【完結】売られた令嬢

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
11 / 98

11.夢

しおりを挟む
ロレッタはドレスの後ろの紐を解かれると大きく息を吐いた。

そして気持ちよさそうに寝越えりをうつ。

「意外とよく動くなぁ…」

何をしても可愛く見える姿に笑みがこぼれる。

「あっ…」

寝返りを打った際に緩めたドレスがめくれて昼間見た綺麗な乳房があらわになった。

あの時は初めてだからと我慢してやったのに…

「これは…ロレッタが悪い…」

フレッドは抑えていた自制心をほっぽり出してロレッタの胸元に吸い込まれるように顔を埋めた。



その時ロレッタは夢を見ていた…

なんでも妹に取られてきたロレッタの中で唯一自分に懐いていた大きな犬のジョンの事を…

サラサラの茶色い長い毛に大きな体…ジョンが子犬の頃から世話をして一番自分に懐いていた。
だがある時妹のレミリアがジョンを欲しいと言い出した…

しかしジョンはレミリアの言うことは全く聞かずにレミリアの部屋に小屋を構えても気がつけば私のところにへと戻ってきた。

唯一レミリアに取られなかった存在…しかし私が留守にしてる間にレミリアは言うことを聞かないジョンを躾の為と鞭で打ちつけ死なせてしまった。

あの日から大切なものを作るのが怖くなった。
いつか全て取られて、本当に大切なものを壊してしまうのではないかと…

そんなジョンが会いに来てくれた、尻尾をブンブンと振ってぺろぺろと顔を舐めると胸元に顔を擦り寄せてくる。

ふふ…ジョンたら

その甘える姿に微笑むとフワフワの体を抱きしめてその顔を頭を何度も撫でた…

会いたかった…

ロレッタはジョンをギュッと抱きしめるとその鼻先にチュッ…とキスをした。





「え…」

フレッドはロレッタの胸元に顔を埋めてその胸にキスをすると…

ギュッ…

ロレッタの方から自分の事を抱き締め返した。

一瞬目を覚ましたのかと思って顔をあげるがその顔は目を瞑りながらも幸せそうに笑っていた。

そんな可愛い顔にたまらずフレッドは頬や目元と口以外のところにキスを落とす。

その度にロレッタは嬉しそうに笑った…それが愛おしくて胸が締め付けられる。

この喜んだ顔を起きた時に見せて欲しい…そんな欲が出てきた。

するとロレッタは俺の頭を優しく掴むとそっと自分の方に引き寄せる…

俺はロレッタの好きにさせていると…後ろの髪を梳くように優しく撫でられた。

髪を…頭を撫でられるなど、何年ぶりだろう。

くすぐったい気持ちに悪くないと笑っていると…

「ジョン…」

ロレッタは他の男の名前を呼んで俺にキスをしてきた…

ジョン…ジョージ王子の愛称か?

しかしロレッタのキスに抗えずにフレッドは貪るようにロレッタにキスを返した。

「ん…んっ…」

すると息が苦しくなったのかロレッタが目を覚ました…

その顔は自分がどこにいるのかわかってないらしくぼーっとしている。

そして俺を数秒見た後…

「フ、フレッド王子!」

慌てて飛び起きた。

「初日から夜這いとはなかなかやるな…まぁ何時でも歓迎するが」

俺が笑うと

「夜這い…え?あっ!きゃあ!フレッド様…は、裸ですよ!」

ロレッタは慌てて顔を覆った…その仕草まで愛しく見えた。

「それは君も同じだが?」

「え!?」

ロレッタは自分を見下ろすと、その半分まで完全にずり落ちているドレスを見て思考が停止している。

「き、きゃあ~!」

ロレッタは慌ててドレスをあげると…

「王子!!」

騒ぎに警備の兵士が部屋に駆けつけてきてしまった。

俺はあられもない姿のロレッタにシーツをすっぽりと上から被せると兵士達からその姿を隠した。

「なんでもない…下がれ」

「しかし…」

「いいから!」

少し強めに言うと、兵士は心配そうに王子を見て、後ろのベッドの膨らみに気がついた。

「察しろ…」

俺が苦笑すると

「失礼致しました…しかし明日も早いですので程々に…」

兵士達は頭を下げてサッと部屋を出ていった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

婚約者の心の声が聞こえるようになったけど、私より妹の方がいいらしい

今川幸乃
恋愛
父の再婚で新しい母や妹が出来た公爵令嬢のエレナは継母オードリーや義妹マリーに苛められていた。 父もオードリーに情が移っており、家の中は敵ばかり。 そんなエレナが唯一気を許せるのは婚約相手のオリバーだけだった。 しかしある日、優しい婚約者だと思っていたオリバーの心の声が聞こえてしまう。 ”またエレナと話すのか、面倒だな。早くマリーと会いたいけど隠すの面倒くさいな” 失意のうちに街を駆けまわったエレナは街で少し不思議な青年と出会い、親しくなる。 実は彼はお忍びで街をうろうろしていた王子ルインであった。 オリバーはマリーと結ばれるため、エレナに婚約破棄を宣言する。 その後ルインと正式に結ばれたエレナとは裏腹に、オリバーとマリーは浮気やエレナへのいじめが露見し、貴族社会で孤立していくのであった。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

パート妻が職場の同僚に寝取られて

つちのこ
恋愛
27歳の妻が、パート先で上司からセクハラを受けているようだ。 その話を聞いて寝取られに目覚めてしまった主人公は、妻の職場の男に、妻の裸の写真を見せてしまう。 職場で妻は、裸の写真を見た同僚男から好奇の目で見られ、セクハラ専務からも狙われている。 果たして妻は本当に寝取られてしまうのか。

処理中です...