【完結】売られた令嬢

三園 七詩

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フレッドはロレッタの手紙をルフレシアに届けた。

ルフレシアはロレッタからの手紙に怪訝な顔をしながらもそれを受け取った。

「なんて質素な手紙ですか?まぁロレッタ様にピッタリですが…」

ルフレシアは手紙をそっと開いた。

「その前に話しておくことがある、ペストンは君が命令した事を全て自供した。ロレッタへの行為は妹の治療の為だとわかったからな」

「あらそうですか?まぁいつかバレると思ってましたが思いの外早かったですね。フレッド様にとってロレッタ様がそれだけ大切なわけですね…」

「ああ、そうだ」

フレッドはすぐに肯定した。

「それでこの手紙は勝利宣言ですか?あんな純朴そうな顔をして結構やりますね」

ルフレシアはクスクス笑いながら手紙を開いた。

そしてそれを読んでいくうちに笑っていた顔が真顔になる。

「フレッド様はこれを読まれました?」

「いや、そんな事はしていない。なんと書いてあったんだ?」

「そうですか…わかりました」

ルフレシアは質問には答えずに手紙を折りたたむとビリビリに破り捨てた。

「な、何を…」

「ロレッタ様に返事をお願い致します…覚えていなさいと」

「ルフレシア…まだ何かするつもりか!?ロレッタの手紙にはなんて書いてあったんだ!」

「それはロレッタ様と私の秘密ですね…あの子…あんな風に見えて意外と…まぁいいですわ。精々大切にしてあげてください」

ルフレシアはもう要はないと背を向けてしまった。

「なんなんだ…」

フレッドはモヤモヤした気持ちのまま部屋を出ていった。





フレッド王子が出ていくとルフレシアは壁に寄りかかった。

今まで何にも寄りかからずに生きてきたが最初に寄りかかるのが壁とは…変なところで笑いが込み上げる。

ロレッタからの手紙を受け取ると何もかもどうでも良くなった。

どんな罵る言葉が?
それとも泣き言?
なんで、どうして!?
そんな言葉が書いてあると思っていたがそれらの言葉はひとつもなかった。

ロレッタからの手紙にはロレッタの隣国での扱いが書かれていた。

だからどうしたと思っていたら・・・

そんな扱いを受けてきた自分には私からの嫌がらせなど本来なら警戒してかわせていたと・・・

しかしこの国にきて、フレッド王子達と会い自分は変わった、それが嬉しいと書かれていた。

それに気がつけた事は感謝する・・・と。

でも罪は罪、自分でない方が同じ目にあったとしたらきっと許されない行為。

だからちゃんと罪を償い・・・それでも私に会う気があるなら喜んで会うと・・・

ロレッタからの宣戦布告に思えた。

フレッド王子からは遊びだといわれ、もうどうでも良くなり嫌がらせをしてみたが・・・

こんな事ならちゃんとあの子と向き合ってみればよかったと、初めて後悔した。

「覚えてなさい・・・」

処刑でもなんでも構わないと思っていたが、こうなれば意地でも生き抜いてロレッタの前にまた立ち塞がってみせる。

ルフレシアの瞳は熱く力がみなぎっていた。

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