王子のこめかみに血管が浮き出てピクピク脈打っていた。
手には持っていたペンが真っ二つに折れている。
あれ、高いのに…
シドは折れたペンを見つめた。
「その馬鹿共を絶対ロレッタに会わせるな」
「もちろんです。あんなのが国に入ったら腐敗しかねませんよ、現に自国を食いつぶしてしまったんですからね」
シドの呆れる様子にフレッドもいくぶん気持ちが落ち着いてきた。
「それにしてもあんな事をしてきてロレッタが助けると思っているとは…信じられんな」
「あー、なんか自分に惚れてるから大丈夫だって言ってましたよ」
「なに……」
「あっ…」
フレッド王子の不機嫌な声に余計な事を言ったとシドは口をふさいだ。
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