上 下
169 / 177

168

しおりを挟む
「クイーン…」

エイトはクイーンの温もりにいつの間にか震えが止まっていた。

「さて…そろそろ今回の主役達が到着するかな?」

国王はそういうと部屋の壇上に上がる。

そこには備え付けられた椅子があり国王は腰掛けると周りを兵士達が固めた。

すると招かれたようにカズキ達が現れた。

「エイト!」

「じいちゃん!」

「クイーン、無事か?」

ラネットがクイーンを見つめるとこくりと頷いた。

「エイト?その姿…どうしたんだ!?」

カズキ達がエイトの姿に狼狽えていると…

「勇者カズキ、久しぶりだな。いや、元勇者か…」

国王はカズキに向かって笑いかけた。

「このクソ野郎…やっぱりまだ生きてたか」

カズキは国王を見上げ睨みつけた。

「今日は貴様に前に果たせなかった約束を果たそうと思っててな」

「約束だと、そんな事はいいからエイト達を離せ!エイトに何をした!」

「まぁまて話を聞け」

国王がカズキを落ち着かせると

「わしはなお前達を元の世界に返してやろうとずっと研究を続けていてな、やっとその方法がわかった」

「元の世界…」

カズキはナナミを見つめた。

「そうだ、あの時はまだその方法がわからなくてな…それで君達に最善な選択を与えたつもりだったがまさかそれを拒否するとは…あの時はわしも若かった…つい頭に来てな」

ニヤリと笑う。

「それが悪かったと思っている顔か?」

カズキは不快感しか無かった。

「なら早く返してよ!それにエイト達だって離して!私達がここに来たんだからエイト達は関係ないでしょ!」

「それが関係大ありだ、この子達が居なければ帰れないのだ」

「はっ?…どういう事だ」

「この子達を生贄の媒体にしてお前を返す事が出来るのだ」

「エイトを生贄?」

「そうだ、お前と絆を持ちかつ清らかな処女でないといけない」

「その為にまさかエイトを女に?」

「それが一番簡単だったからな、さぁ準備は整った!カズキ選べ!今度こそ正しい選択をしろ!」

「なぁさっきから気になっていたが、クイーンは必要ないよな…なぜそこにいる」

「こいつの魔力が不足分を補う、それに離れたくないみたいだしな。一緒の方がいいだろドラゴン?」

国王はクイーンとラネットに微笑んだ。

「まだドラゴンが生きていたとはな、またあの肉が食えると思うと…ヨダレが…」

ラネットを美味そうだと、舌なめずりしながら見つめる。

「フン!やはりお前が仲間たちを…よくわかった」

ラネットは静かに頷いた。

「それとな、ずっと気になっていたがナナミはどうなる?さっきからお前の話にナナミが含まれていないように感じるんだが」

「そりゃそうだ。その女は返さない」

国王は当然のように頷いた。

「は?」

「帰れるのはカズキだけ、そう簡単に人を何人も送れると思うなよ。だが心配するなおの女は大切にこいつらと一緒に可愛がってやる」

そう言ってダレンとフールを前に出した。

「ダレン?フール!?お前達なんで!?」

カズキは今にも死にそうなダレンとエイトと同じように女にされて震えているフールを見つめた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スキルイータ

