貧乏庶民に転生!?将来楽しみな子を見つけたので私が守ります！

29.

「ふふ、ローゼン様にはまだ難しいかもしれませんね」

執事のザックスさんが会ってから初めて笑顔を見せた。

「ザックスはわかるのか？」

ローゼン王子が面白くなさそうにザックスさんを軽く睨んでいる。

「ローゼン様ももう少ししたらわかるようになります」

ザックスさんは微笑み軽く頭を下げた。

どうにか二人にはここに居てもらい私はザックスさんと別室に向かった。

「それではマリル様お話とはなんでしょうか？」

ザックスさんは早速と真剣な顔でこちらを向いた。

「サラ様の事ですが、あの症状は思春期特有のニキビという皮膚の病気かと思います」

「ニキビ……」

「サラ様ぐらいの若い子には多いと思います。綺麗に清潔にしていれば軽くすんで終わる人もいますがサラ様はタイミングや対応が悪く悪化してしまったのかと……」

「それでサラ様は治りますか？」

「それはなんとも言えません。ですができる限りの事はしたいと思っています」

そう言うとザックスさんは少しほっとしていた。

「ありがとうございます。それがローゼン様には言えないことでしょうか？」

「それもありますが病状や肌の事など好きな人には知られたくは無いと思うので、それに症状が良くなるまで会いたくはないでしょうから」

「なるほど」

「それにサラ様の症状はストレスや肌をいじりすぎた事に、その……お通じなど原因だと思われます」

「お通じ……あっ！」

ザックスさんがなるほどと頷いた。
理由をわかってくれたみたいで良かった、これならむやにみローゼン様に言うことはないだろう。

「サラ様にはストレスを軽減してバランスのいい食事に運動が必要になります。それに王子が用意した化粧品やら薬も原因の一部かも知れません。それは知りたくないでしょうから……」

「わかりました。ローゼン様の方はお任せ下さい、マリル様はサラ様をよろしくお願い致します。私の方から屋敷の者たちに伝えておきますので」

ザックスさんが優しい笑顔で頷き返してくれた。

「良かった……こんな子供の言うことを信じてくれてありがとうございます」

私はペコッと頭を下げた。

「はい、グランドさんから良く聞いておりましたから」

「グランドさん！？」

思いもしない名前が出て思わず顔を上げた。

「はい」

私の顔を見てザックスさんがゆっくりと頷いた。

「グランドさんとは古くからの友人なのです」

「まさか、ローゼン王子に私達の事を言ったのも……」

ザックスさんは申し訳なさそうに笑う。

「なるほど、それでいきなり王子に話しかけてこられたのですね。確かにこんな子供の言うことを信じるなんておかしいですもんね」

そうとわかれば遠慮なくやらせてもらおう。

「はい、マリル様の事は良く聞いております。ですからどうかローゼン様とサラ様を助けて下さい」

ザックスさんが頭を下げた。

「やめて下さい。友達の力になるのは当然ですから」

私がそう言うとザックスさんは驚いた顔を見せながら嬉しそうに顔を崩した。

話が言ってるなら早いと私はザックスさんに今後の予定を話した。

屋敷のカーテンは薄めの物に変えて風通りを良くしてもらう。

そしてサラ様のお世話は口が固く女性にしてもらい、少し症状が良くなるまでは最小限の人数で対応する事にした。

「私も手伝いになるべく来ますから」

「あっそれですがご心配なく」

ザックスさんがいい笑顔を見せる。
私は来なくてもいいと言うことなのかと眉をひそめた。

「いえ、しばらくは私も様子を見に来たいのですが」

「はい、それはもちろんです。ですからマリル様にはしばらくこちらにお住いになっていただきますからご心配なくと……」

「そういう意味か……」

アーロン様はもう自分で対応できるし、私が居なくても優秀なグランドさんもマリエルさんもいる。

「はい、よろしくお願いします」

私は二つ返事で了承してしまった。