貧乏庶民に転生!?将来楽しみな子を見つけたので私が守ります!

三園 七詩

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18.お茶会2

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「まぁいいや、今日はマリルが一緒にいてくれるだけで…」

アーロン様はそういうと私の手を取り馬車へと誘導してくれる。

「マリル嬢、どうぞ」

そう言って手を支えてくれた。

「ありがとうございます」

私はアーロン様の手を握り馬車へと乗り込む。
なんかこれではアーロン様が私のお付みたいにみえてしまった。

アーロン様が馬車へと乗り込んで来るとニコッと笑って私の隣に腰掛けた。

「アーロン様、席は向かいあわせの方がいいのでは?」

広い馬車なのにピッタリと横に並んでいる。

「馬車だと声が聞こえづらいからね」

アーロン様は気にしないでいいと言うし、何やらご機嫌な様子に首を傾げる。

まぁアーロン様の気が紛れるならいいかと私はアーロン様の話に耳を傾けながら馬車に揺られた。

長いこと馬車に揺られ王都に近づいてくるとアーロン様の口数が減ってきた。

外を時折眺めては軽くため息をつく。

やはり見た目が変わり自信がついても心の傷はなかなか癒えない。
幼い頃のお茶会のトラウマが蘇ってきているようだった。

私はそっとアーロン様の手の上に自分の手を重ねた。

するとアーロン様は驚いて私の方を見た。

「大丈夫です。私がずっとおそばにおりますよ」

「マリル…ごめん。マリルだって初めてで緊張してるだろうに、俺って本当にかっこ悪い」

アーロン様がシュンとしてしまう。

励まそうとしたのに余計に落ち込ませてしまった。

「そんなことありません!私も緊張していますがアーロン様がそばにいるから頑張れます。それにアーロン様の今の姿をみて馬鹿にするような人が貴族なんてなれるんですか?」

私の周りの貴族の人はみんな礼儀正しく気持ちのいい人ばかりだ。

だから貴族になったことに少し誇りを持てるようになっていた。

「マリルの知ってる貴族って…」

「アーロン様にアーロン様のお父様にお母様、グランドさんにマリエルさん、それにジェイコブ家の皆様!」

みんな私の憧れる人達だった。

庶民のころは貴族の世界などなかなか知る機会がなかったが、幼い頃から教養も受けられマナーを学ぶならそれなりの対応はできるのだろう。

なんたってアーロン様と同じ年頃だし、さすがに三歳と幼い頃なら人の外見に驚いてしまうのも無理はない。

私がそういうとアーロン様はぷッと笑った。

「な、なんで笑うんですか?」

「いや、マリルはそのままでいて欲しいなって思って…ありがとう」

アーロン様は女の子なら叫び出しそうなほどいい笑顔をすると私にハグをした。

「ア、アーロン様?」

突然のことに今度は私が固まってしまう。

するとアーロン様は抱きつきながら耳元で囁いた。

「お願い、少しだけこうさせて…マリルのそばにいると落ち着けるんだ」

そんなことを言われた緊張している主人を突き放すこともできない。

私はそっとアーロン様の背中に手を回した。

「いくらでも大丈夫ですよ」

そう言って安心させるように背中をさする。

「本当に!?」

するとアーロン様は破顔して私の顔を見た。
その顔は緊張などないように見える。

「もう平気そうですね」

私はそっとアーロン様から距離をとったが、アーロン様はすぐにその距離を詰めてくる。

「いつでも大丈夫って言ったよ」

「それはアーロン様が緊張している時に限ります!」

「緊張してるよー、ほら手を掴んでよ震えてるでしょ?」

そう言って手を繋ぐとわざと手を揺らしていた。

「もう!大丈夫ですね!」

私はアーロン様の手を振り払い外を眺めた。

アーロン様の顔を見たら真っ赤なことがバレそうになり恥ずかしかったからだ。

「あっ、見えてきましたね…」

すると外にお茶会の会場が迫っていた。
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