北きつね
ファンタジー
 俺は、どうやら死んでしまうようだ。  ”ようだ”と言ったのは、状況がよくわからないからだ、時間が止まっている?  会社のメンバーと、打ち上げをやった、その後、数名と俺が行きつけにしているバーに顔をだした。デスマ進行を知っているマスターは、何も言わないで、俺が好きな”ギムレット”を出してくれる。  2杯目は、”ハンター”にした、いつものメンバーできているので、話すこともなく、自分たちが飲みたい物をオーダした。  30分程度で店を出る。支払いは、デポジットで足りるというサインが出ている。少なくなってきているのだろう事を想定して、3枚ほど財布から取り出して、店を出る。雑踏を嫌って、裏路地を歩いて、一駅前の駅に向かった。  電車を待つ間、仲間と他愛もない話をする。  異世界に転生したら、どんなスキルをもらうか?そんな話をしながら、電車が来るのを待っていた。 ”ドン!”  この音を最後に、俺の生活は一変する。  異世界に転移した。転生でなかったのには理由があるが、もはやどうでもいい。  現在、途方にくれている。 ”神!見て笑っているのだろう?ここはどこだ!”  異世界の、草原に放り出されている。かろうじて服は着ているが、現地に合わせた服なのだろう。スキルも約束通りになっている。だが、それだけだ。世界の説明は簡単に受けた。  いきなりハードプレイか?いい度胸しているよな?  俺の異世界=レヴィラン生活がスタートした。 注意)  ハーレムにはなりません。  ハーレムを求める人はこの作品からは探せないと思います。

誕生日当日、親友に裏切られて婚約破棄された勢いでヤケ酒をしましたら

Rohdea
恋愛
───酔っ払って人を踏みつけたら……いつしか恋になりました!? 政略結婚で王子を婚約者に持つ侯爵令嬢のガーネット。 十八歳の誕生日、開かれていたパーティーで親友に裏切られて冤罪を着せられてしまう。 さらにその場で王子から婚約破棄をされた挙句、その親友に王子の婚約者の座も奪われることに。 (───よくも、やってくれたわね?) 親友と婚約者に復讐を誓いながらも、嵌められた苛立ちが止まらず、 パーティーで浴びるようにヤケ酒をし続けたガーネット。 そんな中、熱を冷まそうと出た庭先で、 (邪魔よっ!) 目の前に転がっていた“邪魔な何か”を思いっきり踏みつけた。 しかし、その“邪魔な何か”は、物ではなく────…… ★リクエストの多かった、~踏まれて始まる恋~ 『結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが』 こちらの話のヒーローの父と母の馴れ初め話です。

「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
 ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。  チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。  なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!  こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。  ※注:すべてわかった上で自重してません。

彼女の母は蜜の味

緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…

ほのぼの生きますか

n-n
ファンタジー
異世界にゲーセンの懸賞が当たって、行くことになりました。 先にアイテムボックスをもらって、何でも持って行っていいらしいです。 一週間後に迎えに来るらしくって、未練を残さないように言われて、異世界に行く約束を女神様とする。 能力は、元々ある能力を向上させることをしてくれる。 魔法...使えるといいなぁ。 ゆるゆるで始まった異世界。 ほのぼの生きますか?

カップル奴隷

MM
エッセイ・ノンフィクション
大好き彼女を寝取られ、カップル奴隷に落ちたサトシ。 プライドをズタズタにされどこまでも落ちてきく。。

彼氏に身体を捧げると言ったけど騙されて人形にされた!

ジャン・幸田
SF
 あたし姶良夏海。コスプレが趣味の役者志望のフリーターで、あるとき付き合っていた彼氏の八郎丸匡に頼まれたのよ。十日間連続してコスプレしてくれって。    それで応じたのは良いけど、彼ったらこともあろうにあたしを改造したのよ生きたラブドールに! そりゃムツミゴトの最中にあなたに身体を捧げるなんていったこともあるけど、実行する意味が違うってば! こんな状態で本当に元に戻るのか教えてよ! 匡! *いわゆる人形化(人体改造)作品です。空想の科学技術による作品ですが、そのような作品は倫理的に問題のある描写と思われる方は閲覧をパスしてください。

『向量操作』で世界を覆す

マックス
ファンタジー
日比谷蒼矢(ひびやそうや)は普通の高校生一年生だった。 朝起きて、登校して、授業を受けて、帰宅して、そんな何気ない毎日が続くと思っていた。 だがある日突然、蒼矢のいるクラスごと異世界に召喚された。 召喚した国から魔王を倒してほしいと懇願される。 なにも知らないこの異世界で生き抜くために蒼矢は召喚された際に与えられたスキルを使ってこの世界で戦う。

処理中です...