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5.病
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「はぁ…確かにこれは訳ありだわ」
私はアーロン坊っちゃまの態度にため息をついた。
仕事をしろと言われているがやらなくていいと言われた場合はどうすればいいのだろう。
それにあんな部屋にずっと篭っているものだろうか?
ホコリっぽく空気の悪い部屋にいたらさらに病気になりそうだった。
坊っちゃまは病気はなんなんだろう?
ラジェット先生もグランドさんも伝染るものでは無いと言っていたが気になる。
知れば私の方でも色々と配慮できるのにな…と考えていた。
坊っちゃまの部屋の服やソファーカバーなど選択すると干場に吊るす。
天気がいいので今日中には乾きそうだ。
ひと仕事終えるとお腹が空いて来る。
お昼は厨房に行けば何かくれると聞いていたので坊っちゃまのお昼を配膳したら後にもらおうと厨房に向かった。
「えっとボムさんですよね?私今日から働くことになったマリルです。よろしくお願いします」
私は厨房に一人いた男性に声をかけた。
「ああ、聞いてるよ。あんたも大変だね、何かあれば相談に乗るからな」
ボムさんは優しく声をかけてくれた。
いい人そうで良かったと胸を撫で下ろす。
「ありがとうございます。その時はよろしくお願いします。えっと坊っちゃまのお昼はどれでしょうか?」
「ああこれ頼むよ」
ボムさんは奥から肉だけ乗ったお皿を持ってきた。
「え?これですか?」
「そうだよ、坊っちゃまは野菜が嫌いでね乗せないようにしてるんだ」
嘘…こんな肉だけなんて…しかも病人に?
まじかとボムさんを見つめると苦笑していた。
「わかるよ、でもそれ以外食べないんだよ。俺も色々作りたいんだがな…マリルはなんでも食べれるか?」
「はい!なんでも食べます!」
「そりゃ良かった」
ボムさんは嬉しそうにお昼を用意して置くと張り切っていた。
私は坊っちゃまの部屋に行くと戸を叩いて声をかけて部屋へと入る。
坊っちゃまは出る時と変わらずに同じ場所にいた。
「坊っちゃまお昼を御用しました。どこに置きましょうか?」
「テーブルに置け、勝手に食べる」
「わかりました」
私は頷くとテーブルにそっと食事を置いた。
「では失礼します」
私もご飯を食べて来ようと部屋を出た。
「ボムさん、お昼ください」
私はまっすぐ厨房に向かうとボムさんに声をかけた。
「はい、出来てるよ」
ボムさんがドンッと食事を置いてくれた、それは暖かい具だくさんのスープに坊ちゃまより小さいが肉もあり焼き野菜がたっぷり乗ったプレートにホカホカのパンもついていた。
「え、これ?」
あまりの豪華さに間違えではと驚いてしまう。
「今日はマリルがうちに来たお祝いだ」
ボムさんは軽く笑うと食えとプレートを押す。
「いただきます…」
私は手を合わせるとスープを飲んだ。
優しい味が体に染み渡る、今まで食べた中で一番美味しい食事だった。
そのまま肉や野菜もかきこむとあまりの美味しさに止まらなくなる。
「美味しい、美味しいです」
「あははそうか?」
ボムさんが嬉しそうに顔を上げると私をみて驚いた。
「ど、どうした!」
「美味しくて…こんな料理初めてで…」
私はあまりの美味しさに号泣しながら食べていた。
「ずみまぜん」
ズズっと鼻をすするとボムさんがタオルを持ってきてくれたので涙を拭く。
「なんで泣いたんだ?」
ボムさんがまだ困惑していた。
「私、生まれてからこんな料理食べたことなかったんです。私の為に作ってくれたんだと思うと嬉しくて」
「そうか…お前も苦労してんだな。まぁここも大変だけど頑張れよ、料理なら俺が美味いもん毎回用意してやるからな」
「はい!」
私はボムさんにお礼を言った。
「そういえばボムさんは坊っちゃま見たことあるんですか?」
「いや、坊っちゃまがここに暮らすようになってから料理を作ってるが一度も会ったこと無いんだよ」
「えー!一度も?」
ボムさんはウンウンと頷く。
「じゃあ一度も部屋から出たことないって事ですか?」
「そうなるな」
「それって…」
絶対に病気にも良くない気がする。
いくら体が悪くても日に当たらずに散歩もしないなんて…
それほど重い病気なのだろうか?
でも声は元気そうだし、肉も食べていた。
「坊っちゃまはなんの病気か知ってますか?」
ボムさんはキョロキョロと周りをうかがい人が居ないのを確認すると小声で話し出した。
「噂だがな…坊っちゃまは病気じゃなくてその見た目がかなり醜くて幽閉されてるらしい」
「醜い?」
だから見られないように顔を隠しているのか?
