【完結】おじいちゃんは元勇者

22

俺は強くなる為、カズキに主になって欲しいと頼むと…カズキは笑ってそれを受け入れてくれた…

しかし…条件があると言われる…

その条件とは…

「俺には可愛いエイトという名の男の子がいるんだ…お前を最初に助けたのもその子だ。俺はエイトがお前を助けなければ回復魔法だってかけるつもりは無かった」

「エイト？」

「お前が起きた時に隣に寝ていた子だ」

あの、小さな人間か…

俺は頷くと

「お前はエイトと兄弟になれ」

『兄弟？』

「ああ、お前が兄だ！兄は弟を守るもんだそして俺はエイトを今鍛えているそれなら一緒に兄としてお前も鍛えてやろう」

『わかった』

俺は二つ返事で頷いた。

どうせあの弱そうな人を守れって事だろう…それで強さが手に入るなら安いものだ。

俺の目的は家族を殺された魔物を倒す事！

その為ならどんな事にも耐えてやる！

「よし、ならまずはエイトと仲良くなる事からだお前はこれからエイトと共に生活して行くんだエイトといるならここにいることを許す…だが！エイトを泣かせるような事をしてみろ…その魔物に会う事が絶対に出来ないようにしてやる…」

カズキがジロっと黒狼を睨むと…

『はい…』

俺は思わず目を逸らした…あいつは化け物だ…


化け物の名はカズキと言うらしい…主と呼ぶのを嫌がりカズキと呼ぶように言われる…

主を呼び捨てにするなどと思ったがあんまり逆らっても良くないと思いカズキと仕方なく呼ぶ事にした…

「さぁエイトが起きる前にベッドに戻るぞ。起きた時にお前がいなきゃエイトが寂しがるからな」

俺は再びあのベッドへと戻された…

「いいかエイトを起こさないように隣で寝てろ、起きてからエイトには話すからな」

カズキはそっと黒狼に囁く…

コクン…

俺は頷くと俺よりも小さな人間の子供の隣に丸くなった…

すると小さい手がスルッと伸びて俺の体を触る…なんだがくすぐったい気持ちで俺は眠りについた…

子供の動く気配に目を覚ますと…目の前で寝ている子供の動きが大きくなる、触れていた手が今度はがっしりと身体を掴んだ…

弱い奴に掴まれ事に少しイラッとしながらもじっと耐えていると子供の目が開いた…

泣き叫ぶか？

ギロっと睨んだが最初に感じた感情は安堵と喜びだった…

弱いくせに俺を心配している

子供が起きるとカズキが姿を現した、どうやら近くでずっと様子を伺っていたようだ

子供は俺が逃げなかったことで帰る場所がないと思ったようだ…確かに帰る場所はもうない

カズキは俺の面倒を子供が見ることで俺を置くことを許すと言うと子供は嬉しそうに喜んでいる。

ふん…面倒を見るのはこっちだがな…

俺はこれから守っていく事になる子供をじっと見つめた…