さてどうしたものか…
私はうーんと考え込んだ。
私はアーロン坊っちゃまの態度にため息をついた。
仕事をしろと言われているがやらなくていいと言われた場合はどうすればいいのだろう。
それにあんな部屋にずっと篭っているものだろうか?
ホコリっぽく空気の悪い部屋にいたらさらに病気になりそうだった。
坊っちゃまは病気はなんなんだろう?
ラジェット先生もグランドさんも伝染るものでは無いと言っていたが気になる。
知れば私の方でも色々と配慮できるのにな…と考えていた。
坊っちゃまの部屋の服やソファーカバーなど選択すると干場に吊るす。
天気がいいので今日中には乾きそうだ。
ひと仕事終えるとお腹が空いて来る。
お昼は厨房に行けば何かくれると聞いていたので坊っちゃまのお昼を配膳したら後にもらおうと厨房に向かった。
「えっとボムさんですよね?私今日から働くことになったマリルです。よろしくお願いします」
私は厨房に一人いた男性に声をかけた。
「ああ、聞いてるよ。あんたも大変だね、何かあれば相談に乗るからな」
ボムさんは優しく声をかけてくれた。
いい人そうで良かったと胸を撫で下ろす。
「ありがとうございます。その時はよろしくお願いします。えっと坊っちゃまのお昼はどれでしょうか?」
「ああこれ頼むよ」
ボムさんは奥から肉だけ乗ったお皿を持ってきた。
「え?これですか?」
「そうだよ、坊っちゃまは野菜が嫌いでね乗せないようにしてるんだ」
嘘…こんな肉だけなんて…しかも病人に?
まじかとボムさんを見つめると苦笑していた。
「わかるよ、でもそれ以外食べないんだよ。俺も色々作りたいんだがな…マリルはなんでも食べれるか?」
「はい!なんでも食べます!」
「そりゃ良かった」
ボムさんは嬉しそうにお昼を用意して置くと張り切っていた。
私は坊っちゃまの部屋に行くと戸を叩いて声をかけて部屋へと入る。
坊っちゃまは出る時と変わらずに同じ場所にいた。
「坊っちゃまお昼を御用しました。どこに置きましょうか?」
「テーブルに置け、勝手に食べる」
「わかりました」
私は頷くとテーブルにそっと食事を置いた。
「では失礼します」
私もご飯を食べて来ようと部屋を出た。
「ボムさん、お昼ください」
私はまっすぐ厨房に向かうとボムさんに声をかけた。
「はい、出来てるよ」
ボムさんがドンッと食事を置いてくれた、それは暖かい具だくさんのスープに坊ちゃまより小さいが肉もあり焼き野菜がたっぷり乗ったプレートにホカホカのパンもついていた。
「え、これ?」
あまりの豪華さに間違えではと驚いてしまう。
「今日はマリルがうちに来たお祝いだ」
ボムさんは軽く笑うと食えとプレートを押す。
「いただきます…」
私は手を合わせるとスープを飲んだ。
優しい味が体に染み渡る、今まで食べた中で一番美味しい食事だった。
そのまま肉や野菜もかきこむとあまりの美味しさに止まらなくなる。
「美味しい、美味しいです」
「あははそうか?」
ボムさんが嬉しそうに顔を上げると私をみて驚いた。
「ど、どうした!」
「美味しくて…こんな料理初めてで…」
私はあまりの美味しさに号泣しながら食べていた。
「ずみまぜん」
ズズっと鼻をすするとボムさんがタオルを持ってきてくれたので涙を拭く。
「なんで泣いたんだ?」
ボムさんがまだ困惑していた。
「私、生まれてからこんな料理食べたことなかったんです。私の為に作ってくれたんだと思うと嬉しくて」
「そうか…お前も苦労してんだな。まぁここも大変だけど頑張れよ、料理なら俺が美味いもん毎回用意してやるからな」
「はい!」
私はボムさんにお礼を言った。
「そういえばボムさんは坊っちゃま見たことあるんですか?」
「いや、坊っちゃまがここに暮らすようになってから料理を作ってるが一度も会ったこと無いんだよ」
「えー!一度も?」
ボムさんはウンウンと頷く。
「じゃあ一度も部屋から出たことないって事ですか?」
「そうなるな」
「それって…」
絶対に病気にも良くない気がする。
いくら体が悪くても日に当たらずに散歩もしないなんて…
それほど重い病気なのだろうか?
でも声は元気そうだし、肉も食べていた。
「坊っちゃまはなんの病気か知ってますか?」
ボムさんはキョロキョロと周りをうかがい人が居ないのを確認すると小声で話し出した。
「噂だがな…坊っちゃまは病気じゃなくてその見た目がかなり醜くて幽閉されてるらしい」
「醜い?」
だから見られないように顔を隠しているのか?
さてどうしたものか…
私はうーんと考え込んだ。
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